次に流行るお店
商業施設にあって隠れ家のテイストを守る、旬の素材を使った和食が楽しめる店
「銀座KAN」
(東京・銀座/カウンター和食)
第196回 2007年11月21日
合鴨団子の蓮根まんじゅう銀杏あんかけ(1200円)
「銀座KAN」は、目黒川沿いにある看板のない隠れ家和食「KAN」の2号店として、今年4月19日にオープンした商業施設「銀座Velvia館」7階飲食フロアーに開店した、カウンター和食の店である。
経営はさまざまな飲食店60店以上の立ち上げに携わり、丸の内「東京ビルTOKIA」、二子玉川「柳小路」などといった商業施設のプロデュースも手がけた、レストラン・プロデューサーの中村悌二氏率いるフェアグランド。
フェアグランドの直営としては5店目の店だが、商業施設に出店するのは直営では初めてである。
「銀座Velvia館」飲食フロアーのコンセプトが“繁盛店の2店目”で、路面店の感覚で個性的なパワーのある店を集積することにあったので、オファーに応じたのだという。
店のつくりは、「KAN」と同じく一枚板のテイストを押し出した、シンプルなカウンター形式をメインとする和食。カウンター越しに料理人が調理をするのを眺めながら、季節の素材を生かした料理を楽しむといった趣向である。席数は24席。
「銀座KAN」入口
カウンター越しにオープンキッチン
鉄板メニューにも力を入れているのは当店の特徴で、仕入れの肉屋を厳選した「山形和牛サーロインステーキ」(3800円〜)は、肉に味がしっかりした軟らかいものを、表面はカリッと、中には極力火が通らないようにじっくりと焼き上げている。「殻帆立と魚介の鉄板焼」、「秋の旬菜鉄板焼」などのメニューもある。また、「KAN」でも人気の定番メニューでは、「地鶏つくね柚子味噌焼」(800円)、「元祖玉子ごはん」(400円)などがこの店でも味わえ、好評を博しているという。
刺身盛りあわせ(2800円〜)
地鶏つくね柚子味噌焼(800円)
ドリンクは、フランス産ワインがシャンパンを含めて70〜75銘柄そろっているのが特徴で、料理に合わせてさまざまな産地からセレクトしたものが楽しめる。値段はボトルで6500〜3万円くらいまでと銀座の店としては手頃だろう。もちろん、焼酎、日本酒、梅酒、ウィスキー、ビールと、和食に合うお酒のラインナップはワイン以外も充実している。
充実するお酒の数々
集客に苦慮する「銀座Velvia館」にありながらも、好調なスタートを切っており、顧客はランチは1回転、ディナーは1.5回転ほどが、コンスタントに入っている。顧客層は場所柄、ビジネスマンが中心だが、休日は夫婦で訪れる人が多い。男女比は半々とのことだ。
夜は予約で埋まってしまう状況で、特に軽い接待需要に使われる奥の個室の人気が高い。今までのフェアグランドの店のファンにプラスして、新しい顧客も開拓している模様だ。
銀座にあって、ややアッパーなゾーンのカジュアルな和食は、意外に盲点となっている。リーズナブルな値段で、そこそこ高級感ある食事が楽しめる「銀座KAN」は、息の長い繁盛店となる可能性の高い店だと言えよう。
【銀座KAN】
住所 | 東京都中央区銀座2-4-6 銀座Velvia館7F |
電話番号 | 03-3562-7557 |
営業時間 | ランチ 11:00〜14:30(L.O.14:00) ディナー 18:00〜23:30(L.O.22:30) |
定休日 | なし |
客席数 | 24席 |
客単価 | ランチ1800円、ディナー7500円 |
経営母体 | 有限会社フェアグラント |
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2007年10月3日取材