RSSフィード

フードリンクレポート

ワンダーテーブル 林社長インタビュー
「一番の強みは店舗力 -初めて細かく語ろう-」(後編)

02.03
店舗力のキーは店長にあり
林社長

安田
プロの支配人とはどういう人材。


どんな組織に行っても一定期間内に組織をJ3(攻撃力)まで上げられる人。店舗力を上げられたかどうかで定義づけています。各段階を計る仕組みを持っていますから、現場に対して自分で自発的に考動できる人です。

ステップの段階では、店舗のクオリティーを高める、サービスの向上を行います。そのために何をすればいいのか。お客さまの不満を具体的に収集することです。今まで行ってきたアンケートの中で、お客さまの不満の多くは商品を提供する速度が多数を占めていました。では、それをどうやって調べるのか。

先ほどのトップランナーがここで必要なのです。支配人と一緒になって組織を動かす、MC担当など積極的に動くよう導いて欲しい。
アンケートをきちんと収集できれば、毎日お客さまからの意見が出て、その結果は得点で評価されます。ある店舗では結果を受けたスタッフみんなで先月は2点だったから3カ月で4点にしよう、と決めたといいます。ところがその結果が3.9点だった、非常に悔しがるんです。アルバイト社員同士が毎日結果をチェックして、それを朝礼で発表して、どうすればもっと点を上げることができるのか、問題点の改善策をみんなで議論した、と言うんです。アルバイト社員が自発的に店舗のことを考え考動する、組織力の表れだと思います。

安田
支配人への教育はどのように行っていますか。


毎月業態ごとにユニット会議を行っています。その場に成功事例を持ち寄り意見交換することで、同じ段階、目指す段階、各段階がありますが、同じ段階ならそういった方法もあるのか。目指す段階なら、じゃあ、そうしてみよう、いやもっと自分の店舗にあった方法はないのか、と考えることができる。意識を共有しあって、みんなで成長しようよ、という会議です。

成功事例を持って来られないような支配人では困りますし、他の支配人の意見をおみやげとして持ち帰り、スタッフに伝える、実践して欲しいと考えています。

従来の会議では売り上げの数字の報告に終始するだけでしたから、売り上げが達成できていない支配人が何をするかといえば、ただ言い訳を考えるだけ。そんなことにエネルギーを使うなんて非常に非効率的で、もったいないことでした。ですから業務報告会は一切止め、各店舗の現在の段階における具体的な事例を持ち寄る会議にしてモチベーションを高めると同時に、ワンダーテーブルオリジナルのシステム構築、ノウハウ収集を行っています。

早期支配人育成を一番の強みに

安田
コンサルティングは現場ありき。説得力がありますね。


企業には何か一つ他には負けない、という強みが必要だと思います。その強みを聞かれた時に、何と答えるのか、答えたことを大きくできるのかどうかが企業経営の重要なカギになると思います。

外食企業の中で当社にしかないものとは何かを考えた場合、ワンダーテーブルはどこよりも早く、プロの飲食店舗の支配人を育てるシステム、ノウハウを持っている、と言いたい。100人以上のスタッフがいる「ロウリーズ」や、数人のスタッフで運営している店舗など、店舗により条件は違いますが、最短1年半で支配人になれるシステムを構築しています。

このシステムを導入してからおかげでスタッフは皆迷わなくなりました。今はこの階段を昇っている、これをしなければ、と明確にわかりますから。かつ、できた! という達成感を得て、次へのモチベーションとつなぐ。システムにかかわるスタッフ全員の意見をボトムアップで吸収することで何物にも得がたいノウハウになると思います。

モーパラ鍋ぞう

安田
「モーパラ鍋ぞう」をFC展開なさいます。


FC展開は最初から考えていました。関東以外の地域に無理に直営店を出店するより優良企業の方とFC展開した方がスピードに乗った出店も行えますし、リスク軽減も可能です。

ただし、FC化するからにはきちんとしたパッケージが必要不可欠です。業態力でいえば3年で投資回収が可能なことが前提。ですから、まずは「モーパラ鍋ぞう」を来期3店舗ほどFC展開し、様子を見て、そこからさらに次年度につなげるノウハウを得ようと、そう思っています。


では、今後の目標を。


2004年に掲げた中期計画は、05年、06年の3年間で企業としてのコア・コンピテンツをつくること。業態展開については先ほども言いましたが積極的に行いたいと考えています。しかし私はいかに各店舗の店舗力強化が図れるかが当社にとって最重要だと考えます。

例えばクリエイトレストランツさんのように素晴らしい業態を作り上げることができれば、それは業態が企業としての強みだと思います。ですが当社はそうではありません。業態展開は積極的に行いますが、当社の一番の強みは店舗力にある。その起動力である支配人育成のノウハウの目安がつきつつありますから、今度はそれをいかに強固に作り上げるか、外食企業の中でもその分野に関してはワンダーテーブルだよ、といわれるように徹底してこのノウハウを育て上げたいと思います。

林社長

林 祥隆(はやしよしたか)
1963年生まれ 東京都出身。
1986年 慶応義塾大学卒業後、株式会社第一勧業銀行に入社。 第一勧業銀行を退職し、UCLAビジネススクール(MBA)へ留学。 卒業後、両親が経営する株式会社ヒューマックスへ入社。
1994年、富士汽船(株)<現 株式会社ワンダーテーブル>転籍。
2002年 株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長に就任。

インタビュアー 安田正明 構成/写真・高口千穂 2006年2月3日

Page Top