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フードリンクレポート


香りを楽しむ麦焼酎「白水」、
左官職人、挾土秀平を起用で反響広がる。

2009.9.29
名水百選、南阿蘇・白川水源の水を割り水に使った、キリンビールの麦焼酎「白水」が本格焼酎全般の伸びが鈍化しているにもかかわらず、じわじわと評価を上げている。その一因は、NHKプロフェッショナルをはじめ他のTV番組で紹介された左官職人、挾土秀平(はさど しゅうへい)氏を広告キャラクターや専用グラスのデザイナーとして起用したことだ。


挾土秀平(はさど しゅうへい)氏を起用した交通広告。

「白水」はイオン交換しない自然な香味

 白水は熊本県八代市にある、キリンビールグループ会社のメルシャン八代工場にて製造されている。工場内の焼酎蔵「八代不知火蔵(やつしろしらぬいぐら)」にて蒸留される。

 白水原酒の特長は、もともと蔵に住み着いていた独自の白麹菌を使うこと。雑味の極めて少ないきれいな味わいを実現している。さらに、減圧蒸留を採用しているが、通常の50〜60度よりも低く限界値に近い50度以下の減圧度で管理していること。余計な化学反応を減らし、本来のフルーティーな香り成分が抽出できる。

 さらには、不純物を取り除くためにイオン交換を採用している焼酎ブランドが多い中で、敢えてイオン交換を行わず、自然な香味を大切にしている。イオン交換した焼酎は、紅茶のような香りがする。

 しかも、その原酒を割る割り水に、環境省選定の名水百選、南阿蘇・白川水源の水を使っている。焼酎の45%が割り水で占められ、その重要性が分かる。白川水源は、硬度85度とやや硬度が高い。多く含まれるカルシウムが香り立ちを高め、ナトリウムよりカリウムが多いことでやわらかい味をもたらす。その日に使う割り水は、その日の朝に汲んだものしか使わない。しかも、官能検査が行われ、少しでも異常があると汲みあげた水は全て廃棄し、仕込みも中止される。

「香り立つ」という特長を出すための、一貫した製法のこだわりが感じられる。


環境省選定の名水百選、南阿蘇・白川水源。


白川水源は、硬度85度とやや硬度が高い。


左官職人、挾土秀平が勧める

 挾土秀平氏は、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で2006年3月に紹介された土と水にこだわる左官職人。「時間がない中で、60%の出来で逃げた方が良いのか。引き渡しの期限が延びて、施主が怒っても100%のことを最後までやった方が良いのか。それは後者に決まっている。恨まれても、あとで喜ばれる」と語る、職人のプライドが視聴者の心を打った。

 広告で、挾土氏の無骨な顔のアップに驚かされた方も多いだろう。通常のTVタレントとは違う切り口でインパクトが強い。職人のこだわりが「白水」とオーバーラップする。キリンビールには広告についての問い合わせもかなりあるそうだ。同社営業担当者は“おとなり店活動”と称して、キリンビール店の近くにあるお店も訪問し、その際の切り込み商材の中でも引きの強い商品となっているという。こういった活動を通し扱いが徐々に広まり、「白水」は独り歩きし始めた。

 本格焼酎の伸びも鈍化してきたが、販売量は大きく重要な商材だ。相変わらず、芋焼酎を注文するお客様が多い中で、原料分類で2番目に売れている麦焼酎(醸界タイムス調べ 平成20酒造年度における主要原料別本格焼酎出荷数量より)を勧めてみては。商品知識でお客様を喜ばせよう。


麦焼酎「白水」25度、900ml。

キリンビール麦焼酎「白水」


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年9月16日執筆


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