次に流行るお店
厳選素材と日本酒を味わう、鶏と炭火の和ダイニング
「庵狐」恵比寿店(東京・恵比寿/鶏料理、炭火焼)
第156回 2006年10月27日
「庵狐(あんこ)」恵比寿店
「庵狐(あんこ)」という名前の店は、三宿、渋谷・円山町に次ぐ3店目である。しかし、3店ともメニュー構成はベースとなるもの以外は異なるので、いわゆるチェーン的な発想はなく、個別の店と言っていいだろう。
恵比寿店では、素材を厳選し、鶏は鳥取県産「大山軍鶏」を使用。鮮魚は築地の市場から旬のものを仕入れている。また、野菜は契約農家から直送しており、栃木県の本来の無農薬・無化学肥料栽培農法に取り組む川田農園をメインに据えている。
地鶏の刺身盛合せ(1200円)
鶏料理では、炭火で焼いた各種の焼物、とり刺、鶏飯などがあり、「大山軍鶏」の通常の軍鶏よりも軟らかくて身が締まった、野性味とコクのあるどこか懐かしい味わいが楽しめる。
そのほか炭火では、イベリコ豚を焼いてみたり、もつ煮込みは串で刺して軽くあぶって提供するなど、シンプルながらも創作性の高いメニューを随所に織りまぜている。
深夜であっても、ご飯がしっかり食べられるようにもなっており、人気の「じゃこと万願寺唐辛子の焼飯」(750円)のほか、味噌を使った「山菜味噌おじや」(750円)、「焼味噌ごはん」(700円)といったようなメニューもある。
「じゃこと万願寺唐辛子の焼飯」(750円)
上記のもつ煮込みやおじやのように、味噌を使った各種の料理も、この店の売りの1つだ。
お酒は、70種類と焼酎がそろっていることもさることながら、むしろ同店の特徴は日本酒に対するこだわりだ。全国から美酒を厳選して、45種類と力を入れている。
特に、熟成させた日本酒の古酒である、オリジナルの「達磨正宗 庵狐ブレンド」(60mlのグラス、900円)をメインに提供している。焼酎のようなスッキリした感じの日本酒である。古酒は3年から30年寝かせているが、庵狐ブレンドではさまざまな年数のものを、バランス良く調合している。中には昭和40年代に製造して酒蔵に保存したお酒も、混じっているという。古酒をワインのように、グラスでおしゃれに提供するのが、同店のスタイルだ。
個室
顧客層はサラリーマン、OL、恵比寿で働いている人たちで、年齢は20代後半から50代、60代の年輩者までと幅広い。男女比は4対6で、女性のほうがやや多い。
「店で出す料理がシンプルなものが多いので、お年を召した方にも喜んでもらえているのでは?」と、吉田一生店長は語る。
顧客単価は4000円となっている。
内装はカウンター、ダイニング、個室に分かれており、金属系の素材を避け、木や塗り壁で暖かみを出している。個室からは日本酒一升瓶のボトルセラーが見え、なかなか壮観である。
プロデュースは、立ち飲みの繁盛店、渋谷・神泉「buri」、恵比寿「buchi」を手掛けた東美代表の東井隆氏。デザインは、同じく両店を担当したガタイ・インターナショナル。
お酒、中でも日本酒の好きな人にとっては、ツボを抑えた店に仕上がっている。年輪を経て渋みが出るほどに、輝きが増してくるようなタイプの店だ。
テーブル席
照明
カウンター
【「庵狐」恵比寿店】
住所 | 東京都渋谷区恵比寿4−4−8 |
電話番号 | 03−5789−9930 |
営業時間 | 18:00〜翌5:00 |
定休日 | 無休 |
客席数 | 40席 |
客単価 | 4000円 |
経営母体 | 株式会社ニーズ |
長浜淳之介 2006年9月22日取材