次に流行るお店
コース料理でゆったりとくつろぐ、産地直送の魚と野菜にこだわるイタリアン
「Annata(アンナータ)」
(東京・祐天寺/イタリアン)
第189回 2007年9月15日
赤エビと赤イカとブロッコリのタリアテッレ(ある日のコースの1品)
「Annata(アンナータ)」は、東急東横線祐天寺駅より徒歩3、4分の閑静な住宅街にあるマンションの1階に出店している、東京郊外の隠れ家的なイタリアンの店。オープンは今年の5月末だ。
経営は飲食・イベント企画など多彩な事業を行う株式会社Club AI2S(クラブ アイツーエス)以前は秋葉原メイドカフェブームの火付け役でもあった河原美花氏が社長に就任。韓国家庭料理「ノルブネ」をはじめ、21店舗の飲食店を運営する総合飲食サービス業・株式会社ゲッツ・インターナショナル(代表取締役:宮上 元伸)と共同で運営している。
「Annata(アンナータ)」外観
店名の“Annata”は、イタリア語で「ワインのヴィンテージ・当たり年」にあたり、店のロゴに入っている“giovane azzurra”とブドウの絵は、イタリア語で「若くて青いブドウ」を意味している。まだスタッフは若く未熟なブドウのようだが、この店が顧客にとって味わい深く熟成されたワインのように、すばらしいレストランとして成熟していけるようにとの気持ちを、店名とロゴに込めたとのことだ。
ワイン樽のオブジェ
「Annata(アンナータ)」店内
「祐天寺は飲食店が増えている中目黒から一駅離れているので、落ち着いた住宅地の趣があります。東京都心部からも近く、静かな環境で食事を楽しんでもらう、わざわざ来てもらう店には最適な立地」と長谷川慎料理長。以前は広尾のイタリアンの店「トラットリア・ビア・マッジオ」で腕を振るっていた。
すべてのメニューをコース料理で提供しており、ランチはパスタが中心で前菜、デザートの付く1,800円、2,800円及びディナーと同様、よりハイクオリティな食材を使ったボリュームもある6,000円と3つのランチコースがある。一方、ディナーはアミューズ、前菜、パスタ、メイン、デザートがセットになった6,500円と8,000円のディナーコースがある。全コースにおかわり自由の自家製焼きたてパン、食後の飲み物が付いてくる。
店の売りは産地直送の魚と野菜を前面に出したイタリアンで、旬の日本の新鮮な食材を使うスローフードの方向性を持つ店だ。魚は神奈川県小田原の港より相模湾の当日獲れた魚介類を仕入れている。野菜は減農薬栽培で、千葉県八街産及び京野菜がメイン。また、料理長が直接、素材を厳選し、買い付ける鎌倉野菜を使うこともある。
メインディッシュには肉料理もあり、魚料理か肉料理を選択してもらう。
その日の旬の素材を使うために、メニュー内容は毎日変わる。近隣の人や著名人が集まるワイン会が開かれることも。
キャラメルバナナとピスタチオのジェラート(ある日のコースの1品)
顧客層は30代〜80代まで幅広く、近所に住む主婦、家族、夫婦、親子が多い。男女比は女性がメインで8〜9割を占めるという。祐天寺界隈は生活に余裕のある裕福な家庭が多く、2世帯、3世帯で住んでいる人も珍しくない。そういった地域特性を反映した顧客層と言えるだろう。
魚や野菜がメインの店なので、美容を気にする女性、健康に気を使うお年寄りに受けがいい側面もある。
客単価は、ランチで3000円、ディナーで10,000円といったところだ。
内装、インテリアは、海と空をイメージした青と白を主体とした色使いでさわやかに仕上げている。
田園都市沿線や鎌倉など湘南地区では決して珍しくないタイプのレストランだが、飲食店の出店ラッシュが続く中目黒の隣駅祐天寺で、こういったスローな店の出店が始まったことは注目すべき現象だ。
中目黒と自由が丘にはさまれた、祐天寺、学芸大学、都立大学といった東横線沿線の駅前が、ダイニングのフロンティアとしてポテンシャルを持っていることを気づかせられた店である。
【Annata(アンナータ)】
住所 | 東京都目黒区五本木1-29-1 |
電話番号 | 03-3714-0308 |
営業時間 | ランチ 11:30〜14:00(L.O.) ディナー 18:00〜22:00(L.O.) |
定休日 | 月曜日(月曜が祝日の場合、営業。翌日休み) |
客席数 | 20席 |
客単価 | ランチ 3000円 ディナー 10,000円 |
経営母体 | 株式会社Club AI2S |
長浜淳之介 2007年9月11日取材