フードリンクレポート
副都心線効果で新宿三丁目が一人勝ち、北参道に期待感高まる。
明治通りに掲げられた副都心線開業告知
・副都心線開業により人の流れが変わり街に変化が起こる
今回、東京メトロ副都心線が開業するにあたって新しく設けられたのは、周知のように、雑司が谷、西早稲田、東新宿、新宿三丁目、北参道、明治神宮前、渋谷の6駅。このうち、他の路線との乗り換えがない全くの新駅は、西早稲田と北参道の2駅のみである。
また、和光市、地下鉄成増、地下鉄赤塚、平和台、氷川台、小竹向原、千川、要町の各駅は、東京メトロ有楽町線と共同で駅を使っており、池袋はかつての新線池袋駅が使われている。
和光市で東武東上線、小竹向原で西武池袋線と直通運転しており、東武東上沿線の志木、川越、東松山、森林公園など、西武池袋沿線の練馬、ひばりヶ丘、所沢、飯能などに乗り換えなしで行くことができる。逆に言えば、埼玉県西部、北多摩地区、練馬区からは、新宿、原宿・表参道、渋谷などへのアクセスが、池袋で乗り換える手間が省けて、飛躍的に向上したと言えるだろう。
地下鉄では珍しく、急行運転を行っているのも特徴で、停車駅は和光市、小竹向原、池袋、新宿三丁目、渋谷となっている。
これによって当初の予想では、街の活性化において新宿三丁目が最も有利であると言われていた。というのは、ファッション最強の百貨店である伊勢丹の真下に駅ができ、池袋の百貨店顧客を相当程度奪うと考えられたからだ。
また、明治神宮前からアクセスする裏原宿や表参道も、池袋とは競合しない個性派ショップの集積地であるという理由で、急行が止まらないにもかかわらず期待感が高かった。
当方で独自に各社広報に聞き取り調査した結果によると、副都心線が飲食に与えた影響は、チェーン系居酒屋では「副都心線ができたからといって、その効果で顕著にお客さんが増えたとか、減ったということはなかった。あえて言えば和光市の店ではお客さんが増加傾向にある」(ワタミ)といった声に代表されるように、あまり代わり映えしないといった声は多い。
「あまり代わり映えしない」との結果は、チェーン系に限らず、渋谷、原宿、池袋の個店でも多く聞かれ、折からのガソリンや食料品の高騰で消費マインドが冷え込んだ時期と重なったためか、副都心線効果は限定的にしか表れていないようだ。
百貨店でも、新宿、渋谷、池袋の各店が副都心線に近い丸井は、「これといって効果と言えるほどのものは、ほとんどない」としている。
一方で新宿三丁目では、「街を歩く人が増えている。今まで人が入ってなかった店までも入るようになった」(エムファクトリー・長谷川勉社長)といった声もあり、街で比較すれば新宿三丁目が一人勝ちの状況となっている。
幾つかの百貨店では「副都心線に近い出入口からの入場者が増えた」(伊勢丹新宿店、西武百貨店渋谷店)と、人の流れが変わってきたことが地域を問わず指摘され、副都心線の駅に近い立地にチャンスが広がっている。
新駅では、JRの代々木、原宿、千駄ヶ谷各駅のちょうど中間あたりにできた北参道が、駅名からして“表参道エリアの北の玄関口”
といったイメージを与え、広域渋谷圏のフロンティアとして名乗りを上げた感触だ。南側の駅出口に「スターバックス」が既に進出していることからも、期待して良さそうだ。
さて、概況をさっと述べたところで、個別の駅周辺の副都心線効果について、順を追って見ていこう。
賑わう新宿三丁目「新宿ホルモン」 カウンター
全文(有料会員専用)の見出し
・新宿三丁目の地元に根ざした商売が立ち飲みを成長させた
・新宿二丁目をも活性化させたマルイシティ移転がポイント
・渋谷の本番は4年後の東横線直通、宮益坂側に百貨店移転
・宮下公園出口のランドマーク、ココチビルの南欧風カフェ
・明治神宮前の原宿エリア拡大で表参道まで若者が占拠
・北参道が広域渋谷圏の隠れ家エリアとして名乗りを上げた
・飲食店不足の東新宿、西早稲田、雑司が谷は変化の兆しも
・池袋は年末のエチカ開業を期待、北口風俗街の浄化も進む
(写真全55点)
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