一人飯は、あまり種類が食べられない、と嘆く人は多いのではないだろうか。かといって、常連さんばかりが集まる居酒屋に一人で入るのは、なかなか勇気のある行動だ。
こんな不満を解決してくれるのが、VISCOだ。カウンターのみ9席の白い店内は、ガラス張りの扉からも明るく清潔な店内の様子を見ることができる。
VISCOは、オーナーの近藤邦宏氏が、「自身の理想の店の形」を実現しようと、今年の6月にオープン。6坪の店内で、既に月商200万円を売り上げている。近藤氏は、辻調理師専門学校出身。数々のレストランやホテルで働いた実績をもつ、フレンチの基本を身につけた実力の持ち主だ。
メニューは、前菜300円〜800円、メインディッシュ1000円、パスタやご飯ものの3カテゴリーに分けられている。しかも、このお値段でありながら、フォアグラなどの高級食材、季節によってはエゾ鹿や鳩、猪肉などのジビエまでを揃えているのだ。
前菜盛り合わせは、800円で8種類ほど。メニュー選びに迷ったら、まずはこちらとグラスワインをオーダーしつつ、次に食べるものをじっくり選ぶのもいい。
メインのオススメは、高級食材をシンプルに焼き上げた肉料理だ。中がロゼに仕上がるよう、丁寧に焼き上げた食材をシンプルに。肉の旨みがストレートに伝わる一皿には、やはり赤ワインといきたいところだ。
食べたりない方には、パスタやご飯で仕上げ、飲み足りない方は、チーズ、とメニューは厳選されているが、のん兵衛のツボを抑えたラインアップだ。
この店の売りはもうひとつ、たっぷりと注がれるグラスワインだ。通常、グラスワインは、ボトル1本750mlで6杯、気取った店なら8杯が基本であるが、この店ではなんと4杯取り。つまり、通常の1.5倍の量がグラスに注がれる。価格も700円〜800円が主流と、お手頃価格。
このコストパフォーマンスの良さが受けて、アルコールの売り上げ比率は57%を占めている。「ワイン4杯取り」は、宣伝効果抜群。開店当初は、知り合いなどの来店が多かったが、地元メディアにも取り上げられるようになり、お酒好きなお客様から、噂を確かめにくる同業者までが視察。なみなみと注がれるワインをみて納得し、常連客になるという具合だ。「早い時間は食事、夜はワインバーのような使い方まで、いろいろな目的でご利用して頂いています」と、近藤さん。
現在客単価は3500円で推移。原価率は40%、アルコールに関しては42%と、正直いって収益性から考えるともう少し価格も高く取りたいところだ。ところが近藤さんは「個店で経営していくには、宣伝費や内装等にかけられない。やなり料理とお値打ち感で勝負するしかありません」と、この価格を変えるつもりはないようだ。
聞くとこのお店、なんと初期投資額は350万円で仕上がった。お金をかければ良い店ができるというのはウソだ。コンセプトがきちんとしていれば、何とか繁盛店を作ることができるのである。美味しいものを食べたい人、ワインが好きな人はもちろん、独立開業を目指す人にも、是非一度来店してほしい。
尚、現在VISCOではスタッフを募集している。スタッフは男女問わず。明るくて元気のある方なら、経験問わず大歓迎だそうなので、我こそはと思う人は是非チャレンジをしてみてはいかがだろうか。
(※アルバイトの募集の問い合わせは、水曜日以外に電話をお店まで06-6253-6777) |
VISCOは今年6月に開店。
店名のVISCOは「ビストロ近藤」の意味を込めた。
彩りも美しい 前菜の盛り合わせ800円
オーダーに迷ったらまずはこちらを
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女性客が6〜7割。20代後半から30代後半がメイン客層。
オーナーの近藤邦宏さん。
手に持っているのは焼き立てのドフィーヌ風グラタン。
季節限定メニュー 熊本県 猪バラ肉の炭焼き 800円。
高級店でしか味わえないジビエもオンメニュー
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