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フードリンクレポート


6/1からキリンに移行した「ギネス」。
ドラフトギネスサージャーと食マッチングで美味しい体験を広げる。
キリン・ディアジオ株式会社

2009.8.12
発売250周年で、宇宙旅行や深海探検、プライベートライブへの招待キャンペーンで話題のギネス。キリンビールが本年6/1から輸入販売を始め、外食向けの販売戦略が変わろうとしている。マーケティングを担当するキリン・ディアジオ株式会社に外食市場向けの戦略を聞いた。


焼き鳥にも合う、ドラフトギネス。「いやま」(東京・赤坂)で勧めている。

小型サージャーで扱い店を急拡大させる

 ギネス、じわじわ増え続けているアイリッシュパブ業態になくてはならない定番。15リットルや30リットルの樽詰が使用され、品質を保つために相当の販売量がないと扱えない。そんな樽詰ギネス扱い店は現在、全国で約2千店ある。

「樽店はギネスの象徴です。クオリティが大事。樽店を増やすことよりも、品質を保ちながら、きちっと美味しいギネスビールを飲んでいただくことの方が大切です」と関口朋哉氏(セールスプランニングマネージャー)は語る。以前のサッポロビールの頃と戦略は変わらない。

 キリンビールになって変えようとしているのは、「サージャー」の扱い店を急激に増やすこと。

 理想的に注がれたギネスを「パーフェクトパイント」と名付けている。きめの細かいクリーミィで白い泡が立ち、全体的に均一で色むらなく注がれたギネスビールのこと。その「パーフェクトパイント」を誰でも実現できる装置が「サージャー」。



小型サージャー。

 350ml入りドラフトギネスサージャー缶を専用グラスに注ぎ、灰皿のような形をした「サージャー」の上にわずかに水を落とし、グラスを乗せる。スイッチを入れると超音波が発信され、グラスの中のギネスが揺られて泡が立ち色むらのない「パーフェクトパイント」を作ることができる。缶入りを使うため、1杯毎にフレッシュなギネスをお客に提供することができる。幅広い店で美味しいギネスを提供できる仕組みだ。

350ml入りドラフトギネスサージャー缶

「サージャー」は以前、小規模なバー向けに開発されたやや大がかりな装置だったが、小型が開発されどんな店でも置くことが可能になった。

 1万7千店のサージャー設置店があったが、キリンビールの扱いを契機に、小型サージャーを活用して、1年間で新たに8千店を作ることが目標。1年間で5割近く設置店を増やそうという急拡大だ。キリンビールの営業力を使って、居酒屋も含め幅広いビール業態でギネスを広めようとしている。

 ちなみに、ドラフトギネス樽詰もドラフトギネス缶も、中身は同じギネスビールである。


赤ワインのようにギネスを味わって欲しい

 そして、消費者がギネスに触れる機会を増やそうとしている。

「ギネスを飲んでいる方は男性の方が多いようですが、女性ファンが実は増えています。海外でアイリッシュパブを知って、日本でもギネスを飲みたいんです」と小崎玲子氏(マーケティング部 ギネス ブランドマネージャー)と言う。


小崎玲子氏(左)と、関口朋哉氏。

 アイルランドでは、パイやオイスターとギネスを合わせる習慣があるそうだ。ギネスというと、バーを思い出し、ちびちび飲むイメージを持っている人が多いように思うが、そうではない。

「先日、鰻とギネスのクロスマーチャンダイジングをスーパーで行ったら大盛況でした。焼き鳥や煮込みにも合います。もちろん、和食だけではなく、オイスターやサーモンなどのシーフードにも合います。料理と一緒に味わって飲む、赤ワインに近いのでは」と小崎氏。


”焼き鳥とギネス”を勧める、「いやま」(東京・赤坂)社長の山口聡一郎氏。

 実際にオイスターバーでギネスを扱っている店は多い。ミルキーなオイスターにギネスを合わせるという楽しみ方の提案を行っている店も出てきた。

「より多くの方々に、美味しいギネスを体験してもらいたい」という。食とギネスのマッチングは外食にとり斬新で新鮮な提案となり、集客にも結びつけられそうだ。サージャーと食という2つをテーマに、キリンのギネスは新たな展開を始めた。


ギネス

「いやま」
東京都港区赤坂3-6-13 B1F
電話:03-3585-7766

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年7月30日取材


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