次に流行るお店
世田谷の高感度なファミリーへの浸透を目指すオーガニックイタリアン
「トラットリア・ピッツェリア・オルタッジョ」
(東京・千歳船橋/イタリアン)
第250回 2009年1月14日
ピッツア オルタッジョ
コンセプトは同年3月25日にオープンした1号店「ダ・オルト」と同じだが、立地がトレンドスポットで会社のオフィスも多い中目黒と異なり、千歳船橋は完全に住宅街なので、内容的にはよりリーズナブルな価格帯でのセカンドライン的な店となっている。
物件は過去14年間、チェーン系居酒屋「つぼ八」として営業していたものを居抜きで改装。駅南口より徒歩1分のパチンコ屋の2階にあるが、内装はモノトーンを基調とした落ち着いた雰囲気に仕上がっている。イタリア的な要素をベースに和のテイストを取り入れたインテリアになっており、壁や敷居のガラスとガラスの間に和紙が使われるなどの創意工夫がなされている。子供連れの来店を見越して、壁際にはベンチシートを設けてある。個室スペースのみ喫煙可である。
ファサード
店内
オーガニックファクトリーを象徴するピザ釜
料理は、グループ会社である「ろのわ」というオーガニック農畜産物卸から仕入れた、JAS認定を受けたオーガニック素材、減農薬素材を使っており、誰が生産したのか、顔が見える安全・安心な穀物、野菜、肉、卵にこだわっている。
特に日本ではおそらく小麦全体の1%くらいしか流通していない国産無農薬小麦を、ろのわの熊本の自社農場から供給してつくった、香りの良い手打ちのパスタと薪窯で焼くピッツァが2本の柱だ。
また、ろのわの千葉県柏と茨城県つくばの農場で取れた野菜などからつくった、ドルチェ、サラダ、パーニャカウダは旬の味覚が楽しめ、中には珍しい作物も含まれている。
バーニャカウダ
ピッツァ モンテビアンコ
自家製コンキリエ(貝殻の形のパスタ)
自家製パッパルデェレ(幅広のパスタ)
ドリンクはオーガニックを含んだイタリアのワインをはじめ、ビール、コーヒー、紅茶、フルーツジュースなどが味わえる。
顧客層は、夜はファミリー中心にビジネスマン、OLといったところで、男女比は4:6でやや女性が多く、年齢的には30代がコアになっている。3000円と4500円のコースをオーダーする人が主流だ。
また、ランチは近所の主婦がメインで、95%を女性が占める。年齢は30代、40代がコアだ。1200円、1800円、2800円と3種類のコースがあるが、1800円がメインとなっている。
現状はランチが予想以上に好調で、予想の2倍の客数が入っており、日によっては1.5回転ほどするという。千歳船橋では幼稚園や小学校、習い事などの関連で主婦が集まれるような、ほどほどの値段でおしゃれ感のある飲食店がないので、クチコミで顧客が増えている。
反面、ディナーは予想より入りがやや少なく、特にワインなど酒類があまり出ないので、単価が全般に上がらないのが悩みの種だ。そのため、ジュースメニューを増やすなどの対策を打っているところだ。
「オープンして2ヶ月足らずで500から600人の顧客リストを確保しましたから、あとは3月、4月の卒業と入学のシーズンのパーティー需要に向けて、DM活動を行っていきます」とこの店の支配人で、オーガニックファクトリー社長でもある勝又茂雄氏。
勝又支配人(オーガニックファクトリー社長)
夜はまだ前の店、「つぼ八」のイメージが強くて、認知が進んでいない面があり、駅前、店の前など至る所でビラを配って、店の知名度を上げることに注力するという。
千歳船橋駅は小田急線の中では、急行停車駅の経堂駅と成城学園前駅に挟まれた場所にあり、よそからわざわざ食べに来るような場所ではない。なのでどこまで地域に密着していけるかが、成功の鍵になる。
駅からずっと入った場所には世田谷の高級住宅街が控えており、スーパーの道向かいという利点を生かして、食の安全性に敏感な世田谷マダムに浸透していけば、息の長い繁盛店に育っていくだろう。
【トラットリア・ピッツェリア・オルタッジョ】
住所 | 東京都世田谷区桜丘2-27-14 2F |
電話番号 | 03-5799-4604 |
営業時間 | ランチ 11:30〜15:00(L.O.14:00) ディナー 17:00〜23:00(L.O.22:00) |
定休日 | 無休 |
客席数 | 58席 |
客単価 | ディナー 3500円、ランチ 1800円 |
目標月商 | 500万円 |
開店日 | 2008年11月17日 |
経営母体 | 株式会社オーガニックファクトリー |
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2009年1月7日取材