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次に流行るお店

風情ある佇まいと昭和のスローフードで、神楽坂の夜に酔いしれる
「馳走 紺屋」
(神楽坂/日本各地料理)

第231回 2008年8月27日

黒塀が美しい街並み
 飯田橋駅より、歩くこと5分。駅前の賑やかさと対称的に、古き良き日本を感じることができる神楽坂の街並みが広がる。そんな神楽坂で、一昨年春、近隣店舗からの延焼により営業を中止していた「馳走 紺屋」が、今年8月1日にリニューアルオープンをした。以前の建物は築50年以上の割烹旅館をリノベーションした、趣あるものだったという。


和の風情ある、店入り口


東京であることを忘れさせる

 リニューアルオープンにあたり「以前の雰囲気を損なわないように努めました」と外食事業部・本部長の渡辺さとし氏。その言葉の通り、かくれんぼ横丁の黒塀から門をくぐれば、そこはししおどしが涼やかに音をたてる庭が広がり、紺色ののれんをくぐれば、カウンター席、庭が眺められるちゃぶ台席、そして多彩な個室席で構成された落ち着く店内。特に個室席にむかう廊下には、思わず足を踏み入れたくなる、神楽坂の小道のような雰囲気が漂う。ここが地上5階建てのビルの1階であることを、忘れてしまう、しっとりとした佇まいだ。


木の温もりある、カウンター席


話をゆっくりしたくなるような、寛げる個室

「馳走 紺屋」を手がけるのは、「神楽坂茶寮」やフレンチの「かみくら」などの人気店を運営する文商事(新宿区津久戸町)。

 日本各地の料理を取り扱う紺屋のコンセプトは“昭和のスローフード 田舎料理”。昔、日本各地の人々が集まってくる場所であった江戸に着目し、料理も日本全国各地の料理を取り揃えた、「江戸風料理」。その料理は、シンプルで懐かしさを感じるようなものばかり。そこで、「昭和のスローフード」と銘打ったのだ。


庭が臨める、ちゃぶ台席

 また、シンプルな料理なだけに、素材にこだわり「産地」「自然」「安全」を掲げ、食材から調味料まで厳選されたものを使用する。

 料理は、5,800円・6,800円・9,800円の3コースに加え、レギュラーメニューとして楽しめる20〜30種類のアラカルトメニュー、さらに本日のオススメが並ぶ。

 メニューを覗いてみると、北海道の「いくらの醤油漬」(620円)や福井の「さばのへしこ」(680円)、熊本の「豆富の味噌漬」(650円)、千葉の「やなぎかれいの一夜干し」(1,800円)、博多の「がめ煮」(680円)など、酒の肴として楽しめるものが多い。

 また、七厘炭火焼で提供される「干物」は千葉県銚子漁港から直送された旬のものが揃っており、大川干魚店の「やなぎかれいの一夜干し」(1,800円)をはじめ、干物ならではのぎゅっと詰まった旨みが楽しめる。


こだわりの干物

 30代後半〜50代の男性が中心の客層に合わせて、焼酎や日本酒が充実。特に芋焼酎は、九州の一部の地方で昔から知られる「黒じょか」という飲み方ができる。焼酎を水で割り、2、3日寝かせたものを専用の陶器製の土瓶に入れ七厘で提供。通常のお湯割りとは異なり、芋焼酎本来のまろやかな香りと味わいを引き出すのが特徴的だ。又、七厘という演出も楽しみがある。


一釜ずつ炊き上げられる、銀シャリの釜炊き

 〆に楽しみたい食事は、こだわって作られた生産者米を丁寧に一釜ずつ炊き上げる「銀シャリ釜炊き飯(1,000〜1,200円)。蓋を開けたとたん、つやつやと輝くまさに「銀シャリ」とお米のあまり香りをが溢れ出す。ほっと一息つける、味噌汁は具と味噌を選ぶことができるのも嬉しい。

 リニューアルオープンすると同時に、その再開を待ち望んでいた以前の常連客からの予約も入り、順調なスタートとなっている。これまでは男性客中心だったというが、しっとりとした店の雰囲気は女性にも支持されること間違いなしだ。


【馳走 紺屋】
住所 東京都新宿区神楽坂3−1 クレール神楽坂Ⅲ
電話番号 03-3266-1611
営業時間 平日17時〜23時30分
土曜17時〜23時
定休日 日曜
客席数 72席
客単価 6,500円 ※個室はコースのみ
目標月商
開店日 2008年8月1日
経営母体 文商事株式会社
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
鈴木 明日香(すずき あすか)     2008年8月20日取材

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