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フードリンクレポート


スパイスドレッシングを使いこなして新しい味を開拓

2008.7.30
ドレッシングで辛さを追求したものは少ないが、そこに風穴を開けようと、スパイスを生かしたドレッシングが外食市場をにぎわしている。今夏、このスパイスドレッシングを使ったフェアーを行った新進気鋭の飲食店を訪問し、シェフたちの創作意欲をいかに刺激したかを取材した。


「サーモンとアボガド、帆立のチリタルタルキャビア添え プリンセス城仕立て」(850円)

ソース感覚で多彩な料理に合う新タイプのドレッシング

 プロのシェフたちの間で広く愛されているスパイス「GABAN」。その「GABAN」と提携し、ピリッと大人の辛味が効いた、新しいタイプのクリーミーなドレッシングが誕生している。「GABANスパイスドレッシング」(業務用のみ展開)がそれである。

 この「GABAN」スパイスの風味をストレートに生かしたドレッシングを実際に口にした人は、濃厚で深みのある味が、むしろソースに近いと感じるのではないだろうか。

 それゆえ「GABANスパイスドレッシング」の用途は、生野菜にかけて食べることに限定されない。肉や魚、また洋食に限らず和食にも合わせることができるといったように、レシピの幅を広げてくれる奥行きの深さが特徴である。

 元々ドレッシングは、肉食の欧米人が栄養のバランスを取るために、生野菜を必要としたことから生まれたものだ。狩猟民族の古代ヨーロッパ人たちは、体の求めるままに野に生えている薬草を引きちぎって食べていた。それがサラダという料理の起源だという。

 肉が酸性の食品なのに対して、野菜はアルカリ性の食品であり、両方食してバランスが取れてくる。


現代人に高まる食生活のヘルシー指向にマッチした内容

 生野菜をよりおいしく食べるために開発された食材であるドレッシングは、植物油と醸造酢を主原料としている。

 植物油はリノール酸、α-リノレン酸といった人間の体内では合成できない必須脂肪酸を含んでおり、健康の維持に不可欠である。また、動物性油脂に比べて血清コレステロール値を下げる働きがあると言われる。

 一方の醸造酢に含まれるクエン酸や酢酸は、体内に蓄積した老廃物を除去するのを助ける働きがあり疲労回復に役立つ。
 また、スパイスは健胃、防腐、食欲増進、消化促進などといった働きがあり、古来は漢方として重宝されていた。

 たとえばカゼをひいた時は胡椒をスープにふりかけて食べると、発汗が促進されてスッキリすることも多い。トウガラシに含まれるカプサイシンなどの辛味成分は、殺菌、保温、食欲増進に加え、体脂肪の燃焼を促進させる働きがあり、ダイエットに取り入れる人もいるほどだ。

 このように独特の風味もさることながら、ドレッシングとスパイスの持つ健康維持に良い要素を併せ持っているのも「GABANスパイスドレッシング」のポイントであり、現代人に高まる食生活のヘルシー指向にマッチしているといえるだろう。

 ちなみに、「GABANスパイスドレッシング」には、「荒挽き黒胡椒」と「チリペッパー」の2種類があり、用途によって使い分けることができる。

GABANスパイスドレッシング
荒挽き胡椒
GABANスパイスドレッシング
チリペッパー



刺激を求める男性向け、ビールに相性が良い和のメニュー

 さて、今夏「GABANスパイスドレッシング」を使った創作レシピを開発し、おすすめメニューとして展開しているレストランがあるというので訪問してみた。

 まずは、100店舗100業態「業態開発No.1」を目指すダイヤモンドダイニングが昨年7月、渋谷・神南にオープンした「風芽車(かざがぐるま)」である。

 エントランスに表現された、神社の夏祭りの縁日をイメージしたディスプレイが印象的な、炭火焼と祭り料理を主体に素材にこだわった、和風個室居酒屋である。


「風芽車(かざがぐるま)」 入口の縁日


「風芽車(かざがぐるま)」 店内

 同店では“夏のスパイシー祭り”と称して、刺激を求める男性向けに夏のビールにぴったりな4品を提案した。


夏のスパイシー祭り

「鮪と豆腐の南国風」(560円)。これは手作りの絹ごし豆腐に新鮮な鮪の刺身を載せて「チリペッパー」ドレッシングをかけたもので、一種ケーキのような軽いタッチの前菜メニューである。辛さは最初感じないが、だんだんと効いてきてかなりの刺激である。


