「ロードショープロジェクト」とは、映画制作の仕組みを採用した、新たなるフードビジネス戦略。業態に適したレストラン開発クリエイターを「監督」として起用。内装業者を「キャスト」として向かえ、経営母体である東京レストランツファクトリーは総合プロデュースを行う。

「赤坂サカス」をはじめとする商業施設やオフィスビルが立ち並ぶ赤坂。駅を中心に東西に伸びる赤坂通り沿いに2009年3月24日に「赤坂仁屋」がオープン。鮮魚・鉄板焼き・五寸鍋を提供する和食料理の店だ。

　経営母体は、飲食店の経営・コンサルティングをメインに行っている「東京レストランツファクトリー株式会社」（港区六本木4-1-9　ベルザ六本木6F、代表取締役社長　渡邉仁）。今回紹介するのは、『ロードショープロジェクト』の一環として展開されている新業態店「SUNS　CASTLE」に続いてオープンした「赤坂仁屋」。


「仁屋」　外観。盛り塩や暖簾、看板などで老舗感が漂う店構え。

　同店の「監督」は飲食プロデューサーの中村悌二氏。1988年下北沢「フェアグランド」、「なかむら」、中目黒のダイニングバー「KAN」、代々木上原「山都」、銀座「KAN」など数々の飲食店を経営。『東京ビルTOKIA』の商業施設、『IID世田谷ものづくり学校』などの飲食部門をはじめ、居酒屋から高級志向の和食店まで、幅広いジャンルの飲食店を手がけている。


「仁屋」　目の前で鉄板焼きが楽しめるカウンター席が１階にある。


「仁屋」　掛け軸や季節の花が添えられた完全個室の2階席。

　1階はカウンターとテーブル席で、気さくな雰囲気。2階は接待に最適な完全個室型の純和室。元料亭だった場所を中村監督とファーストキワ・プランニングがタッグを組み、改装。店内には“飾らない粋”を感じさせる男性的な風格が漂う。


「仁屋」　黒毛和牛、日向地鶏を秘伝の割り下で仕上げる名物の鉄鍋「五寸鍋」。

　同店自慢のオリジナルメニューは「五寸鍋」（牛五寸鍋　2800円、鳥五寸鍋　1800円）。特製の割り下と味噌を直径15㎝ほどの南部鉄の鍋で一気に温め、グツグツと沸いてきたら肉を割り下と絡ませるというもの。旬の野菜を入れたり、肉を卵にからませて食べると、さらに旨みが増す。

　富士山の溶岩プレートで焼く「黒毛和牛の焼きしゃぶ」（2800円〜）や「和牛サーロインステーキ」（3200円〜）などの鉄板料理も提供。さらに、「熊本直送の馬刺」（1600円〜）や「本マグロの刺身」（2800円〜）まで幅広い。

　焼酎は芋、日本酒は純米酒が中心で、原酒系も多い。

「コップ酒片手に五寸鍋中心に飲めば、比較的リーズナブルに上げられるのでは」と話す料理長の尾田原真二さん。グランドメニューは季節に応じて変えるというが、五寸鍋はオールシーズン楽しめる。ざっくりとシンプルに——。活気ある職人たちが作り上げた、粋で骨太な空間だ。


カジュアルな雰囲気の「SUNS CASTLE（サンズキャッスル）祖師谷大蔵店」。


「SUNS CASTLE（サンズキャッスル）祖師谷大蔵店」　店内。

『ロードショープロジェクト』記念すべき第１弾となる店「SUNS CASTLE（サンズキャッスル）」。監督は、飲食に特化した企画・設計・コンサルティング会社として、業態開発をはじめとするソフトビジネスと店舗展開を手掛ける「株式会社ミュープランニングアンドオペレーターズ」。祖師谷大蔵駅前に2009年2月14日に登場した新業態のカジュアルレストランだ。

　同店のコンセプトは、４つのＣ（美味しい、嬉しい、楽しい、美しい）。自家製手ごねハンバーグと目の前で焼き上げる窯焼きナポリピッツァがメイン。


「サンズキャッスル」　トマトソースかキノコのクリームソース。次世代栄養素“ユーグレナ”を練り込んだパスタ。

　さらに、植物性の栄養素“ユーグレナ”を練り込んだ生パスタが注目を集めている。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、そしてDHA、EPAなど豊富な栄養素“ユーグレナ”。同店の「菜園風トマトソース」（1580円）、「たっぷりキノコのクリームソース」（1580円）などで味わえる。

　サラダバー・デザート、ドリンクバー、ピッツァ食べ放題で、ターゲットはファミリー層や女性客がメイン。将来は合理的サービスによるフランチャイズ展開で100店舗を目指している。


「神屋流　博多道場」の料理。

『ロードショープロジェクト』第３弾「神屋流　博多道場」は2009年4月1日オープン。田町駅西口近くの慶応通り商店街に九州料理をメインとした居酒屋を出店。監督は、「業態開発No1」をスローガンに、コンセプト・ストーリー性の強い数々の飲食店経営を手がけるダイヤモンドダイニングの松村厚久氏。

　店内には大綱を渡し、左右の壁面に東西に分けた串焼きと焼酎の人気番付が配されている。まさに店名通り「道場」の雰囲気を醸し出している。

　提供するのは、調味料から食材まで徹底的にこだわった博多屋台料理をメインとした九州各地の名物料理。博多名物の串焼きから「炙り博多明太子」（800円）、「薩摩地鶏」（1800円）などの酒肴に加え、白味噌・醤油・黒ゴマ3種から選べる「神屋流　もつ鍋」（1200円）まで幅広く提供。九州各地の蔵元から取り寄せた焼酎が揃う。

　東京レストランツファクトリーの戦略として、『ロードショープロジェクト』は客単価により、３つに分けられる。8000円以上の「リッチゾーン」（赤坂仁屋）、4000円以上の「ミドルゾーン」（神屋流　博多道場）、それ以下の「カジュアルゾーン」（SUNS CASTLE）。時代の景気・流行に合わせてパワーバランスをとり安定企業への成長を図るのが狙い。

　新たなフードバトルが幕を開けた。飲食ビジネスのプロフェッショナルたちが作り上げる『ロードショープロジェクト』から目が離せない。

【赤坂仁屋】

住所	東京都港区赤坂5−4−17　前田ビル1・2F
電話番号	03-6459-1448
営業時間	ランチ　11:30〜15:00 ディナー　17:00〜23:00
定休日	日曜
客席数	60席
客単価	ランチ1200円〜、ディナー8000円〜
目標月商	1200万円
開店日	2009年3月24日
経営母体	東京レストランツファクトリー株式会社

【SUNS CASTLE】

住所	東京都世田谷区砧6-39 桃季花ビルB1F
電話番号	03-6411-8200
営業時間	ランチ　11：30〜16：00 (L.O. 15:00) ディナー　17：30〜23：00（L.O. 22：00）
定休日	無休
客席数	60席
客単価	ランチ　1200円〜、ディナー　2500円〜
目標月商	800万円
開店日	2009年2月14日
経営母体	東京レストランツファクトリー株式会社

【神屋流　博多道場】

住所	東京都港区芝5-22-5 タムラビルB1
電話番号	03-6459-4048
営業時間	ランチ　11:30〜14:00(L.O.13:30)　 ディナー　月〜水・土　17:00〜24:00(L.O.23:00)　 　　　　　　木・金　　　17:00〜05:00(L.O.04:00)
定休日	日曜
客席数	62席
客単価	ランチ　(平均)　800円、ディナー　4000円
目標月商
開店日	2009年4月1日
経営母体	東京レストランツファクトリー株式会社