次に流行るお店
各国の文化が融合した豊かな食文化を持つ国・マレーシアの味わいを気軽に楽しめる
「JOM MAKAN(ジョムマカン)」
(銀座/マレーシア料理)
第241回 2008年11月5日
ラクサペナン(1,200円)は、魚の旨みがポイントに。
外観
こちらのジョムマカンは、なんと、マレーシア政府直営のレストラン。経営するのは、マレーシア政府が100%出資のジョム マレーシア ジャパン株式会社(渋谷区恵比寿西)。マレーシアの食文化を広めるべく提唱する「マレーシアキッチンプログラム」という政策の一環で、世界一号店として日本にオープンした。目標店舗数は1,000軒で、現在、ロンドンに2号店をオープンし、ニューヨークに3号店を出店予定だ。
マレーシアは、観光地として人気はあるものの、その食文化はあまり知られていない。各国料理が楽しめる東京においても、これまでマレーシア料理店は4店舗しかなかったのだという。マレーシアは、マレー系、華人、インド系からなる他民族国家で、タイとインドネシアに接することから、料理も様々な国の調理法や味わいが融合しているのが特徴だ。
他民族国家であることから、マレーシア料理といっても中華系やインド系などがあるが、ジョムマカンでいただけるのは、国民の人口70%を占めるマレー系の料理。その、まさに本場の味わいを、マレーシア政府が公認したマレーシア人のシェフが提供している。
鳥もも肉に甘辛いソースをつけて焼き上げたアヤム プルチェ 980円。マレーシアの田舎料理だ
とはいえ、マレーシア料理と言われてもなかなかピンとこない。そこで、スパーバイザーの高津大樹さんに尋ねると
「まず、マレーシアでは、祈りをささげ、料理することが許された食材“HALAL(ハラル)”のみが使用されます。 これはイスラム教の教えに由来するのですが、当店では、このハラルのみを使用しています。都内でも、肉に関してはハラルミートを使っているところはありますが、全ての食材に徹底して使用しているのは、他にないと思いますよ。なので、在日のイスラム教徒の方も、旅行で日本を訪れているイスラム教徒の方にも安心して利用していただけます」という。味付けのみならず、その素材までもが本当の味わいであることがよくわかる。
「また、特徴的なこととしては、イスラム教では酒を飲むことが禁じられている。とはいえ、日本のレストランで酒を置かないというのはなかなか難しいので、ワインやアジアビールなどを提供しています。でも、料理には一切に料理酒は使いません。また、酒を飲まない方も楽しめるよう、ノンアルコールカクテルなどもご用意しています。」
料理は、確かにインドネシアのナシゴレンのようなものがあったり、タイ料理のようであったり、インド料理のようであったり、他の国の料理としてみたことがあるようなものが多い。しかし、よくよくお話を聞くと、そういった各国の料理の要素が取り入れた、マレーシア独特の料理であることがよくわかる。
パリパリの食感が病みつきになるロティチャナイウィズカリ 800円
おやつによく食べられるという、「ロティ チャナイ」は、小麦粉をこねて平らにし、鉄板で焼き上げたパンの一種。カレーなどをつけて食べるところは、インドのナンに似ているが、実際にはもう少し薄くもちもちとしながらもまわりはぱりぱりだ。
意外にもマレーシアの主食は米ということで、ご飯のメニューが多いのも特徴だ。チキンスープで炊いたジャスミンライスに、ふっくらと蒸しあげた鶏肉を添えた「ナシ アヤム」(1,200円)は、スパイスの効いた人気の一品。一緒の運ばれてくるスープも、ソースも全てかけていただくのが、マレーシア流だという。
マレーシア流といえば、メニューには追加のソースが用意されている。もともとソースが添えられているメニューも多いので、足りなくなったときの追加用ソースですか?と尋ねると、辛さの旨みの調整用とのこと。例えば、海老ペーストを使った自家製「サンバルフラチャンソース」は麺類に入れたり、ご飯メニューにかけて食べるのがおすすめで、トッピングのように使って、好みの味わいを楽しむのに使うのだという。
バナナの花を使った珍しいサラダウラップジャントンピサン 900円。
ライスで楽しみたい、カリーイカン 1,200円
他にも、魚とバナナの花を使ったマレーシアで女性に人気だというサラダ「ウラップ ジャントン ピサン」(900円)や、魚を使った「カリー イカン」(1,200円)はスパイスと魚の旨みが絶妙なインドカレーとは異なる味わいだ。他にも、メニューが並び、その数はざっと50種類以上。
中でも高津さんのオススメは、「ラクサ ペナン」(1,200円)。魚の旨みたっぷりのカレースープが、もちもちとしたうどんのように太い米粉の麺とよく絡み、絶品だという。「スープの味わいだけではなく、魚の身も入っているんです。なかなか、麺類としては珍しいと思いますよ」
マレーシア北部の伝統的なデザート、カスタードソースを使ったプディングラジャ 650円。
デザートも豊富。南国らしい雰囲気の飾りつけが施されたスイーツは、マレーシア独特の「テ・ボー」と呼ばれる紅茶と楽しみたい。
ランチは、お得なセットメニューが用意されており、カウンター席もあり女性が一人でも訪れやすい雰囲気。夜はアラカルトのみだ。
かわいらしい内装は、有名レストランを多く手がける空間デザイナーの戸井田晃英氏によるデザイン。オレンジ色はマレーシアの太陽をイメージし、店内2本の柱はマレーシアの首都・クアラルンプールのランドマークである“ツインタワー”をモチーフにガラスのタイルで覆ってある。「マレーシアが発展している、ということを伝えるためにも、現地らしさよりあえて、都市らしい部分を前面に出しています。クアラルンプールは、本当に都会的な街なんですよ」と、高津さん。
モダンマレーシアをイメージした店内
あえて日本人むけにしていない料理の数々により、まさに、マレーシアの今を感じることのできるレストランといえるだろう。銀座で、気軽にマレーシアの味を堪能してみたい。
【ジョムマカン】
住所 | 東京都中央区銀座5−1先B1 |
電話番号 | 03-6280-6777 |
営業時間 | 11:30〜16:00、17:30〜23:00(LO22:00) 土日祝祭17:30〜22:00(LO21:00) |
定休日 | 不定休 |
客席数 | 38席(カウンター9席) |
客単価 | ランチ 850円 ディナー 3,000円 |
目標月商 | |
開店日 | 2008年10月3日 |
経営母体 | ジョムマレーシアジャパン株式会社 |
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
鈴木 明日香(すずき あすか) 2008年10月28日取材