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フードリンクレポート


宝酒造も強炭酸!
「純スペシャル」で本格酎ハイを。

2009.10.15
宝焼酎「純」で昨年9月から、強炭酸を作れる特注ディスペンサー「純スペシャル」の設置を始めている。同様の強炭酸を作れるサントリーの角ハイボールタワーの設置店も増えているが、ハイボールブームの根底にあるのは強炭酸による爽快感。宝酒造は強炭酸を武器に本格酎ハイ「純ハイ」をアピールしている。


宝酒造の堤野正嗣氏。

「純ハイ」は、シロップを入れない

 宝焼酎「純」は1977年の発売。それまでの焼酎のイメージを一新し、グレープフルーツジュースで割る飲み方を提案するなどウォッカに近い、ドライでリッチな甲類焼酎として、若者の間で爆発的なブームを巻き起こした。

 そのドライでリッチな味わいの秘密は、樽貯蔵熟成酒を13%ブレンドしていること。宝酒造は約2万樽・約85種の樽貯蔵熟成酒を保有。その中から、大麦・トウモロコシ・サトウキビ糖蜜を原料とした11種の熟成酒を選びブレンドしている。13%というのが、酒そのものとして美味しく、かつ食事とも楽しめる黄金比率だという。

宝焼酎「純」35度

「純」を使った酎ハイは「その生(き)の味を楽しんでもらうため、炭酸のみで、何も加えず味わって下さい」と宝酒造の堤野正嗣氏(つつみのまさつぐ、酒類事業本部 業務市場開発部 業務用企画課 課長補佐)は言う。

 「純ハイはドライな味で揚げ物や焼き物によく合います。今までの酎ハイはシロップを加えたスイート系が多いですが、これからはウイスキーハイボールのようなドライ系酎ハイのバリエーションがあってもよいのでは」と堤野氏。

 今のハイボールブームは、ビールに替わる炭酸の爽快感と、食事に合うドライな味が人気の理由。「純ハイ」も人気ドリンクとなる要素を持っている。


炭酸のみで何も加えない「純ハイ」。


強炭酸ディスペンサー「純スペシャル」を開発

 宝酒造は2008年、ディスペンサーのパイオニア、ニットクと共同で強炭酸水を作るディスペンサー「純スペシャル」を開発した。そして、同年9月から特に「純ハイ」の品質向上に共感する飲食店に絞って設置を始め、現在は全国で約25店に。ちなみに、サントリーの角ハイボールタワーも基幹部分はニットクが開発。同社は強炭酸水を作る技術のパイオニアだ。

 特徴は、水道に直結させガスボリュームで5.0以上の強炭酸水を作る。その炭酸は細やかで持続性がある。「純」35度を使い、純1:炭酸水3の割合、アルコール度数約8%が最も美味しい状態。グラスも冷やして、泡が減らないようグラス肌からゆっくり注ぐ。シロップは加えないで提供。ちなみに機械のサイズは、通常のディスペンサーと変わらない。


ニットクと共同開発した、強炭酸水を作るディスペンサー「純スペシャル」。

「純スペシャル」を使った「純ハイ」はハイボールと同価格で販売されているケースが多い。ちなみに、串かつとどて焼「串かつでんがな」では、「なにわシルバー<辛口>」と名付け、「なにわハイボール<中辛>」と名付けられたウイスキーハイボール、サワーや酎ハイと同じく380円で販売(一部店のみ)されている。辛口の「純ハイ」が脂っこさを流してくれ、串かつによく合う。

 瓶の炭酸、シロップも使わずコストが抑えられる。しかも、強炭酸という付加価値で、「純ハイ」は家庭では味わえない外食市場ならではの本格酎ハイとして魅力あるドリンク商材だ。


宝焼酎「純」


【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年10月2日執筆


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