次に流行るお店
昭和レトロの漁港の雰囲気を再現した漁師料理の店
「浜焼・漁師料理 波平」
(東京・恵比寿/海鮮居酒屋)
第182回 2007年7月13日
「波平」の元気なスタッフ
「浜焼・漁師料理 波平」は、去る6月14日に、恵比寿駅西口駅前にオープンした、ダイヤモンドダイニングとしては初めて恵比寿エリアに進出した店である。
築地市場をはじめ、世界3大漁場の1つとして名高い岩手県の大船渡漁港、マグロ漁業基地の神奈川県三浦半島の三崎漁港、鳥取県の境漁港、北海道を代表する札幌市場など、日本各地の魚市場から、その日に水揚げされた新鮮な魚介類を使った、漁師が船や港で食す、“漁師料理”の数々を提供している。
恵比寿は、ファッション、デザイン、芸能などの関係者も多く集まるおしゃれなイメージのある街だが、豚料理に特化した「ぶた家」のようなベタな店も、流行る傾向にある。以前は、ワインが似合いそうなおしゃれなダイニングが入居していたスペースであるが、居抜きであえて、気軽に通えるベタコテの魚料理の店を提案したという。
内装は、昭和レトロの雰囲気を醸し出した、漁師町、漁港の雰囲気でまとめている。福島県の小名浜港で購入した大漁旗を使うなど、随所に工夫が見られる。
エントランス
大漁旗で飾られた店内
通路
干し台イメージ
テラス席
エントランスには魚の品札が壁一面を覆うドラム缶テーブルと、ビールケースの椅子が置かれ、さながら魚市場の傍らにある簡易立ち飲みスペースといった表現。鮮魚が盛られたトロ箱カウンターのある小道には、港の市場に立ち並ぶ食堂をイメージした、個室席が軒を連ねている。
小道を抜けるとメインフロアーが出現し、オープンなスタイルのテーブル席が広がる。また、席を囲むように流れる水と、イカやアジの干し台で浜辺の風景を再現した高床テーブル席もあり、奥には港町の寂れた場末のスナックをイメージした個室「スナック渚」の看板も見える。
さらに、ビルの最上階ならではのオープンテラス席でも飲食を楽しめる。
店員は海の家のようなイメージで、Tシャツ、ジーンズで接客する。
人気メニューは、各テーブルに置かれたコンロを使って、顧客自身で焼いて食べる「浜焼」で、9割の顧客がオーダーするという。ハマグリ、サザエ、ホタテといった貝類をはじめ、エビ、イカなどが人気だ。
また、千葉県勝浦町の「真鯵なめろう」、愛媛県宇和島市の「真鯛のひゅうが」、福島県相馬市の「あいなめ味噌たたき」など、各地の漁師料理が味わえるのもうれしい。
マグロ料理では、刺身のみならず、ガーリックステーキ、ほほ肉の炙り、目玉の煮付けのほか、珍味である胃袋、心臓、白子などの内臓の串焼も提供するといったように、バラエティ豊かなメニュー構成となっている。
シメには、漁師のあら汁の人気が高い。
カウンター横の素材
漁師料理
鮪目玉煮ヨコ
あら汁
ドリンクは、ビール、日本酒、本格焼酎、梅酒、サワー、カクテル、ホッピー、ソフトドリンク等々とそろっているが、1.5合のやかんに入った日本酒のやかん酒がいちばんのお勧め。土地柄か、意外にワインのオーダーも多いそうだ。
やかん酒
顧客層は20代後半以上のサラリーマン、OLが中心で、年齢的には50代、60代まで幅広く集客しており、やや男性が多い程度。平日は夜8時には満席になっている状況で、想定していたよりも110%の売り上げと、好調なスタートを切っている。3回、4回と足を運ぶリピーターも出てきているようだ。金曜、土曜、祝日の前日の深夜営業は、現状まだよく知られていないので空いているが、同業者が目立つような傾向がある。
素材を生かした料理を、ノスタルジックな空間で提供するタイプの店は、全般に流行る傾向があり、期待していいのではないだろうか。
ダイヤモンドダイニングは、7月に大森に1店、渋谷に2店、新橋に1店をオープンし、店舗数は45店となった。100店舗100業態という目標の半分50店には、年内に到達するのは確実な勢いだ。
奥にある、港町の寂れた場末のスナックをイメージした個室「スナック渚」
個室「スナック渚」内のポスター
【浜焼・漁師料理 波平】
住所 | 東京都渋谷区恵比寿西1−7−3 ZAIN EBISU 6F |
電話番号 | 03-5458-3810 |
営業時間 | 17:00〜23:00 金・土・祝前日 17:00〜翌4:00 |
定休日 | 無休 |
客席数 | 100席(うちテラス席16席) |
客単価 | 4000円 |
目標月商 | 1200万円 |
経営母体 | 株式会社ダイヤモンドダイニング |
長浜淳之介 2007年7月6日取材