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次に流行るお店

伝説の鬼が出迎える、産地の旬な素材にこだわった本格炉端
「炉端焼 鬼吉」
(東京・上野/炉端焼)

第170回 2007年3月23日

「鬼吉」炉端
「炉端焼 鬼吉」は、今年2月1日、東京メトロ銀座線上野広小路駅前にオープンした。“料理旅館”をコンセプトとした飲食施設「しのばず屋別邸」内にある4店のうちの1店で、素材そのものの味を楽しむ本物志向の高級な炉端焼の店である。

 経営はダイヤモンドダイニングで、同社としては「しのばず屋別邸」で和食の本格的な業態に初めてチャレンジしている。

「しのばず屋別邸」のターゲットに基づき、団塊世代の男性が落ち着いて飲める店を目指しており、“料理旅館”の奥にある蔵という設定で、照明を落としてしっとりとした和風の古民家のようでありながらも、モダンなテイストの空間を構築している。特にカウンター席では、目の前で職人が炉端焼を焼き上げるのを見ながら、シズル感のある食事を楽しめる。

 店内に入場するには、エントランスから石壁の細い通路を抜けていかなければならないが、入店した時に誰もが驚くのは、店の中央で厨房に向かって睨みをきかす、巨大な赤鬼のオブジェだ。




赤鬼のオブジェ

 この赤鬼こそが、蔵の奥に住みついている伝説の炉端の鬼、「鬼吉」であり、「鬼吉」の目に適った新鮮な地物の魚介類、肉、野菜だけを厳選し、旨みを内側に閉じ込める“強火の遠火”でじっくりと炭で焼き上げた食材を、最もおいしくなるタイミングになる瞬間を逃さず、手に握られている大きなしゃもじで、顧客に提供するといった物語が設定されている。よく何か技術をきわめた人のことを「○○の鬼」と言うが、そんなイメージだろう。

 料理は焼物がメインで、その日入荷した食材のみをカウンターに並べ、オーダーが入ってから顧客の目の前で、丁寧かつ豪快に焼く。

 人気メニューは、「伊万里牛サーロイン」(3600円)、「彩の国黒豚バラ」(1150円)、「北海道羅臼産ほっけ干物」(980円)などだが、メニューと価格はその日の入荷状況によって変わる。そのほかにも、薩摩軍鶏もも、五島列島産活さざえ、京都産伏見唐辛子、長野産大椎茸など、産地を厳選して旬の食材を提供する。


五島列島産 活さざえ 1800円


鹿児島 薩摩軍鶏もも 1300円

 その日のおすすめを日本酒の瓶にラベルのように貼って、見せているのもユニークだ。

 焼物のほかにも、魚のお造り、サラダ、てんぷら、鍋、お茶漬け、甘味などのメニューもそろえている。コース料理は1人5000円からある。

 ドリンクは、日本酒、芋焼酎、梅酒を中心にビールなどを含め、各種代表的な銘柄をそろえている。特に燗酒を推奨しており、天然水で割り水し、熟成させたお燗の芋焼酎と梅酒は、この店でぜひ味わいたいものである。

 1リットルの特大ジョッキに入っている「鬼生ビール」(1500円)もユニークだ。日本酒は基本、2合のとっくりから豪快に提供し、焼酎は一升瓶のボトルキープもできる。

 顧客層は30代後半以上のスーツ姿の男性が、2〜6人くらいの小グループで来店するのが目立ち、軽い接待も多いという。

 現状の集客はカウンターで2〜3回転、テーブル席で1回転といったところだが、ダイヤモンドダイニングとしては地元密着でじわじわと口コミで広げていきたい意向だ。

 日本の伝統を取り入れながらもスタイリッシュな空間のデザインは、ベイリーフの前田太郎氏とデカルトのリンクワークとなっている。また、BGMは祭囃子など懐かしさを感じる活気あるものを流している。


店内


入口の暖簾

 客単価は7500円と高めで、料理を楽しみに来店する人も多いそうだ。

 オーソドックスな中にも、鬼のオブジェなど遊びの要素を盛り込み、つくりこんだストーリー性で、これまでにない炉端焼の見せ方を示したところに同店の意義はあるだろう。


嶋貴幸店長


【炉端焼 鬼吉】
住所 東京都台東区上野1-20-11 鈴乃屋ビル4F
「上野黒門 しのばず屋別邸」内
電話番号 03-3836-1630
営業時間 17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日 無休
客席数 51席
客単価 7500円
経営母体 株式会社ダイヤモンドダイニング
長浜淳之介 2007年3月9日取材

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