フードリンクレポート
扱い店目標を年内1000店に上方修正。
「ヱビス スタウト クリーミートップ」和食店や女性にも人気。
和食にも合う「ヱビス スタウト クリーミートップ」。雑魚のグリル(上)あま鯛(下)えぼ鯛。
・“ヱビス“ブランドで、和風店から引き合い続々
ヱビススタウトは、ドイツ・バイエルン産アロマホップをふんだんに使用し長期熟成する、ヱビス独自のこだわり製法を踏襲し、バーなど洋風業態での扱いを目指し開発された。発売に当たっての販促ツールもスタイリッシュなバーのイメージ。ところが、蓋を開けてみると、ヱビスビールを扱う和風店からの引き合いが多かった。
「洋風業態を目論んでいましたが、和風店からも是非扱ってみたいとの要望をいただき、今、和風の販促ツールを急遽作っています」と、菅敏浩氏(マーケティング本部 ヱビスブランド戦略部 シニアマネージャー)は驚きを隠さない。
サッポロビール、菅敏浩氏。
消費者の味の評価は「ヱビスなのにまろやかで飲みやすい」という声が多い。開発コンセプトである“ジャパニーズ・スタウト“の通り。いつまでも消えないクリーミーな泡が特徴で、樽からグラスへ注がれると“サージング”と呼ばれる泡の対流が発生し、目にも美しい白い泡と黒いビールのコントラストを生み出す。その繊細さが女性客にも人気を呼んでいる。通常の黒ビールやスタウトというと男性のビール通向きというイメージがあるが、このヱビススタウトは幅広い消費者を魅了している。
ヱビスのブランド名を冠したために、和風店の目を引き、しかもその飲みやすい味で和食にも合うというのが市場の評価。焼き鳥の塩味、あさりの酒蒸し、カルパッチョ、蒸し野菜など食材の持ち味を活かしたやさしい料理に合う。
えびと生とうもろこしのかき揚げと「ヱビス スタウト クリーミートップ」。
・業務用オンリーで、店からのお勧めが必要
ヱビススタウトは和風店からの引きが強いが、扱えば直ぐに売れるという訳ではない。業務用専門ということで10Lの樽詰しかない。家庭用に缶ビール化が検討されているが、飲食店で飲むものと同じクオリティを提供するには、越えなければいけないハードルが多く、当面は発売予定がない。
店側は知っていても、お客は知らない訳だ。そこで、店側で「ちょっとこだわりのある新しいヱビスビールです」などと推奨販売する必要がある。不況で集客に苦しむ店が多い中、ヱビススタウトは他店と差別化することのできる商材でもある。仕入れ価格は通常のヱビスのほんの少し高め。400mlタンブラーで550〜650円で販売している店が多いようだ。
「サッポロビールはお店様をバックアップするために、ホームページにヱビススタウトの飲める店の紹介を8月末からスタートします。また、料理専門誌などで広告を展開する予定です。」と菅氏。
黒ビールのブームは、アサヒ黒生が発売された1996年、ヱビス・ザ・ブラックが発売された2003年にやってきた。仮に7年周期とすれば、来年2010年は再度、黒ビールのブームがやってくるかも知れない。今までの黒ビールの男性中心の世界から、ヱビススタウトは女性をも含め幅広い層を巻き込もうとしている。
サージング中のヱビススタウト(左)と、終了後。
→「ヱビス スタウト クリーミートップ」