広告

RSSフィード

フードリンクレポート


「飲料売り上げアップの鍵」として注目のテーブルウォーター。
その商品力と販売促進効果を都内の人気店でリサーチ。

2009.7.31
 アルコール離れや健康志向が高まる中、飲料売り上げ向上の救世主として注目されるミネラルウォーター。高価格業態では、ワインとの同時オーダーなど有料飲料としてすでに定着している感があるが、「水は無料」と捉える向きの少なくない日本では販売法に腐心する飲食店も少なくない。そこで今回、フードリンクが夜の客単価5000円〜6000円のセミカジュアル業態の協力を得て、期間限定のキャンペーンを行い、テーブルウォーターの販売促進効果を徹底リサーチした。


ボトルワインとのセットでミネラルウォーターを販売すると、販売本数が70%増に。

売り上げアップなど全4店舗で好調な結果を記録

 対象とした商品は、イタリアを代表するテーブルウォーターであり日本でもトップクラスの知名度を誇る「サンペレグリノ」と「アクアパンナ」。日本人の味覚に合うナチュラルな味わいはもちろん、ボトルのスタイリッシュさも人気店の支持が高い理由だ。

 グリーンのボトルでおなじみの「サンペレグリノ」は、イタリア北部に水源を持つスパークリング・ナチュラルミネラルウォーター(ガス入り)。きめ細かい繊細な泡とすっきりした後味が特徴で、フルボディのワインや濃厚な料理との相性が良い。各国の一流レストランで“美食を引き立てる水”として愛用されている。

 一方の「アクアパンナ」は、柔らかくなめらかなのど越しが特徴のナチュラルミネラルウォーター(ガスなし)。ワインと相性のよいミネラルウォーターとしてソムリエの評価も高く、魚など繊細な味付けの料理やフルーティーなワインとの組み合わせにとくに定評がある。

 今回はフードリンクが都内で人気のイタリア料理店およびスペインバル4店に協力を得て、『キャンペーン価格による販売』『ボトルワインとのセット販売』『料理・コースと飲み放題のセット販売』『オーダー時、口頭でのプレゼンテ—ション』の4パターンによるテーブルウォーターのテスト販売を6月15日〜28日で行った。

 その結果、通常時(6月1日〜14日)に比べて4店舗すべて合計の販売本数が増加。さらにフードも含む売り上げや粗利金額も増加するという注目すべき結果が得られた。


キャンペーン価格による販売で「アクアパンナ」出数が30%増

 人気エリアでオープン23年目を迎える「ペペロッソ 三軒茶屋」。閑静な住宅街を控えた立地にあり、落ち着いた層の常連客を中心に安定した人気を誇っている。

 同店では「サンペレグリノ」と「アクアパンナ」300円(通常価格450円)の限定価格で販売してもらった。プレゼンテーション用に写真付きの差し込みメニューを用意したが、あえてテーブルに置かなかった。

「差し込みメニューはテーブルに置くよりもお持ちした方がインパクトがあり、お客様にテーブルウォーターの魅力をご説明するきっかけにもなると考えたからです」と店長の亀浜繁樹さん。

 その結果、「サンペレグリノ」はもとより、「アクアパンナ」の販売本数が約30%増と顕著にアップ。客単価も上昇する傾向が見られた。

「サンペグリノ」は圧倒的な知名度もあり、ノンアルコール派やワインと一緒にオーダーする顧客はこれまでも多かったという同店。ただ炭酸無しの水に関しては、“お金を出して買う”という感覚はなかなか根付いていなかったという。

 しかし、このキャンペーンで初めて「アクアパンナ」を飲んだ顧客からは「おいしい」「料理に合う」とかなり好評だったという。リピーターや口コミにより今後の販売本数アップも十分期待できそうだ。
 
「アルコール離れが進む若年層を中心に、ファーストオーダーからソフトドリンクというお客様も少なくありませんでした。しかしイタリア料理に合うのは、当然ながらイタリアの水。今後はこうした層にも積極的にテーブルウォーターを勧めていきたいですね」と亀浜さんは話す。

【ペペロッソ 三軒茶屋】
東京都世田谷区太子堂1-12-23
電話番号: 03-3424-4230
営業時間: 11:30〜14:00L.O./17:30〜21:00L.O.
定休日: 月曜
客席数: 50席
客単価(夜): 5000円


キャンペーン期間中、プレゼンテーション用に用意した差し込みメニュー。


同店では以前から「サンペレグリノ」と「アクアパンナ」のボトルをエントランスに並べていた。スタイリッシュなボトルが、本格イタリアンの雰囲気をさらに盛り上げる。


ボトルワインとのセット販売で販売本数70%アップ

 ボトルワインとのセットでミネラルウォーターを特別価格で販売してもらったのが、中目黒のオーガニックイタリアン「ダ・オルト」。

 目黒川沿いという好ロケーションで、ナポリで修業したシェフによる国産小麦100%の窯焼きピッツァや無農薬野菜を使った料理が人気だ。同店では期間中、ボトルワインをオーダーした顧客に、「サンペレグリノ」と「アクアパンナ」をキャンペーン期間のみワインの価格にプラス300円で販売。

