次に流行るお店
赤身の国産牛肉のおいしさを発信
「炭火焼肉 かるびあ〜の」(東京・新橋/焼肉)
第151回 2006年9月15日
仔牛のシビレ(525円)
横内商店は日本全国に眠っている、素晴らしい食材を生産、飼育しながら、販売ルートを持たない生産者を発掘し、レストランに供給することをモットーとする会社。東京都内に700店の取引先を持っており、国産の生産者の顔が見える、他の業者では扱わないような、ユニークで美味な肉をそろえている。
レバー寿司(525円)
短角牛芯ロース、2種類の柚子こしょう(735円)
そのため取引先からは、焼肉屋を開けば面白いのではないかという声が数多く寄せられていたと、同社・横内誠社長は語る。
その期待にこたえて、今年6月14日にオープンした、焼肉好きの食通をうならせる店だ。
横内社長
特に力を入れている食材は、「短角牛」、「赤牛」、「アンガス牛」といった赤身の国産牛肉である。「短角牛」は東北地方、「赤牛」は四国と九州、「アンガス牛」は北海道紋別地方の生産者から仕入れている。
「日本ではなぜかサシの多い霜降りの軟らかい牛肉が好まれ、評価も高いですが、欧米では低脂肪・低カロリーでヘルシーな赤身のほうが主流です。本来の牛肉の良さを伝える産地を厳選し、サシの少ない赤身の肉のおいしさを発信する、アンテナショップとしての役割も、この店に託しています」と横内社長。
また、シビレ(胸腺)、コプチャン(小腸)のような内臓肉も各種そろっており、内臓肉の充実も、同店の特徴の1つである。白金豚、鴨、馬、比内地鶏など、牛肉以外の肉も珍しくおいしいものを産地から直送している。
人気のメニューは、仔牛シビレ(525円)、うまはらみ(735円)、山形牛コプチャン(525円)、短角牛芯ロース(735円)、アンガス牛カルビ(735円)などで、店員が火加減を調節しながら備長炭で焼いて提供する。
肉の本来の旨さを味わってもらうためにタレは使わず、赤と緑の2種類の柚子胡椒、レモン、塩の薬味で食べる。
本日のメニュー
価格は給与事情の厳しいサラリーマンの懐を考えて、ビール2杯をホルモン2皿でつついて、3000円程度の設定としている。希少な食材でも、卸が母体なので、安く出せるとのことだ。
顧客層は30代から50代が中心で、男性7割、女性3割と男性のほうが多い。内装は1人で来ても楽しめるように、奥行きのあるカウンタースタイルが中心になっている。
新橋界隈のサラリーマンや2、3人連れ女性が目立つが、月曜と火曜は、料理人の来店も多く、同店で味を見て、卸に肉の注文を入れるケースも増えているという。「短角牛」、「赤牛」、「アンガス牛」などがフレンチやイタリアンの店で使われるきっかけになればと、横内社長は手応えを感じている。
宣伝を特にしているわけではないが、情報通の雑誌に取り上げられるなど、順調にスタートを切っており、夜は1.5〜2回転する状況。木曜、金曜は、予約を取ったほうがいいような混み具合だそうだ。昼には、850円を平均とした、お得なランチも楽しめる。
店内の音楽に、カンツォーネを流しているのも珍しい。
日本の牛肉市場を変える発火点になるか。卸、生産者と連動した、同店の発展に期待したい。
外観
店内
カウンター焼肉スタイル
【炭火焼肉 かるびあ〜の】
住所 | 東京都港区新橋3−7−4 |
電話番号 | 03−3519−2929 |
営業時間 | 11:30〜14:00、17:30〜23:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
客席数 | 16席 |
客単価 | 5000円 |
経営母体 | 有限会社横内商店 |
長浜淳之介 2006年8月22日取材