フードリンクレポート
アサヒビールの0.00%「ポイントゼロ」は、味で勝負。
アサヒビール「ポイントゼロ」ポスター。
・後味スッキリ、爽快
味やパッケージについて、キリンの「フリー」はビール寄りだが、アサヒはビールの本格感に加え、清涼飲料の魅力である爽快感を訴求する。消費者調査では、ノンアルコールビールは昼間飲むイメージもあり、徹底した嗜好調査から爽快感を求めていると判断した。製法は、麦芽とスターチなどの原料にお湯を加え、ホップを入れて煮沸した麦汁(ばくじゅう)に炭酸を加えて作られている。発酵過程がないためアルコール分は0.00%。
ノンアルコールのビールテイスト清涼飲料「アサヒ ポイントゼロ」。缶350ml、スタイニーびん334mlの2種。
「味の方向性が違います。ビールらしいのみごたえと、清涼飲料らしい後味のスッキリ感の両立を狙っています。発酵を伴わないため、酵母から作られる香味成分や味わい成分が発生せず、味が単調になりやすい。そこで、香味成分やアミノ酸を加えて味に深みを付けました。『ポイントワン』(2003年11月発売、アルコール分0.01%未満)の味の評価が高かったので、近づけたかった」とアサヒビール開発担当の倉田剛士氏(酒類本部 マーケティング本部 商品開発第一部 副課長)は語る。
さらに、ポイントは、酸化防止剤無添加。消費者の健康志向に配慮し差別化を図る。
パッケージは、爽快感を表す青色に、金色、麦を配し、ビールに近いイメージを出している。
・昼間も飲めるコミュニケーション・ドリンク
ビールは酔うためのアルコールというイメージだけではなく、打ち解けたり、心を通わせるためのコミュニケーション・ドリンクとなっている。しかし、夜はビールで良いが、昼間では後の行動に支障が出る。休日でもビールを飲んでしまうと眠くなり、一日を有効に使えなくなる場合がある。そんな昼間のコミュニケーション・ドリンクが、ノンアルコールビールだ。
休肝日の代替飲料としてだけでなく、カロリーを気にして1本目はビールを飲むが、2本目はノンアルコールビールに変えるというダイエット志向の人もいる。
アサヒは「ポイントゼロ」を、まずはアサヒビール取扱のゴルフ場やロードサイド店を中心に、9〜12月の4ヶ月で40万ケースの販売を計画している。ノンアルコールビールは、先行するキリン「フリー」が4〜12月の8ヶ月で250万ケースに販売予定を上方修正。さらにサントリーは「ファインゼロ」を9/29から発売する。ノンアルコールビールの市場は広がる可能性が大きい。
「今のポイントゼロの味に自信がある。しかし更なる味の進化も目指しています。」と倉田氏は意気込む。
倉田剛士氏(酒類本部 マーケティング本部 商品開発第一部 副課長)。