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この伝統野菜にも絶滅の危機が!

  京野菜は伝統に則り受け継がれてきたものだということはお分かりいただけたと思う、そして京都市民もそれを大切にする気質があることもご理解いただけただろう。こんな「京野菜」でも絶滅の危機に瀕したことがあるのだという。
 京のふるさと産品価格安定協会によると、1970年代後半くらいに、流通 が途切れるくらいに人気が凋落したことがあるのだという。
理由は以下の通り。


1.核家族化が進み、ひと家庭の人数が減ったことにより、今までのような「水菜ひと束・4Kg」ではもてあまる。

2.主婦がパートなどに出るようになり、料理に手間を掛けなくなった。

3.外国産の野菜が簡単便利と持て囃された。

などである。
「たけのこ」は、中国産の水煮たけのこが簡単だとされ、
「かぼちゃ」は味付けに手間がかかると敬遠される。
「加茂なす」は長野の「米なす」に取って代わられ、
「金時にんじん」も「洋にんじん」に主役の座を奪われる。
「京野菜」は一時期、絶滅してしまうのではないかともいわれたのである。


絶滅の危機を救った品種改良

 こうした危機を切りぬけるために立ち上がったのは生産者だった。料理店では、「京野菜」を使い続けているが、その消費量 は全体量から見れば少数。一般家庭での消費を促すために、生産物を品種改良することにしたのである。
 しかも、その方法は実に簡単で、「京野菜」自体の質を変化させずに行われた。1個の大きさが3〜4Kgだった「聖護院かぶら」を間隔を詰めて種を植え付ける、密植をすることで、1,5Kgに小型化させるとか、「水菜」もひと束200g程度に小さくするとか栽培法を変えたのである。
 その他、料理教室を開いたり、新しい「京野菜」料理のレシピを提案し、調理の方法をPRするなどして、
現在の「京野菜」人気へと繋げていったのだそうだ。


「京野菜」ブームは首都圏中心

 JA京都経済連の資料である「京野菜の生産拡大の推移」を見ると、1989年に取り扱った「京野菜」の金額は7億2000万円だったのが、1999年には18億4000万円に増えている。
 同じく、「東京出荷量の推移」という資料では、首都圏試験出荷が1990年、定期的出荷開始が1993年、 週3回出荷体制確立が1996年、夏場の毎日出荷定着が1999年、通 年の毎日出荷が2000年となっているのだ。
 今の「京野菜」ブームは首都圏が支えているといっても過言ではないだろう。


「伝統野菜」だけではなく
「ブランド野菜」を確立したことで一気に市民権を!


 こうした中、京都府内の行政、農業団体、流通業体が一丸となって、京都の農林水産物の中でも、品質や量 的に優れた産品を市場や消費者にアピールするためにブランド認証事業を行っている。
これが1989年から始まった「京のブランド産品」である。
 スタート時には、「賀茂なす」、 「万願寺とうがらし」、「堀川ごぼう」、枝豆用黒大豆「紫ずきん」など19品目を認証し、首都圏や大阪圏などに売り込んだ。売上も順調に伸び、1998年度は前年度より5%増の8億1100万円となっている。
 徐々に認定品目を増やし現在では21種類が登録されている。
 前述の「京の伝統野菜」とは選定方法が違い、身近な「京野菜」を取り入れたことに新たなブランド性があり、
積極的に首都圏などへ出荷するおかげで、「京野菜」の認知にもひときわ大きく貢献したのだ。


(表2)
【京のブランド産品マーク認証品目一覧】
・みず菜 ・壬生菜 ・九条ねぎ ・伏見とうがらし
・万願寺とうがらし ・紫ずきん ・賀茂なす ・京山科なす
・京たけのこ ・堀川ごぼう ・やまのいも ・花菜
・くわい ・聖護院だいこん ・京都大納言小豆 ・鹿ヶ谷かぼちゃ
・金時にんじん ・丹波くり ・新丹波黒大豆 ・京たんご梨
・えびいも      
                                   

 
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