フードリンクレポート
<第68回フードリンクセミナー・レポート>
「どん底からの回復」
〜外食企業よ、不景気に負けるな!〜
中島 武氏 際コーポレーション株式会社 代表取締役
小林 敬氏 株式会社ジャパンフードシステムズ 代表取締役
左から、中島武氏、安田正明(フードリンク)、小林敬氏。
・絶頂期の感想は?
<安田>
小林社長は2003年前後、絶頂期だったと思いますが、そのころはどんな感じでした? 何をやっても当たる感じですか?
<小林>
疲れていました。店を展開するのはもうごめんだと。結構とんがったことをやっていましたので。中島さんほどバイタリティもなく、精一杯やっていました。結局、とんがった店は流行り廃りが早い。当時、一番投資した店で、補償金合わせて4億円。その店の売上が月2千5百万円いくかいかないか。この店はランドマークだったので、儲けることは考えていませんでした。
流行り廃りの中でパイオニアとして、今ここにいる若い人たちに言いたい。店舗寿命は短い。あとは借金と業態変更と社員の維持とをどうしていこうか悩まされる時期があると思います。その一歩手前でした。楽しみながらそういうところに突入していくぞ、みたいな。
<安田>
中島社長は、以前、不動産をやられてて一度厳しい時代があって、1990年に際コーポレーションを設立されました。飲食に入ってから今は絶頂期ですが、その間、厳しいことはありましたか?
<中島>
30代の時に不動産で200億円くらいまでいったんです。バブルの時に終焉を迎える。別に不渡りを出したわけではないですけど。事業を清算して、社員も百何人いたのがいなくなって。そこから一から飲食店を始めたんです。
会社は30年もつかどうか、僕のところは20年持っているんですけども。また来ましたよ、厭な時期が。世の中に回っているお金がぐっと締まってきている。こんな時期が来るのを気づいてましたから、すこしづつ色んな事をやってきました。
飲食は装置産業ですから、必ずどんな店も疲弊する。疲弊するのが、長いか長くないのか。とんがった店が良いか悪いかではなく、消費者の方にどれだけ浸透していける店が作れるかが大事。でも、それでも終わっていきます。日本の外食産業はどんどん終わっていく、長続きしたところはほとんどない。
そこで我々はどうやって挑戦していこうか、また新たな挑戦をしなきゃいけない。僕は絶頂期ではございません。これからの時代が大事な勝負どころだと思います。皆さん方、まだあまり飲食をやってない方はこれから大きなビジネスチャンスが来ます。しかし、やっている人たちはそこから新しい時代にチェンジしていかなきゃいけない。大事に、大事にお店を育てて行かなきゃいけない。お店というのは疲弊していきます。それを放ったらかしにしないで、どれくらいできるか。
僕も「今ならお店を再生できます」と本に書いていますが、あれを本当にやると大変です。あの本を書いている時はそんなに本気でやってないんですよ。いつもは仲間と会っていますが、最近会ってない。会う時間がなくなっちゃった。一生懸命やりだすと友達と会う時間がなくなっちゃった。
それから、今世の中で成功している人たちが色んなロジックを言います。ウチはこうだから成功したんだとか。それはその時の話です。あのトヨタも赤字になっちゃった。光り輝いていたソニーも赤字になっちゃった。全て悪くなった。あれだけのミッションもロジックがあっても上手くいかない。成功のロジックなんて、だれが言ってもそれはその時だけの話で長続きしない。いかに成功のロジックを持ち続けながら、そして、変化しながらハンドル操作をしていかなきゃいけない。この飲食業界の中で、そんなことができる人が、ダイヤモンドダイニング松村君。色んなことやって、それが出来そうな会社です。やはり彼のところの仕事のやり方を見ていると、変化に対応できる能力を持ちながら新しいことにチャレンジしています。今度のセミナーは松村君にやってもらったらいいと思います(笑)。
<続く>
全文(有料会員様専用)の見出し
・創作料理は田舎の人?
・商品力vsシステム
・「タパス・タパス」はどう立て直す?
・怒ったって人は動かない
・社員と関わる距離は?
・経営者同士の集まりは必要?
・外食企業が成長していくために
・イタリアン対決
・話題の分煙について
(写真3点、約1万5千1百文字)