フードリンクレポート
<空間デザイナー・シリーズ ③>
古材で「長く使っていただきたい」との思いを伝える。
金子 誉樹氏
有限会社スタジオムーン 代表
青山・根津美術館近くの事務所にて、金子誉樹氏(有限会社スタジオムーン 代表)
・古いモノをより良く見せたい
金子氏のデザインの特徴は、何といっても古材を使うこと。年間40件もの依頼を5人のデザイナーで受け持ち、全国を飛び回っている。
「古い材料ということをクローズアップするとすれば、より良く見せたい。昔のまま使うのではなく、ちょっと前進させてあげたい。 こういう使い方も面白いでしょと提案したい」という金子氏。
もともと美術好きでインテリアデザインの専門学校で学び、「出来あがった店に自分が行けるのが楽しい。しかも、飲むことが好き」と飲食店専門のデザイン会社に就職。その当時から古材を扱い始め、それを持ち味として26歳で独立した。
「古材の持っている強さがあればいい。新しい材料と古い材料とでは、その場面ではどっちがいいか考えます。新古のミックスの匙加減がスタジオムーンは上手いんです」
「お客様は古材をどこに使っているか覚えていません。店全体を空気として感じています。古材は温かい。いいな、という空気を出す材料の一つです」
「長く使っていただきたいという思いを伝えるのが古材です。実際に、私が作らせていただいた古いものに、『くいものや楽』渋谷店があります。15年以上経っていますが、今も繁盛しています。未だにオープン時の長椅子がそのままあります」と、金子氏は息長く繁盛する店を作り続けている。
全文(有料会員様専用)の見出し
・新古のミックスでコストダウン
・「くいものや楽」、「イル・キャンティ」に代表される息の長い店づくり
・繁盛のため、経営者の人柄を引き出す
(写真全7点)
有限会社スタジオムーン 代表。1964年生まれ。東京都出身。インテリアデザインの専門学校を卒業後、株式会社伯デザインに入社。1991年にデザインスタジオムーンを創業。94年に有限会社に改組。2001年にオリジナル商品をメインとする小物雑貨店「月の工房」を東京都板橋区に開店。2004年に国際デザインコンペティションで優秀賞を受賞。現在までに400店以上の飲食店を作りだした。
有限会社スタジオムーン http://www.s-moon.co.jp/
【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2008年9月5日取材
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