依然ブームが去らぬ立ち飲み。新橋の中でも繁盛店で有名な竜馬が8月3日に姉妹店「龍ORYO(おりょう)」をオープンした。
「竜馬を今年1月に現在の場所に移転してから、以前の場所に姉妹店を出店したいと考えていました。竜馬のコンセプト“より良いものを、より安く”はそのままに“立ち飲み”という同じジャンルの中でも競合しないまったく違うスタイルの店。せっかくの姉妹店ですから、竜馬の妻の名前・お龍(ORYO)を店名に配して、女性スタッフによる本格的オーセンティックバーを提案しています」と砂押オーナーは話す。
入り口すぐに広がる重厚なバーカウンター。木目を生かした落ち着いた内装の店内は、スタンディングスタイルであっても心地よく、ゆっくりと飲める空間を提供するため、立ち飲みに見られがちな“ぎゅうぎゅう詰め”を廃し、客数を最大12人に集約した。
「カウンターと壁との距離感含め、ゆったりと飲める空間の提供を考えれば、どうしても人数を制限せざるを得ない。お客様からはスタンディングでありながら心地いいと好評です」
女性バーテンダーによってサービスされるドリンクは、洋酒をメインにウイスキー約50種、日本酒5種、焼酎12種、スパークリングワインなどが常時取り揃えられ、幅広いお客のニーズに対応する。カクテルはメニューにあるだけで約100種類。もちろんメニュー以外のカクテルの注文も可能だ。カクテルをメインに作るのはバーテンダーであり店長でもある殿塚さん。
「バーテンダーの技術に、女性ならではの女性らしさ、やわらかさ、気遣いを取り入れたサービスが求められますから、日々勉強ですね」と話す。
店名を冠したカクテル「おりょう」(777円)はロンリコホワイトラムをベースに、“完全なる愛”の言葉を持つリキュール、パルフェタムールで仕上げた紫色のグラデーションが美しいショートカクテル。このドリンクは殿塚さんがお龍の竜馬への愛をイメージし、まずパルフェタムールを使用することを決定。ベースに悩んでいたところ、同店女性スタッフの西野さんがアイデアをくれた、といういわば合作。グラデーションの底に沈むお龍の愛−リキュールのスミレの香りと甘さ、レモンの爽やかさが女性客だけでなく男性客にも好評だ。
その他ドリンクメニューは銀座のバーの名店サンボアから許可を得て提供している「敬愛なる銀座“SAMBOAR”風ハイボール」(580円)や「ギネスの生1パイント」(600円)が人気で、ギネスは1週約40リットルを消費するという。ウイスキーメニューでは「ボウモア」シングル700円がダブルでは1100円といった料金設定に値頃感がある。
ORYOではテーブルチャージとカクテルの価格を時間帯により変更し、提供している。「ゴードンジン」をダブルの量使用しているジントニックは17時から550円、19時から650円、21時以降は750円。テーブルチャージは17時から250円、19時から300円、21時以降は400円で、ピーナツ食べ放題のサービスを行っている。早い時間に来店のお客には静かにゆっくり、そして安く飲める、と好評で、客単価も時間によって変動し前半1500円〜後半2500円で推移している。
あくまでもお酒がメインのバーだが「オリーブ」(450円)、「牛バラ肉のギネス煮」(580円)などフードメニューも取り揃える。中でも「干ほたるいか」(480円)は、お皿に並べた干ホタルイカにロンリコの151プルーフを落とし、お客の目の前で焙って提供。ロンリコの香りが飛び、やがて香ばしいイカの香りが店内に漂い—味はもちろんだがこのパフォーマンスがウケている。
「以前アメリカンコメディの舞台に立っていたことがあり、ORYOを小さな劇場、カウンターは小さな舞台だと考え、お客様に美味しく飲める工夫を提供したいですね」
客層はサラリーマンを中心に、最近は女性客も目立つようになったという。スタンディングだから気軽に入れる、また女性スタッフだから入りやすい、話しやすい—がその理由だ。
「女性客が増えることはお客様に気を許していただけたのかと、とても嬉しく励みになります。基本はオーセンティックバーですがお酒を楽しく、美味しく、楽しく、そして手頃な価格で楽しむ、普段使いの1店にしていただけたらと思います」 |
新橋駅近く、石造りの重厚なエントランスが目を引く。
この距離感が心地いい。カウンターの後ろにはアルコールがずらりと並ぶ。
女性バーテンダーによるサービスが人気。
お龍の竜馬への恋をイメージした
オリジナルカクテル「おりょう」(777円)
フードメニューの中でもボリュームのある
「牛バラ肉のギネス煮」(580円)
炎と香りが楽しいパフォーマンスの
「干ほたるいか」(480円)
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