「鮪と豆腐の南国風」(560円)

「清流鶏のジューシー竜田揚げ クリーミー黒胡椒ソース添え」(580円)。しっかりとした歯ごたえのある岩手の清流鶏を、「荒挽き黒胡椒」ドレッシングに漬け込んで下味を付け、竜田揚げにした。タレにも「荒挽き黒胡椒」ドレッシングを添えており、お好みで「荒挽き黒胡椒」ドレッシングを付けて食べられるという、まさに清流鶏と「GABANR  」スパイスの味のハーモニーを楽しむメニューだ。


「清流鶏のジューシー竜田揚げ クリーミー黒胡椒ソース添え」(580円)

「三元豚とゴーヤの黒胡椒チャンプル」(680円)。脂が甘い三元豚と苦味のあるゴーヤに、「荒挽き黒胡椒」ドレッシングをかけてチャンプルにしたもので、ドレッシングのクリーミーさと酸味がさわやかを引き立てている。普通に黒胡椒をかけるよりも、むしろ黒胡椒の風味が後に残る印象だ。


「三元豚とゴーヤの黒胡椒チャンプル」(680円)

「パリパリおこげのスパイシーライスピザ サラダ仕立て」(780円)。これはネギ味噌を付けて香ばしく焼いたライスピザにサラダを乗せて、最後に「チリペッパー」ドレッシングをかけたメニュー。ライスバーガーに近い感覚の味でアジアンリゾート風でもあり、味噌とチリの相性の良さに着目したところがなかなか面白い。


「パリパリおこげのスパイシーライスピザ サラダ仕立て」(780円)


キュートな女性にサラダ仕立て、洋の低カロリーメニュー

 次に訪問したのは、銀座にある同じダイヤモンドダイニングの「Princess Heart(プリンセス・ハート)」。

 この店は、2005年10月オープンの「シンデレラと7人の小人たちの食卓」をテーマにした、女性向けの“ロマンティックダイニング”という個性的な業態で、内装も西洋のお城の中のような工夫を凝らし、ディズニーランドのようなテーマ性を強く打ち出して、異彩を放っている。


「Princess Heart(プリンセス・ハート)」店内


「Princess Heart(プリンセス・ハート)」店内

 同店では“プリンセス・ラヴァーズ in summer spice”と銘打って、ハートフルでキュートな女性向けのサラダ仕立ての3品を提案した。


プリンセス・ラヴァーズ in summer spice

「海老マヨ風クリーミーチリペッパー和え ハートのミルフィーユ」(720円)。これは女性が大好きな揚げた海老を「チリペッパー」ドレッシングで和え、ハート型の海老網シートで挟んだ料理で、下に生野菜が敷いてある。


「海老マヨ風クリーミーチリペッパー和え ハートのミルフィーユ」(720円)

「サーモンとアボガド、帆立のチリタルタルキャビア添え プリンセス城仕立て」(850円)は、お城をイメージした形状が目を引く。トマト、アボガドと、サーモンや帆立貝の刺身といった魚介類を組み合わせた低カロリーのローフードで、彩り豊かなタルタルと「チリペッパー」ドレッシングを調合した、ピリ辛タルタルで食する。頂上にはキャビアが添えてありゴージャス感が演出されている。

「ローストビーフとリンゴのフラワーサラダ トリプルペッパーと共に」(850円)は、柔らかなローストビーフをバラの花の形に、華やかに盛り付けた。「荒挽き黒胡椒」ドレッシングを使っているがリンゴとのハーモニーで、それほど辛くは感じない。上品なスキッとした軽い辛さが特徴である。


「ローストビーフとリンゴのフラワーサラダ トリプルペッパーと共に」(850円)


北海道の新鮮素材をスパイシーな風味を効かせて食する

 3軒目の店は、銀座に去る6月24日オープンしたばかりの「函館ソーラン市場」。経営は郷土料理店を銀座に集結することにより、47都道府県、47ブランド、47地方活性化を目指す、エイチワイシステム。

 同店は函館の漁場、朝市の活気に満ちた雰囲気をそのまま伝える内装、ディスプレイが特徴。“豪快漁師料理”を標榜し、新鮮な海の幸を余計な手を加えず、漁師が食するやり方で提供するのが基本である。


