RSSフィード

フードリンクレポート


【外食に足を運ばせよう】
ロードサイドは、カーボンオフセットで集客!

2009.1.23
環境や社会貢献がキーワードになる時代。地球の温暖化を防ぐため、人間の活動から排出された二酸化炭素(CO2)を別の活動で削減されたCO2と相殺し、CO2の排出をゼロに近づけようという考え方が「カーボンオフセット」。これを集客に利用できないだろうか。


ロードサイドのファミレスの駐車場。

小口にも対応できる、CO2プロバイダー

 世界にCO2排出権市場が誕生した契機は、1997年に決議された京都議定書。地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの一種であるCO2、メタンなどについて、先進国で各国別に削減目標値が定められた。先進国が、排出量の少ない後進国から排出権を購入するなど、国家間で排出権の売買が行われている。

 国家間の市場とは別に、民間企業が自主的に排出権を売買する市場も誕生した。NGO団体などが植林などCO2削減活動を行う。それにより削減された排出量を購入し、それを小売する仕組みが誕生している。NGO団体は排出権を販売することにより、更なる削減活動に投資する。企業はその権利を購入し、排出しているCO2と相殺する(カーボンオフセット)ことにより、社会貢献ができる訳だ。

 そんなカーボンオフセットの仕組みを提供する事業を行う企業がカーボンオフセットプロバイダーと呼ばれる。日本でも、現在10社ほどある。その中の1社が、株式会社サティスファクトリーインターナショナル。

 同社は、廃棄物管理やリサイクルを行っているが、昨年11月からカーボンオフセット事業も始めた。カーボンオフセットで先行する英国のCO2バランス社と提携。CO2バランス社は、アフリカで水力・風力発電、植林事業に投資し、CO2削減に取り組んでいる。そこで生まれた排出権をサティスファクトリーインターナショナルが仕入れ、日本企業にカーボンオフセットの仕組みを提案して再販している。


楽天トラベルで、オフセット宿泊商品を販売

 この仕組みを利用して、社会貢献を販促に使う企業が現れている。

 楽天トラベルが宿泊時に発生するCO2の一部を相殺できるカーボンオフセット付き宿泊商品を昨年11〜12月に販売。サティスファクトリーインターナショナルの仕組みを利用している。先行する英国で認定されている、1泊34kgのCO2排出量を相殺した証明書を利用者に送る。好評で対象宿泊施設を増やすことを検討している。

 人気ラーメン店「なんでんかんでん」は通販用に「カーボンオフセットラーメン」を販売している。ラーメンのスープを作る時のガス消費量、そして実際にラーメンを作るときにスープを温めるための電気やガスの消費量に基づき算定したCO2排出量を、オフセットした商品だ。同社はプロバイダー、リサイクルワンの仕組みを利用している。


ロードサイド店で「カー」ボンオフセット

 サティスファクトリーインターナショナルは、外食企業などの廃棄物管理やリサイクルをおこなっている。外食を含む約4500店舗(2009年1月現在)の管理を行っている。このネットワークを利用して、外食企業にもカーボンオフセットの仕組みを提案しようとしている。

 不況の中、知恵を使った集客手段が求められている。カーボンオフセットという社会貢献できることはお客の来店動機になりうるのではと考え、同社と弊社フードリンクで企画を考えた。

 メーカーは同じ原料・工程で商品を製造するため、1商品当りのCO2排出量を計算しやすいが、外食の場合は食材も時期に応じて様々でメニュー毎の排出量を計算することは難しい。そこで、来店までの交通手段で排出されたCO2に注目した。

 車利用者に向けて、車によるCO2排出量をオフセットしようという企画。来店までの走行距離の平均値を求め、それに相当するCO2排出量を計算する。例えば、距離10kmで、車の燃費によっても異なるが、おおよそ1.72kgのCO2を排出しているという。それに相当する排出権を店はお客にプレゼント。それを「カーボンオフセットカード」のようなスタンプカードを作り、スタンプを集めていくと、さらにプレミアムがもらえるような仕組みだ。ロードサイド店に車で来ることが社会貢献につながる。わざわざ車で来ていただいたお客にカーボンオフセットという感謝の印をプレゼントする訳だ。

 しかも、排出権は1トンあたり、3000円前後。距離10kmに相当するCO21.72kgは、わずか5円。コスト面でも安い。繁華街立地でも、電車利用分をオフセットすることも考えられる。例えば、東京の銀座・渋谷駅間では、CO2排出量は約130g。車の約10分の1となる。

 値引きや、賞品プレゼントだけでなく、お客の社会貢献意識の高揚とともに、社会貢献が販売促進の手段となるのでは。特に、20代の若い男女の間で、「カーボンオフセット」への興味が強いそうだ。興味のある外食店は、この企画の実験に協力して欲しい。


問い合わせ:
株式会社フードリンク コンサルテーション事業部 猪俣(電話03-5550-2109)
株式会社サティスファクトリーインターナショナル http://www.sfinter.com/

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年1月22日執筆


Page Top