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フードリンクレポート


根強い人気、大都会の隠れ家マンションレストランはなぜ廃れない

2007.10.6
東京の渋谷区、港区あたりでは、マンションやビルの一室で、表向きレストランとわからないような形で運営する「マンションレストラン」の密かなブームが続いている。客商売というものは普通、人目につかないと顧客が来ないが、ブログのようなコミュニケーションツールが発達した現代では、マンションで開業しても、内容さえ良ければ情報は直ちにネットワークに飛び交い、噂が噂を呼んで繁盛店になることも可能である。それどころか、飽きられにくく長続きする傾向まで出ているようなのである。


「中村玄」店名が表札で掛かっている

どこからどう見ても民家にしか見えないカモフラージュ?

 恵比寿駅西口から程近いマンションの2階に「中村玄」としか表札が出ていない、風変わりなレストランがある。看板も出ていないし、外から見れば植木鉢から茎・葉を伸ばした植物がみえるくらいで民家にしか見えない。

 実際、外見上どこから見てもマンションの一室でしかない。しかし、扉を開ければ、いきなり正面にカウンターが見えて、忙しく働く店員の姿が眼に飛び込んでくる。見慣れた飲食店の光景ではあるが、初めて訪れた人は、外見と中のギャップに驚くに相違ない。

 この店は10年前に「201号室」という名の和食の店としてオープンし、中華「中村昭三」、沖縄料理「中村圭太」、会津地鶏・日本そば・コラーゲン鍋「中村玄」と業態・名前を変えながら、営業を続けている通の間では結構知られたレストランなのだ。

 店名が「中村玄」になったのは、昨年5月。経営は一貫して、イイコという会社が行っている。

 中村一族が店の運営をしているかというとそうでもなく、イイコの横山貴子社長によれば「店の名前はその時のノリで付けてます」とのこと。

 最初の「201号室」は文字通り201号室にあるからだったのだが、「中村昭三」は店のリフォームを手伝ってくれた知人の名前、「中村圭太」と「中村玄」は昭三さんの2人の息子の名前なのだそうだ。

 ちなみに系列店の名前も変わっている。1999年にはすぐ近くに、同じタイプのマンションレストラン「続201号室」をオープン、現在はシンギスカンの「クラブ小羊」となっている。

 2001年に中目黒の高架下に、見た目は作業場か町工場にしか見えない和食・居酒屋「村上製作所」オープン。その隣に「豚鍋研究室」があったのだが、再開発のため9月いっぱいで惜しくも退店である。ただし、「村上製作所」は営業を続ける。

 さらに、渋谷・道玄坂にある「月世界」は有機野菜を使った中華の店で、今年4月にリニューアルする前は「ブーブーホテル」という豚料理の店。その前は「クラブ小羊」の2号店だった。

 隠れ家のような場所で営業しつつ、飽きられるなどして下降線になると、業態も店名も柔軟に時流に合ったものに変更していくという独特のスタイルを取るのが、イイコのやり方だ。


「中村玄」名物のコラーゲン鍋

全文(有料会員専用)の見出し
もしダメなら店名も業態も変えて、同じ匂いの顧客集める

事務所用途のスペースを企画書持参で家主と交渉し開業
道玄坂の路地奥で密かに営業する“板前が作るビストロ”
カップルに人気。魚卵料理が味わえるオートロックの店
マンションから始めて有名店になるのも不可能ではない


●本文関連リンク集
中村玄 http://www.e-e-co.com/index.html
棗 http://www.d-natsume.com/
dogenzaka#202  http://www.punraku.com/
ikra http://www.ikra.jp/

【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2007年9月28日

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