「函館ソーラン市場」店内


「函館ソーラン市場」店内


「函館ソーラン市場」店内

「GABANスパイスドレッシング」を使ったメニューは、夏のおすすめメニューとして4品を提案している。いずれも、ドレッシングは小皿に添えられており、お好みの量を付けて、またはかけていただく。

 「鮪・ホタテ・アボカドのミルフィーユ風」(880円)は、新鮮な鮪や帆立貝の刺身にアボカドを重ね合わせて、食材のハーモニーを楽しむもので、「荒挽き黒胡椒」ドレッシングを合わせている。

 「カニと十勝大豆のしゃきしゃき出し巻き蒸し」(780円)は、カニ肉と北海道十勝産の大豆など野菜を入れ込んだ出し巻きで、シャキッとした食感が面白い。せいろ蒸しのような提供の仕方も一工夫がある。これも、「荒挽き黒胡椒」ドレッシングが添えられている。


 「カニと十勝大豆のしゃきしゃき出し巻き蒸し」(780円)

 「北海道野菜と牛肉の焼きしゃぶサラダ」(980円)。これは、レタス、コーン、トマト、アスパラ、ミズナなどの野菜に、軽くあぶったしゃぶしゃぶ仕立の牛肉を載せて、サラダとして提供。「チリペッパー」ドレッシングで食べる。


 「北海道野菜と牛肉の焼きしゃぶサラダ」(980円)

 「知床鶏のザンギ鉄熱仕立て」(750円)は、世界遺産・知床のブランド鶏、知床鶏の唐揚げを鉄板焼にしたもので、ジャガイモ、ニンジンが添えられている。これも、「チリペッパー」ドレッシングのピリ辛味で、お酒が進むメニューである。


炒める時の調味料、下味をつけるタレとしても面白い食材

 ダイヤモンドダイニング、エイチワイシステムの他にもバグースや有機野菜を売りにするダ・オルト等、バラエティに富んだ外食市場を牽引する店舗で「GABANスパイスドレッシング」は展開されているようだ。

 単にサラダにかけるのではなく、肉料理、魚料理、卵料理、ローフード、揚げ物、炒め物、ライスピザなど、実に多彩な創作料理が考案しやすい事が理由と言えるであろう。

 特に、鶏の竜田揚げ、豚のチャンプル、海老の揚げ物の下味を付けるのに「GABANスパイスドレッシング」を使った、ダイヤモンドダイニングの発想にはドレッシングの常識を打ち破る斬新さを感じさせられた。

『どちらかというと荒挽き黒胡椒は肉料理向き、チリペッパーは魚料理向きという印象を持ちました。漬け込みに使いやすいのは、荒挽き黒胡椒のほうですね。チリペッパーのほうがよりクリーミーに仕上がっていると思います。ドレッシングとして平凡に使うのでは面白くないので、炒めてみたり、つけダレとして使ってみたりと工夫してみました』と、ダイヤモンドダイニング営業本部第二営業部統括料理長・大瀬淳也氏。

 ドレッシングの領域にとどまらず、ソースとして、調味料としても、魅力を持った「GABANスパイスドレッシング」。3店のフェアーをのぞいてみて、その可能性の一端が垣間見られた。


【風芽車(かざがぐるま)】
住所 東京都渋谷区神南1-19-3 ハイマンテン神南ビルB1
電話番号 03-3780-3280
営業時間 火曜〜土曜 17:00〜翌4:30
月曜・日曜・祝日 17:00〜23:30
定休日 無休
客席数 178席
客単価 3000円
経営母体 株式会社ダイヤモンドダイニング
取材 2008年6月19日

【Princess Heart(プリンセス・ハート)】
住所 東京都中央区銀座7-8-7 GINZAGREEN3F
電話番号 03-3572-1231
営業時間 ランチ  土・日・祝     11:30〜15:30(L.O.15:00) 
ディナー 月〜木・土・日・祝 17:00〜23:30(L.O.22:30) 
ディナー 金・祝前      17:00〜02:00(L.O.01:00)
定休日 無休
客席数 110席
客単価 4000円
経営母体 株式会社ダイヤモンドダイニング
取材 2008年6月20日

【函館ソーラン市場】
住所 東京都中央区銀座6-5-15銀座能楽堂ビル2F
電話番号 03-5537-3257
営業時間 月〜金17:00〜04:00 
土日祝17:00〜23:30
定休日 無休
客席数 100席
客単価 4000円
経営母体 株式会社エイチワイシステム
取材 2008年7月9日

【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ)


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