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次に流行るお店

シェフ厳選の素材で頂点を目指す世田谷の隠れ家・鉄板焼
「母屋 虎幻庭」
(桜新町/鉄板焼)

第235回 2008年9月24日

「母屋 虎幻庭」 外観
「母屋 虎幻庭(おもや こげんてい)」は、世田谷区内東急田園都市線・桜新町駅より北西へ徒歩7分ほどの閑静な住宅街の中に、9月9日新規オープンした鉄板焼の店だ。

 同じ敷地内に昨年11月にオープンして人気店になっている、お好み焼の「古無門(こなもん)」と、今年6月から営業しているスイーツとカフェの「メゾン・ド・雪乃下」があり、3店のレストラン・コンプレックスとなっている。周囲に商店が何もない場所に突然、店舗があるので非常に驚く。駐車場は30台を収容する。

 3店とも経営は横浜市戸塚区に本社があるエイトで、ラーメン、お好み焼、焼肉、居酒屋、焼鳥、天ぷら、スイーツなど多彩な業態を主に戸塚中心に神奈川県内で展開しており、都内の店は今のところ、これら3店のみだ。


外観

 敷地は1400坪と広大なもので、地元の大地主が住んでいた屋敷であったが、庭の手入れが行き届かず、店舗への転用を思い立ち、借り手を探していた。そこで、縁あって不動産業者の紹介で、エイトが借りることになったという次第。

 荒れ放題だった庭をスタッフで手入れし、新しく大小2つのログハウスを建てて、「古無門」と「メゾン・ド・雪乃下」になった。

「母屋 虎幻庭」は地主の住んでいた趣のある木造家屋だったが、店舗にするには狭すぎたので増築。従来の約2倍の大きさに拡張した、奥座敷の風格さえ漂う建物だ。エイトでは都内とは思えない清廉な空気が漂う中で、庭の風情と旬の美味を味わう豊かな時間を提供したいとしている。

 虎幻庭の名前は庭に置かれた虎の石像に由来し、幅が1.5メートルほどの立派なものだ。この庭をつくった、現在の大家の亡くなった祖父の名前が虎松さんと言い、自分の名前にちなんだ虎の石像を中国から取り寄せた。虎の石像はカウンター席から見える。


虎幻庭の象徴‘虎石像’


庭が眺められるテーブル席


カウンター席

 テーブル席からは巨大な岩が見えるが、岩間からは桜や楓の樹木が育っていて、春は桜、秋は紅葉が楽しめる。

「虎松さんは一生涯かけて、毎日少しずつ理想のお庭をつくりあげていったと聞いています。虎幻庭は虎松さんの遺志を継いで、お庭を維持していくだけでなく、お庭の景観を生かして鉄板焼で一番の店になるのが目標です」と語るのは近藤一美社長。

 実は3月より同所でしゃぶしゃぶの店をオープンしていたが、「古無門」が好評につき、同じ鉄板焼のほうが顧客層に合うのではということで、思い切って業態変更し、このたびリニューアルを行った。

「世田谷あたりでは自分でお好み焼を焼く習慣がないお客様も多くて、『焼いてくださらないの?』とよく店員に尋ねられるのもヒントになりました」と近藤社長。


自然の中で料理を味わえる。

 メニューは、肉は最高級A5クラスの牛肉を使う、神戸牛のコース(1万円)、または黒毛和牛のコース(8000円)が中心。黒毛和牛は骨付きのまま空気に触れて熟成させることにより、赤身がやわらかくなるドライエイジングという熟成方法を取ったものを仕入れている。

 築地の市場だけではなく、北海道の漁師から送ってもらうホタテ、エビ、イカなどの魚介類も売りで、神戸牛か黒毛和牛に魚介類をプラスしたコース(1万2000円)もある。野菜は減農薬・有機栽培の鎌倉野菜をメインに使っている。

 料理長の坂和樹氏は、農家、屠殺場、港を歩いて、自分の目で見て良いと思った素材だけを厳選して仕入れており、素材の品質には自信を持っている。

 鉄板焼で10年のキャリアを持つ坂氏は、元は洋食の出身で、鉄板を使ってソースをつくるのを得意技としており、坂氏の顧客とコミュニケーションを取りながら巧みに色とりどりのソースをつくっていく技を見るのも、この店を訪れる楽しみの1つだ。

 お酒は、ビール、日本酒、焼酎などもあるが、売りは減農薬栽培の自然派ワイン(ボトル4200〜1万5000円)で、フランス産が中心となっている。

 ランチは3000円で提供され、主菜を特製ハンバーグステーキ、霜降り国産牛ステーキ、生たらば蟹入りクリームコロッケなど6種類より選べる。会食向けに5000円のコースもある。


ランチ「霜降り国産牛ステーキ」3000円


ランチ「特製ハンバーグステーキ」3000円


ランチ「生たらば蟹入りクリームコロッケ」3000円

 顧客は有閑マダム、リタイアした老夫婦など、近郊の富裕層が中心で、特に宣伝はしていないが、一度来た人が友人・知人を連れてくるなど、業態転換してからは評判がよく、上々の滑り出しとのこと。早くもリピーターがついている模様だ。今後は隠れ家的な立地なので、著名人、芸能人の来店を期待している。また、結婚式などのパーティー需要にもこたえていく。

 ミシュランの調査員や名だたる美食家にぜひ来店していただき、多くの人の舌によって鍛えられて、鉄板焼ナンバーワンを目指してもらいたい。


【母屋 虎幻庭】
住所 東京都世田谷区弦巻4-14-1
電話番号 03-5426-1166
営業時間 ランチ 11:30〜14:30(L.O.14:00)
ディナー17:00〜21:30(L.O.)
定休日 無休
客席数 約50席
客単価 1万円
目標月商
開店日 2008年9月9日
経営母体 株式会社エイト
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ)     2008年9月17日取材

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