次に流行るお店
天草の地鶏、黒豚料理を思う存分味わえる郷土ダイニング
「幻の水炊き・マロン豚・地焼酎 あまくさ」
(東京・銀座/熊本郷土料理)
第158回 2006年11月17日
名物天草大王の水炊き
展開したのは、「アキタダイニング なまはげ」、「黒豚・地鶏・さつまあげ 黒薩摩」など、最近は郷土料理ダイニングの成功で知られる、安田久が率いるエイチワイシステムだ。
メイン料理は、「天草大王」なるブランド鶏を使った、この店だけでしか食せない「幻の水炊き」(2500円)。
これは、伝説の地鶏と言われ、昭和初期に一度は絶滅しながら、半世紀を経て熊本県農業研究センターが平成4年に復活させた、「天草大王」の鶏ガラでスープを取り、肉や野菜を水炊きにしたもの。スープは濃厚でコクがあり、肉は白色で旨みがあって軟らかい。コラーゲン、野菜のビタミン、ミネラルがたっぷり入っているので、ヘルシーでもある。
「天草大王」は、明治中期に輸入された中国北部原産の「狼山(ランシャン)」種と、地元で飼われていたシャモやコーチンが、交配して生まれた地鶏で、雄は体高90センチ、体重7キログラムにまで成長する個体もあり、鶏の中でも最大の大きさの品種とされる。
当時は、博多の料亭などへの水炊き用の高級食材として珍重されたが、産卵率が低く、大量の飼料が必要なため、昭和初期、戦時中の食料難で絶滅してしまった。それを県産地鶏復活プロジェクトで、「狼山」種をアメリカから輸入し、文献、写真、当時描かれた油絵などを基に、シャモ、コーチンを交配させて、復活させたという。
他にも、「天草大王」料理には、溶岩焼、刺身、おろしポン酢和え、唐揚げとカマンベール、石焼親子丼といったメニューがあり、この幻の地鶏を堪能することができる。
溶岩焼はもも、むね、レバー、砂肝が各800円からあり、溶岩で焼くことで、遠赤外線効果、マイナスイオンやミネラルを吸収する効果によって、おいしくいただける。タレは、九州らしく、甘辛い味付けとなっている。
もう1つの売りは、主に栗を餌とした「マロン豚」と呼ばれるブランド豚で、東京ではこの店しか出していないもので、肉に甘味のある絶品という。「マロン豚」は「黒豚」の中でも純粋種である、特に両手、両足、鼻、尻尾の6カ所が白くなっている、通称「六白豚」を、たとえば「イベリコ豚」がドングリを与えられて育つように、栗を細かく砕いて与えているものである。
「マロン豚」のメニューでは、ロース、バラの溶岩焼(各800円)や、角煮、自家製ロースハム、チャーシュー焼、マロン豚ときのこのサラダといったものが、食べられる。
なお、「天草大王」、「マロン豚」は、社会福祉法人・天草ポランの広場で、天草の天然水でていねいに育てられ、提供されている。
それ以外にも、「有明海の真ダコ飯」、天草の家庭料理「タコのブタ焼き 茄子味噌風味」、天下一品と言われる阿蘇・古閑牧場の馬刺し、熊本名物・辛子蓮根、熊本市民なら皆知っている中華の名物料理「太平燕」、熊本県産デコポンを使った「デコポンシャーベット」など、熊本の旨いものが集められていて、地元出身者、出張や旅行で熊本に行った人にとっては、こたえられないメニューが並んでいる。
太平燕(タイビーエン 950円)
天草家庭の味タコのブタ焼茄子味噌風(980円)
天草じゃが太郎揚げ(700円)
ドリンクでは、元気回復の食材として健康市場で注目されている、血糖値を下げ、血液をサラサラにするというシモン芋を使った、オリジナルの焼酎や、お茶が飲めるのも、大きな特徴だ。
シモン芋焼酎「天草の虎」は、“マネーの虎”であったエイチワイシステムの安田久社長がプロデュース。甘みが多く、コクがあり、芋の臭みが少なく、まろやかな味わいであるという。
その他にも、熊本限定の焼酎と日本酒25種、全国厳選焼酎60種、厳選梅酒20種等々、お酒もこだわって品ぞろえしている
マネーの虎 安田久氏プロデュース 天草之虎しもん芋(4500円)
プレミアム焼酎
店内の内装は、天草がキリスト教を戦国時代より受け入れるなど、西洋文化と接していたことから江戸小紋の麻の葉文様をイメージした壁紙やステンドグラスを使うなど、和と洋が融合したモダンなデザイン表現を行っている。
BGMはジャズを採用している。
顧客層はサラリーマンが中心で、男女比は7対3で男性が多い。客単価は6000円を越えており、予想より高めになっているそうだ。熊本のテレビや新聞に、早速取り上げられているので、熊本から所用で上京したついでに立ち寄る人も多いのかもしれない。
同社は、企業理念として、“「食」による地方活性化を通して日本の経済と社会の発展に貢献する”を掲げており、47都道府県、47ブランド、47地方活性化店舗の実現を目標としている。
それによって、地方のブランド化につなげ、雇用、観光といった新たな事業を生んで、地方から日本を元気にしたいと、安田社長は考えている。
2007年に10店、08年に20店、09年に30店を達成し、売上高30億円として株式上場を目指すという。
「幻の水炊き・マロン豚・地焼酎 あまくさ」は、その意気込みに違わぬ、天草発の「天草大王」、「マロン豚」、オリジナル焼酎「天草の虎」の開発といった、天草ブランド創出に寄与しており、銀座の名店として語り継がれる店になる可能性は十分である。
店内
ステンドグラス棚
【幻の水炊き・マロン豚・地焼酎 あまくさ】
住所 | 東京都中央区銀座5−4−5与板屋ビル3F |
電話番号 | 03−3289−6262 |
営業時間 | 17:00〜23:45 |
定休日 | 無休 |
客席数 | 30席 |
客単価 | 6000円 |
経営母体 | 株式会社エイチワイシステム |
長浜淳之介 2006年10月20日取材