フードリンクレポート
英国パブ「HUB」が既存店売り上げを伸ばし続けられる理由
「HUB秋葉原店」 再開発地区にあり入居するビルの周囲は人通りが少ないが、連日賑わっている
・客単価が下がっていく中で、客数が毎月増加
HUBの快進撃が止まらない。同社が公表している「平成20年2月期月次速報」によれば、昨年3月より12月まで、6月を除いて、毎月売上高2桁増を達成。月によって変動があるものの6月以外は前年比113.0%〜121.2%と、高水準のレンジで推移している。
また、客数はすべての月で増えており、落ち込んだ6月ですら前年比104.8%。それ以外の月は115.4%〜121.8%のレンジで増加している。
6月の落ち込みも、前年6月にサッカーのワールドカップ・ドイツ大会があり、店内モニターで放映される試合中継を目当てに顧客が殺到したため、この年に限っては前年比で見ると売り上げが落ちることが見込まれるという特殊な事情があった。英国発祥のスポーツとして、同社では特にサッカーには力を入れている。事実6月の落ち込みは、同社にとっては織り込み済みで、その後の業績推移に何の影響も及ぼさなかった。
「HUB秋葉原店」店内
特筆すべきは、オープン後13ヶ月以上を経過した既存店実績が、6月を除きすべてプラスになっていることである。
既存店の対象店舗数は、3月と6月が36店、4月と5月及び7月と8月が37店、9〜11月が38店、12月が39店と変動があるものの、6月以外は売上高101.2%〜111.0%、客数101.9%〜111.0%で推移している。
参考までに既存店の6月は売上高84.1%、客数90.1%であった。
10月〜12月で見ても、既存店の売上高は10月104.4%、11月111.0%、12月107.2%と好調を維持。その客数も、10月105.8%、11月111.0%、12月109.1%とやはり好調である。
それに対して客単価は、全店実績で見ると6月の91.5%を例外としても、3月より12月まで97.0%〜99.5%のレンジとなっており、前年に比べてやや低くなっている。
既存店でも、6月の93.3%を例外として、4月100.4%、7月101.1%、8月101.4%、9月100.5%と前年を上回った月もあるが、10月〜12月の結果では10月98.7%、11月99.2%、12月98.2%と、客単価が若干落ちていることがわかる。
つまり、HUBは値上げをやむなしとする飲食業界の大勢に反して、むしろ客単価をやや下げることで、新規店はもちろん、既存店の売り上げをもアップさせているのである。
全文(有料会員専用)の見出し
・ダイエーグループの飲食部門の一環として創業
・英国紳士のようにスマートに飲める場所を提案
・金鹿社長自身が店舗を巡回、顧客の声を直接聞く
・本部主体から店舗主体への経営改革が功を奏する
(写真全11点)
【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2008年2月15日