「ワインを飲みなれた方が大半なので、以前からワインとテーブルウォーターの同時オーダーは多かったですね」と統括ピッツァオーロの大坪善久さん。

 ピッツァに合うこともあり、もともと人気だったという「サンペレグリノ」はキャンペーン期間中、販売本数なんと70%増、全体売り上げ32%増、粗利金額も45%増を記録した。キャンペーン用の差し込みメニューを用意し、同時に顧客にイタリア料理との相性よさを口頭でプレゼンテーションしたことも奏功したようだ。

 同店では、ワインもオーガニックが主力。テーブルウォーターを一緒に味わうことで、ビオワイン独特の果実味がクリアになり、ワインと料理双方の味わいが際立つことも魅力だという。テーブルウォーターの浸透が、料理とワイン双方の商品力をより訴求する結果にも結び付いたといえるだろう。

【ダ・オルト】
東京都目黒区青葉台1-23-3 青葉台東和ビル1F
電話: 03-6801-7693
営業時間: 平日17:00〜27:00(L.O.25:30)
        土12:00〜16:00(L.O.15:00)/ 17:00〜27:00(L.O.25:30)
        日祝12:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日: 無休
席数: 約70席(個室・テラス含む)
客単価(夜): 5500円


ナチュラル・ミネラルウォーターとビオワインとの相性はぴったり。


オーダー時のプレゼンテーションで販売本数・売り上げともにアップ

 料理やワインのオーダー時にテーブルウォーターを勧めることにより、販売本数を従来以上に伸ばしたのが汐留のリストランテ「ラ・ロッジァ」だ。

 天井高5mの洗練された空間で産地直送の野菜や鮮魚など厳選食材を使った料理を提供。それにもかかわらずコース3900円〜というコストパフォーマンスの高さで、幅広い層の支持を得ている店だ。

 以前から人気という「サンペレグリノ」(販売価格600円)を、販売本数70%増、売り上げ、粗利金額それぞれ16%増、さらに客単価も上昇する傾向が見られた。「お勧めするタイミングは、メインの肉料理をお持ちする前ですね」とマネージャーの稲垣孝司さん。肉料理との相性がよく、「知名度もずば抜けており、お客様にお勧めしやすい」という「サンペレグリノ」が圧倒的な強みを見せた結果となった。

【ラ・ロッジァ】
東京都港区東新橋2丁目4-1サンマリーノ汐留1F
電話: 03-5403-0013
営業時間: 月〜金 11:30〜15:00(L.O.14:30)/ 18:00〜23:00(L.O.22:00)
        土12:00〜15:00(L.O.14:30) / 18:00〜23:00(L.O.22:00) 
定休日: 日・祝定休
席数: 50席
客単価(夜): 6000円


販売促進にご協力頂いた稲垣ジェネラルマネージャー。


料理+500円で飲み放題を実施し、全体売り上げもアップ

 料理かコースにプラス500円で「サンペレグリノ」と「アクアパンナ」の飲み放題を実施してもらったのが、中目黒の「ナチュラルレストラン N_1155(イレブン・フィフティファイブ)」だ。

 毎日入荷する有機野菜などオーガニック食材を使用。スペイン料理をベースに、イタリアンや和食の要素を取り入れたメニューが男女ともに好評。

 1階がカウンタースタイルのバルフロア、2階がコース料理などをゆっくり楽しめるテーブル席である。今回のキャンペーンは、1階のバルフロアで実施したものだ。

 結果は、「アクアパンナ」は約45%増、「サンペレグリノ」は約140%増を売り上げた。全体売り上げも15%増、粗利金額は21%増で、一人あたりの粗利金額も6%弱と上昇傾向が見られたのも注目される。

「『サンペレグリノ』の知名度と人気を実感しました。キャンペーン後半にはお客様に浸透し、評判も良かったです。」と1階フロアを統括する大澤勇気さん。ビオワイン、オーガニックコーヒーなどドリンクも自然派にこだわる同店。

【ナチュラルレストラン N_1155】
東京都目黒区中目黒1丁目1-55  1F/2F
電話番号: 03-3760-1001
営業時間: 12:00〜15:00 / 17:00〜深夜(フードL.O.24:00)
定休日: 月曜
席数: 42席
客単価(1階): 5000円


キャンペーンが実施された1Fのバルフロア、カジュアルな業態でもテーブルウォーターは売れる。

 販売本数のみならず全体の売り上げまで押し上げるなど、テーブルウォーターの販売促進効果の高さを物語る結果となった。

 イタリアンにかかわらず、多ジャンルの料理と相性がいい「サンペレグリノ」と「アクアパンナ」。各店で共通して聞かれたのが「知名度や商品力の高さに特化しており、プレゼンテーションしやすい」という声だ。料理、ワインと共に味わうことで口中をすっきりさせ、双方の味わいをアップさせるほか、単体で楽しむ際の満足度や食欲増進効果も見逃せない。

 スタイリッシュなボトルをテーブルに置き、ゆったりと食事を楽しむ。そんな欧米スタイルは都心を中心に確実に定着している。ノンアルコールドリンクとして、郊外型店舗でも導入する価値は十分あるといえそうだ。


【取材・執筆】 金原 由佳(きんばら ゆか) 2009年7月25日取材


Page Top