10月11日、銀座あずま通りに、串焼とワインの店「炭火串焼 銀座 荻」(てき)がオープンした。
同店は人形町店に続く2号店、こだわり抜いた串焼とワインのマリアージュを提案する繁盛店。満を持しての銀座進出となった。
オーナーであり、焼き場をつかさどる町野氏が独立したのが1997年29歳の時。千葉県柏に日本酒をメインに扱う串焼の店をオープンした。
その後、ワインの深遠な世界に魅せられると同時に、生まれ育った人形町に店を移転。串焼とワインを提案し、繁盛店へと成長した
現在では、予約客が90%を占めるという、リピーターをしっかりと掴み順調に運営されている。そして今回、町野氏にとっては3店目となる、以前より念願だった銀座店をオープンした。
人形町で割烹を営む家系の元で育った町野氏には、銀座は子供の頃から親しんだ土地だと言うが、出店に当たってはやはり苦労もあったようだ。
「銀座はその長い歴史の中で飲食店、お客様の住み分けができあがっている場所です。物件を探す約1年間の中で、銀座の厳しさをたくさん勉強させていただきました。個人オーナーは非常に厳しい競争を強いられますが、私達のような予約のお客様の多い店にとってはチャンスのある土地だと思います。」
ソムリエである町野氏によりワインはセレクトされる。
「以前は、赤ワインというジャンルで飲んでいた方が多かったように思いますが、一歩踏み込んでワインを勉強されているお客様が増えています」と町野氏は話す。
ワインのラインナップにおいては、人形町店では、カジュアルさを演出するようにオーストラリアワイン中心に提案しているが、銀座店ではブルゴーニュ、ピノ・ノワールをメインする。
また、最近ではイタリアワインにも注目している。子羊やイベリコ豚なども使う同店の串焼に、イタリアワインの持つ骨格がしっかりとした味わいがマッチするという。
そのこだわりの串焼は、5本2900円、8本3800円などセットで提供する他に、朝から仕込を始める柔らかな口当たりの自家製つくねなど、一串ごとにアラカルトでもオーダーが可能。
フードとドリンクの構成比は6:4で安定推移している。
食べることに対してポジティブな30代〜40代をターゲットする同店だが、愛される店づくりの全ては、「あたり前のことをあたり前にすること」だと町野氏は話す。
「調理、サービス、清掃など飲食店に関わること全てにおいて言えることだと思います。長く受け継がれているものの中にあたり前のことがあります。それをどのように伝承していくかを、大切に考えなければいけないのではないでしょうか」
ワインと串焼の美味しさをそのまま味わって欲しいと、全席禁煙にしているのもそのストイックな姿勢によるものだ。
派手な露出なく、丁寧に繁盛店を作り上げてきた町野氏と「荻」は、飲食店の基本を備えた店だといえるだろう。お客様に予約を勧めるのも、迎える心構えができるという真摯な態度を貫く同店に、是非足を運んでいただきたい。 |
焼き場前のカウンターでは
町野氏の丁寧な仕事がうかがえる
。
落ち着いた和の雰囲気で30代からのお客様が
ゆっくり楽しめるよう演出する。
ワインに合うように、
子羊やイベリコ豚などの串焼も用意する
。
町野氏が勧めるワイン(右より)
「ヴォーヌ・ロマネ マジエール'99」(9890円)
「ジュヴレイ・シャンベルタン ジューヌ・ロワ'97」(12280円)
ポマール グラン・ゼプノ'92」(15380円)
「アマローネ'95」(10290円)
|