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フードリンクレポート


ビア・レストラン人気。
16種の海外樽生ビールで店に個性を。
アイコン・ユーロパブ株式会社

2009.6.9
ベルギービールを始め、多種の海外ビールを扱うビア・レストラン。店舗数は未だ少ないが、じわじわ増えている感がある。フードリンクニュースのプレゼントコーナーでも海外ビールへの応募数は増えている。海外ビールへの関心が高まりつつあるようだ。海外ビールの樽生を16種、瓶・缶を80種以上扱うアイコン・ユーロパブを取材した。


アイコン・ユーロパブ社長、アレン・トレバー氏。日本語が上手い。

海外ビール人気が再燃

 アイコン・ユーロパブは、1970年創業の海外ビールの輸入販売会社アイコンと、2001年創業の海外樽生輸入販売会社ユーロパブインポーツが2008年9月に合併して誕生した。海外ビールを取扱いする、今、最も注目されている企業のひとつだ。

 海外ビールは1980年代前半に、米国のバドワイザーやミラーを中心にブームが起き、「世界のビール詰め合せ」ギフトが人気になり、ビールの扱い品数を自慢するビアパブが話題になった。90年代後半には、ヒューガルデンを始めとするベルギービールの扱いが徐々に広がった。そして、2002年の日韓サッカーワールドカップを境にギネスを扱うアイリッシュパブが各地に広がった。

 そして今、定着したベルギービールやギネスだけでなく、様々な海外ビールを扱うビア・レストランが徐々に出来始めている。流行に敏感なダイヤモンドダイニングは、「パトラッシュ」(川崎・06年9月)、「タイムシャワー」(品川・08年5月開店)、「グラスダンス」(横浜・08年9月開店)、「ビアシグナル」(新宿・09年4月)、「クロスオーバー」(六本木・09年6月開店)と、海外ビール専門店を頻繁にオープンさせ5店舗にまでなっている。


イタリアNo.1「モレッティ」樽生はイータリーの定番

 海外ビール人気の中でも、特筆すべきは樽生ビール。個性的なカウンタータップと、ブランド名がプリントされた個性的なグラスがお客様の人気を集めている。特に女性の間で人気が高い。さらに、店側にとって、以前は海外樽生というと30L以上の大容量が多かったが、20Lと比較的扱い易い容量に変わってきている。

 アイコン・ユーロパブが扱う海外樽生ビールは16種。各国・各ジャンルでNo.1のブランドを集めている。主なブランドを紹介する。

1)モレッティー樽生

イタリアNo.1ビール。08年6月に日本初登場。イタリア食材マーケット「イータリー」(代官山)で扱い。20L樽。

2)ポーラナー へフェ・ヴァイスビア樽生
ドイツ売上No.1小麦ビール。ドイツ・サッカーチーム「バイエルンミュンヘン」のオフィシャルスポンサー。ベルギーの小麦ビールより酸味が少なくすっきりした味。20L樽。

3)ロンドンプライド樽生

イギリス売上No.1プレミアムエール。ロンドンで唯一の蒸留所フラーズ社のメインブランド。ビール通のための本物のエール。「ブルーノート東京」(青山)、「リゴレット」(六本木ヒルズ)などで扱い。30L樽。

4)ストロングボウ樽生

世界売上No.1サイダー。世界シェア62%。1パイントで天然リンゴ3個使用。ヘルシー・アルコール飲料。カクテルのベースにもなる。30L樽。

5)タイガー樽生
シンガポール最大・最古のアジア・パシフィック・ブリュワリーズのメインブランド。09年2月に発売。主にアジアンレストランでの扱いが始まった。20L樽。

 但し、同社はブランドイメージを守るため、確固たるポリシーがある。取扱飲食店に求めるのは1アイテムで月間100L以上の販売。お客様にブランド本来の味を楽しんでもらうため、フレッシュローテーションができる店。また、大手ビール会社と異なり、金銭の協賛は一切行わない。
 
 その同社の実直な姿勢が評価され、輸入・販売開始からわずか7年で、現在、同社樽生扱い店は、全国で約300店に到達。毎月、新規に10店ほど増えているという。


アイリッシュパブ「ホブゴブリン」から始まった

 アイコン・ユーロパブ社長、アレン・トレバー氏はアイルランド出身で、在日18年。2000年、東京・赤坂に「ホブゴブリン」をオープンさせ、アイリッシュパブのリーダー的存在の店を作った人物。英オックスフォードのマイクロブルワリーで醸造される同名の「ホブゴブリン」ビールを扱うことから、海外ビールの輸入販売を始めた。現在は、アイリッシュパブ事業は売却し、輸入ビールの販売に専念している。

「日本のビールメーカーが発泡酒を開発したのは大きなミス。消費者は安いものに流れた。しかも発泡酒がビールと思われており、初めて飲んだ若者がビールは美味しくないと思って、本物のビールから遠ざかってしまう恐れがある。だから、安価なチューハイを若者が飲んでいるのでは・・・・・」と、トレバー氏は言う。

 今、トレバー氏が注目しているのは、イギリスNo.1ボトルエール「ニューキャッスル・ブラウンエール」と、ドイツNo.1ピルスナー「ベックス」。ともに、同社が正規輸入代理店。

「お店としてお客様からお金をもらっているにもかかわらず、ブランドや販売量を教えずにビールを出すのは、消費者にとって良いことじゃない」と言う。海外ビールは日本のビール市場でわずか1%のシェアしか占めていない。トレバー氏は海外ビールの日本国内での飛躍を確信している。


アイコン・ユーロパブ株式会社

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年5月20日取材


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