大正12年創業、日本初の立飲み屋「赤垣屋」がついに東京初出店を果たした。丸ノ内「東京ビル」地下飲食フロアーで、大阪の老舗の味を守りながらも連日行列のできる繁盛店としてスタートした。
地元大阪では庶民の店として認知度が高い赤垣屋だが、丸ノ内出店に際し、和を基調としながらもモダンなインテリアを選択し、ビジネスマンとOLへ強くアピールする。
「お洒落なインテリアだからでしょうか、『女性一人でも入りやすい』と言っていただいています。大阪では女性のお客様が2割程度でしたが、丸ノ内店では男女5:5ととても多いのには驚きました。そして、東京の女性がお酒に強いのにはもっとびっくりしましたね(笑)」と女性店長の加藤さんは話す。
これまでは生活の一部として大阪庶民に愛されてきたのが同店。1日に2回以上いらっしゃるお客様じゃないと「常連」と呼ばれないという程だ。
赤垣屋に寄ってから遊びに行き、帰りにまた赤垣屋による、お客様は自分の家の食卓のような使い方をしているというが、東京ではしっかりと食べて飲む居酒屋として利用されている。
その結果、滞留時間も長くなり客単価も上がった。加藤店長は、大阪流のスピーディーな接客をもっと発揮したいとウズウズしていると本音をもらしてくれた。
さて、東京出店に際し大阪老舗の味は変わったのだろうか。
「味に関してはまったく変えていませんが、人気メニューをよりブラッシュアップするという意味で、今まではセントラルキッチンで仕込んでいた串かつを自店で仕込むようになりました」
また、こんなエピソードも加藤さんは話してくれた。
「大阪の串かつと言えば『二度づけ禁止』というイメージが東京の方にはあるようですが、実は赤垣屋では、ソースはソース入れから串かつにかける方式なんですよ(笑)。なので東京のお客様の夢を壊してはいけないってことで、急遽『二度づけ禁止』スタイルに変更したんです。ホコリが入っては不衛生ですから、カバーを付けてアレンジはしていますが(笑)」
他にも大阪と東京の違いをこう付け加えてくれた。
1.大阪では発泡酒の人気が高いが、東京では低い。
大阪では店が混んでいたら、まず並ばないが東京のお客様は並んでくれる。
2.大阪ではヒットメニューの湯豆腐も東京では何故か人気が今ひとつ。
3.東京のお客様は焼酎をロックで飲むが、大阪では割って飲む方が多い。
東京駅が近いこともあり、大阪からの出張客も「東京進出おめでとう」と駆けつけてくれる程の人気店だが、実は5年前の東京出店計画の際には、物件を押さえることができずに果たせなかったという。そして、翌年に東京で立飲み店がブレイクし悔しい思いをした経緯があり、今回は見事そのリベンジを果たしたと言えるだろう。
庶民の味を立飲みというスタイルで気軽に楽しめる赤垣屋。東京でのこれからの活躍を応援したい老舗である。
是非一度、足を運んでいただきたい。 |
お客様との距離が近く、スピーディーに提供できるよう設計させれているカウンター。
赤垣屋特製の鍋で作られる名物「どて煮」(一人前2本・250円)。一日100人前を売り切る
かつを、こんぶだしに鶏がらを加えたものをベースにしたおでん。
赤垣屋が急遽作った
『二度づけ禁止』用ソースケース。
店頭には行列ができてるが、
回転も早くすぐに入店が可能。
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