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次に流行るお店

多種多様な“篤農家”が育てた特撰野菜のおいしさを学び、体験できる店
「農家の台所 恵比寿店」
(東京・恵比寿/野菜レストラン)

第252回 2009年1月27日

サラダバーには必ず担当者が置かれる。
「農家の台所 恵比寿店」は、“農業改革”を目指す「マネーの虎」こと元ソフト・オン・デマンド代表取締役社長の高橋がなり氏が立ち上げた、国立ファームによる野菜レストラン「農家の台所 くにたちファーム」の2号店。

 オープン日は、2008年11月22日。経営は国立ファームのレストラン部門を担っている、コンテンポラリーダイニングである。

 2007年1月に1号店が都下国立市にできた頃から、東京都心部に店舗はないのかといった問い合わせが多かったが、1号店の経営が安定し、ちょうど良い物件も見つかったことから、出店が決まったという。

 場所は恵比寿駅西口より、線路沿いに南へ徒歩1、2分の至近距離にある真新しいビルの1階。山手線のホームから、選挙ポスターのような契約農家の写真が並んでいるのが見える。


外観

 エントランスゾーンでは、契約農家から仕入れた珍しい野菜が販売されている。ひんやりと冷気を肌に感じるのは、レストランで使う野菜を保管する保冷庫、チャンバーをも兼ねているからだ。時折、スタッフが野菜を厨房に運んでいる姿を見かける。


エントランスの野菜物販コーナー兼チャンバー。

 完熟しても白いというので話題になった「ホワイトいちご」も、こちらの店頭で買える。


百貨店でも販売好調の白いちご。

 チャンバーをエントランスに持ってくるといった大胆な発想に驚きつつ店内に入ると、席数は個室も含めて56席あり、インテリアは全体的に1号店と同じく、昔からある農家がイメージされている。

 奥には、国立ファームが自社ブランド野菜として売り出し中の、南アフリカ原産の塩味がする水耕栽培野菜「ソルトリーフ」とアスパラガスの「完全閉鎖型野菜工場」があり、野菜生産の現場の一端を見ることもできる。野菜工場の上には展望のいい2階席となっている。


ソルトリーフとアスパラガスを栽培中の店内野菜工場。

 また、樹木の太い幹が店内の南西角にあって、桜、紅葉など四季の生木を差して、季節感を表現する演出を行っている。

 店内に選挙ポスターのような契約農家の写真パネルがずらりと貼られているように、生産者の顔が見える新鮮野菜が食べられるのが最大の売りで、有機農業、減農薬農業などといった技術的にも難しい安全・安心な作物栽培に真剣に取り組む“篤農家”の姿を見ながら、料理の味を楽しめる。


店内


2階席店内

 消費者に食の安全・安心への関心、健康志向が高まっている背景もあり、滑り出しは極めて好調で夜は連日、予約が必要な状況になっている。ランチも平均2回転ほどするそうだ。顧客層は30代中心に、男性25%に対して女性75%といったところで、女性のほうが多い。

 恵比寿は周囲に八百屋があまりない土地柄でもあり、物販も予想以上に好調とのことだ。

 ランチの人気メニューは、日替わりでカレーにしてもパスタにしても、通常の4倍の野菜が入っている「今日の野菜4倍日替わりランチ」(900円)や、「こだわり野菜のランチプレートと本日の逸品料理の御膳」(1000円)。

 さらに2種類のモロッコの蒸し料理タジン(「厳選鶏と野菜のタジン」、「魚介と野菜のタジン」各1400円)は、とんがり帽子のような蓋の中で湯気が循環して、おいしく蒸し上がるのが特徴で、1号店でも人気が高いメニューだ。

 それぞれ、プラス380円でサラダバーが付けられる。サラダバーコーナーには必ず1人担当店員が置かれ、珍しい季節の野菜の名称、特徴、おいしい食べ方などを説明しながら、サラダをサーブしてくれる。


サラダバー

 ディナーは、野菜と魚と肉の比率が、4:3:3、5:3:2、5:2:3、6:2:2と4パーターンから選べ、それぞれ価格帯ごとに、3500円の畝(せい)、4500円の反(たん)、5500円の町(ちょう)と3つのコースがある。ちなみに畝、反、町は畑の広さを表す単位だ。それぞれ、サラダ、先出し3種盛り合わせ、小鉢2皿、メイン、サブメイン、シメのご飯と味噌汁、といった構成で出される。

 ドリンクは焼酎、ビール、ワイン、シャンパンなど各種そろえているが、お勧めは野菜のカクテル(680〜780円)で、特にバラ科のリンゴの果汁とウメを醸造した梅酒を合わせた「バラ兄弟」(680円)の人気が高い。

 野菜のお茶の人参茶や青紫蘇茶、フルーティな「ひとみ五寸」という人参100%ジュースの「オレンジのベジジュース」、リンゴとホウレンソウと大葉からつくった「緑のベジジュース」(各580円)などといった野菜ジュースも注文が多いメニューとなっている。


3種類の利きジュース(680円)。左からひとみ五寸人参100%ジュース、緑のベジジュース、美白ジュース。

「生産から販売まで特撰野菜の流通をつくるのが、国立ファームの目標です。消費者が野菜を農家で選ぶ時代が来ることを目指しています」と国立ファーム広報課の加藤彩子さん。

 レストランでは、すでに食材を生産者で選ぶ時代が来ている。同社の考え方はまだ少し突飛にも感じないでもないが、時代が追いついてくるのも、そんなには時間が掛からないかもしれない。

 この店で食事をした顧客は少なくとも20種類以上の野菜を食するはずで、日本で採れる野菜がいかにバラエティに富んでいて、日本の大地がいかに豊かな潜在力を持っているかを実感できるはずだ。

 同社では、野菜レストランの多店舗展開も視野に入れて、事業を進めていくという。


*人気のタジンランチ(1400円)。
この日の魚はスズキ。野菜はシャドークイーン(じゃがいも)、ひとみ五寸人参、鹿ケ谷かぼちゃ、ジャンボしめじ、アスパラ菜など十数種類。これを、ゴマ味噌、オリーブ油、人参塩で食べる。ごはんは黒米が混じっている


【農家の台所 恵比寿店】
住所 東京都渋谷区恵比寿南1-7-8 恵比寿サウスワン1F
電話番号 03-3719-4831
営業時間 ランチ 11:00〜15:30(L.O.14:30)
ディナー 17:30〜23:00(L.O.22:00)
定休日 年末年始
客席数 56席
客単価 5,000円
目標月商 1500万円(物販を含む)
開店日 2008年11月22日
経営母体 コンテンポラリーダイニング株式会社
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ     2009年1月22日取材

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