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豚、炭火の独特な調理法で、韓国料理の新境地を開拓
「炭火釜焼き豚 ぽど 霞町」(東京・西麻布/韓国料理)
第150回 2006年9月8日
焼き釜使用風景
同社の趙漢宰社長は、韓国生まれの35歳で、慶応大学に留学し、さらに早稲田大学大学院を卒業して、日本でサラリーマン生活を送ったのちに起業したそうだ。
「日本にある韓国料理店は焼肉がとても多いが、韓国料理の魅力を十分に伝えていないと趙社長は考えているんです。そこでもっとおいしいものが提供できるのではないかと、料理を磨いて、この店を実現させました」と、山口洋一店長。
山口店長は、外食に入って約20年のキャリアを持ち、オーストリアのウィーンやハンガリーのブダペストといった、海外の店での勤務経験も5年ある国際派だ。
豚のオブジェ
豚肉を使ったメニューを前面に出しているが、豚肉は群馬の契約農家から全国で初めて「豚っ娘(ぶたっこ)」という名のブランド豚を仕入れている。「豚っ娘」は、豚の品種では、デュロック種の父と、大ヨークシャーとランドレースのハーフの母を掛け合わせたもので、麦を主たる飼料とし、乳酸菌や、納豆菌、酵母菌が豊富な麹を混ぜて与えているという。
山口店長によれば、「肉質が甘くてきめ細かく、脂肪に旨味がある、コラーゲンがしっかりついた豚肉です」とのこと。「豚の臭みは、胃の臭さに由来しますが、麹を与えているので、全然臭くない」といったところにまで、こだわった豚である。
炭火釜焼き骨付きロース マッシュポテト添え(1,500円)
豚肉の素材の良さを生かしたメニューのうちでも、同店の看板は、ピザを焼くような釜で備長炭を使って焼く、独特の豪快で迫力のある「炭火釜焼き豚」。表面がカリっと焼けて、中がジューシーな食感が広がる。スペアリブ(1300円)、肩ロース(1300円)、骨付きロース(1500円)と3種類あり、マッシュポテトが添えられ、顧客の前で切り分けるサービスを行っている。リンゴソース、ハーブマスタード、たまり醤油、特製チリソースと、4種類の特製ソースでいただく。
また、「炭パン焼き」は、硬い炭の調理器具“炭パン”に肉を乗せて焼く調理法で、余分な脂を落とし、旨味を封じ込め、香り豊かに焼き上がる。「牛トックカルビ炭パン焼きセット」(1500円)は、細切りにしたカルビ肉を、ハンバーグ状にして、タレ焼きにしたもので、包み野菜・浅漬けキムチとセットになっている。韓国の宮廷料理として、古来から親しまれてきた料理だそうだ。
炭火ミニパン焼き(牛プルコギ焼き500円と白アスパラエッグ550円)
手のひらくらいのミニサイズの鉄板に、厳選した素材を乗せて釜焼きにする「炭火ミニパン焼き」(500円前後)も独自のメニューで、8種類ほどのバリエーションがある。おつまみの感覚で、楽しむ鉄板焼きだ。
そのほか、暑い季節の食事の締めには、「冷たい大豆汁麺」(900円)がよく出る。鍋も「旨辛ホルモン鍋」(2900円)と、「手作り餃子プルコギ入り鍋」(3200円)の2種類を用意している。「鉄板焼きチヂミ」も4種類ほどあり、肉厚で具だくさんの焼き上がりだ。
冷たい大豆汁麺(各種900円)
全般にナシなどフルーツを隠し味に使った料理が多く、女性の口によく合うが、これは韓国料理でよく使う技法などだという。イヴォークデザインが担当した内装も、モダンで明るいカフェ風の空間を構築し、特に女性が入りやすい感じの店に仕上がっている。
顧客層は20代後半から40代後半までが多く、男女比は4対6で女性のほうがやや多い。850円〜980円で提供されるランチは、近隣に務めるOL、サラリーマンが多く訪れる。現在のところ、昼、夜ともに50人くらいずつが来店する状況だ。
ドリンクも「マッコリ」やマッコリとビールをブレンドした「モッコリ」のほか、無添加の「上等梅酒」、ビタミンCたっぷりの「ゆず酒柚子かをる」などをそろえ、美容、健康を打ち出したメニューに力を入れているので、女性を中心に口コミでファン層が広がっている。
韓国料理をベースに、インターナショナルな感覚を盛り込んだ、世界に発信する店になっていく可能性を秘めた、個性的な店だと言えるだろう。
オープンキッチン
カウンター席
個室
【炭火釜焼き豚 ぽど 霞町】
住所 | 東京都港区西麻布1−12−4紀伊国屋ビル3F |
電話番号 | 03−3401−8191 |
営業時間 | ランチ 12:00〜14:30(月〜金) 月〜水 18:00〜23:00 木〜土 18:00〜03:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
客席数 | 47席 |
客単価 | 4800円 |
経営母体 | 有限会社メルツ・コーポレーション |
長浜淳之介 2006年8月17日取材