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次に流行るお店

看板メニューは「やみつきになる味」。歌舞伎町パワーの配信基地を目指す、元気居酒屋
「はじめ屋」
(東京・新宿/和風居酒屋)

第169回 2007年3月16日

「はじめ屋」ファサード
「はじめ屋」の1日は、活気溢れる朝礼から始まる。状況報告と挨拶の練習に終始する、ありがちな朝礼とはひと味違う。参加しているスタッフは常に笑顔。先を争うように、「売上をアップしたい」という具体的な目標から、「自分の店を持ちたい」といった個人的な夢まで。直近の目標や将来の夢を大きな声で発表し合う。この明るく、清々しい勢いに満ちた朝礼の雰囲気が、「元気居酒屋」と銘打たれた「はじめ屋」のスタイルを象徴している。

「この朝礼には声を出して勢いをつけるだけでなく、スタッフのチームワークを高める効果もあります。気持ちのいい空間作りと仕事の効率アップにつながりますから、メリットは大きいですね」。




店内はり紙(夢)

 店を預かる谷口順一店長の言葉どおり、賑やかで気取らない雰囲気の店内では、スタッフがきびきびと仕事をこなす。客とのコミュニケーションも万全。マニュアルに支配された型どおりの接客ではなく、まるで「近所の居酒屋」と「常連客」のようなざっくばらんな関係が垣間見える。

「歌舞伎町を元気にしたい。この店がエネルギーの発信源になれればいいと思っています」

 はじめ屋を運営する東南観光開発株式会社のエリアマネージャー、神成昭宏氏は語る。新宿・歌舞伎町では、05年より一帯の環境改善プロジェクトである「歌舞伎町ルネッサンス」が推進されている。安全で快適な街づくりが進む一方で、歌舞伎町ならではの活気に満ちた表情が失われつつある。気さくでエネルギッシュであることをモットーとするはじめ屋の存在は、古きよき歌舞伎町のテイストを守り、この街を愛する人々の拠り所のひとつになり得るという意味でも注目に値する。


エリアマネージャーの神成昭宏氏

 はじめ屋には試行錯誤の末に生み出された3つの看板メニューがある。一番人気は「名代・炊き餃子」(630円)。自家製の餃子をトンコツ、鶏ガラ、魚介のトリプルスープで炊き込んだ一品だ。餃子を食べ終わったあとのスープは「ちゃんぽん麺」(315円)、「雑炊」(100円)として楽しむこともできる。はじめ屋に来れば必ずこのメニューをオーダーする「炊き餃子ファン」も多いそうで、彼らの愛する味がブレないよう、スープ作りには細心の注意が払われている。「秘伝・鶏皮焼き」(1本105円)は塩とタレの2種類。手作業で巻いた鶏皮を、炭火でパリッと焼き上げた。あとを引く味わいと手軽な値段もあって、10本単位でオーダーする客も後を絶たない。大鍋でじっくりと煮込んだ「牛すじの熱々! 赤煮込み」(504円)は、半熟玉子(105円)とあわせると旨さが引立つ。


名代・炊き餃子(630円)


牛すじの熱々赤煮込み(504円)


秘伝・鶏皮焼き(105円)

 看板メニューのほかにも、リーズナブルで工夫を凝らした逸品メニューがそろう。

「ベースはオーソドックスな『居酒屋メニュー』ですが、素材の組み合わせや調理方法にひねりを加えています。ここでしか味わえない、オリジナリティのあるメニューをご提供したいと思っています」

 一般的な居酒屋とは一線を画した個性的な店作りを目指す谷口店長は、「はじめ屋オリジナル」の確立に意欲を見せる。神成氏の言葉を借りれば「ハズレのないB級グルメ」。看板メニュー3種のみならず、すべてのメニューを試してみたくなることは間違いない。

 ビール、ホッピー、日本酒に焼酎など、豊富なドリンクメニューの中で注目すべきは、「明日への活力! 健康サワー酎」と題した酎ハイ。「ウコンのパワーハイ」(420円)、「豆乳ハイ」(441円)、漢方・滋養強壮成分が配合された「ホイス」(317円)など、健康をキーワードに据えたドリンクは女性はもちろん、疲れを抱えた会社員諸氏にも人気を博す。今後はオリジナルカクテルにも力を入れていく意向。店長は「味はもちろん、ネーミングにもこだわりたい」と言う。

「はじめ屋の業態は、東南観光開発にとってひとつのモデルケース。ノウハウの蓄積を進めながら、今後はさらにブランド力を高めることが目標になります」

 神成氏は、はじめ屋の位置づけについて語る。気軽に暖簾をくぐれるアットホームな雰囲気、看板商品を中心に据えた趣向をこらしたメニュー。06年3月のオープン以来、着実に認知度を上げているはじめ屋は、さらに進化を遂げようとしている。


店内

「東京に出張に来ている方が毎日のように通ってくださったり、来られるたびに必ず炊き餃子をオーダーされるお客様がいらっしゃったり。これからも多くの方にはじめ屋のファンになっていただけるよう、努力していきたいです」

 経営が軌道に乗れば、2号店の出店も検討されるが、神成氏と谷口店長は、よくある「居酒屋チェーン」のように画一的な店作りをしていくつもりは毛頭ない。アルバイトも含めたスタッフの自主性を重んじ、店の雰囲気やメニューに変化を求めていく。客の誕生日イベントや企画も仕掛けていく計画もある。スタッフが口をそろえる「やみつきになる味」の看板メニューと、ざっくばらんで親しみやすい雰囲気を武器に、元気居酒屋・はじめ屋の挑戦は続く。



谷口店長


【はじめ屋】
住所 東京都新宿区歌舞伎町1-26-7 エイトビル1F
電話番号 03-3200-0123
営業時間 月〜金17:00〜4:00(LO)
土12:00〜4:00
日12:00〜0:00
定休日 無休
客席数 56席
客単価 2800円
経営母体 東南観光開発株式会社
長浜淳之介 2007年1月27日取材

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