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メディカル・レストラン

メディカル・レストラン

第3回「さんだ 赤坂店」

03.23
現役の医師が、健康になれるグルメ情報をお伝えします
さてさて、三回目だから「さんだ」にしたわけではありませんよー、爆。今回のテーマは前回の延長で「お肉を健康的に食べーる!」。サイエンスをまぶした美味しく健康に良いレシピを食すべく今夜降り立った場所は赤坂です。
みすじ通りから折れた路地にひっそりと佇む名店がそこにはあります。良いお店と言うのはこのような場所にあるんだよね〜とついつい思ってしまいます。知ってる人だけが遠方から交通費を惜しまずやってくる。通りがかりの人が入店してくるのを今まで私は見たことありません。「こんばんわ〜。」の声をつい発してしまうコージーでこぎれいな雰囲気。綺麗なカウンター。いつものご主人の笑顔。

「さんだ 赤坂店」 *閉店

六本木店もあります。
(住所)東京都港区赤坂3-19-3
(電話)03-5570-1129
(営業時間)17:30〜ラストオーダー21:30
(定休日)日・祝日

さあ、席に着きましょう。
今夜の所長の夕食は、

  1. アキレス(写真)
  2. ハツモト
  3. ミノ
  4. アオルタ(大動脈)
  5. 牛タン団子スープ
  6. フワ
  7. ハツ刺
  8. ハラミたたき
  9. レバ刺(写真)
  10. テール煮込み
  11. テール味付け
  12. ホホ肉のシチュー
  13. 焼き物(膵臓、ミノ、ギアラ、シビレ)
  14. 牛タンシャブシャブ
  15. 中華麺
  16. 黒ゴマアイス

さっそく「健康×美食ラボ」にて私とスタッフで検証をいたしました。

「アキレス」

さてさてと・・メニューを最初から追いかけてみましょう。最初のアキレス腱を食べて食道楽者に「これ何だと思う?」と問いますと9割は「美味しいね。これ、フグでしょう〜♪」と答えます。笑ってしまうほどです。お店に入る前から「ここは和牛屋さんだからね!」て皆に言ってるのに・・笑(ちなみに残りの1割は「・・?悔しいけどわからな〜い!」と答えます)次のタンの団子も練りこまれた軟骨が歯ごたえ良くあっと言う間に口の中に。アオルタ(大動脈)は驚嘆します。腰抜けます。それくらいテクスチャー(噛みごたえ)に驚きます(医者の客は解剖で大動脈みてるので余計にビックリするはず)先日、血管外科医を連れてきたところ「この牛、動脈硬化ねえなぁ。まぁそんなこたぁ〜どうでもいいけど、ウホ〜うっめ〜〜!なんやこれ。たまらんなぁ♪」と吼えてました。「若い牛だから動脈も若いんだよ。見りゃわかるでしょう。あんたホントに医者?笑」ってご主人にからかわれてましたけど・・。レバ刺は周りを軽く炙ってあります。臭みは皆無。うまみは無限大〜

「レバ刺」

実は今回同行したラボスタッフは内臓系がダメな人間だったのですが全て完食!眠っていた虎を起こしてしまいました。今後が恐い。。。。テールはゼラチン質がたっぷりで女性客が申しますには翌日お肌ツルツルだそうで。焼き物の後の中華麺もタン風味のあっさりスープで品良く且つ美味です。炭水化物が最後の麺以外にはない事はカロリー的に宜しいかもしれません。

ラボスタッフ全員の意見としては「来店して食べないと原因ははっきりと言えないが・・牛肉だけガツンと食べたはずなのに、まるで蕎麦でも食べてきたかの様なスッキリした我々の顔にはモーびっくり、笑」との意見でした。

ところで、私なんぞは巷のホルモン系を摂りますと・・うーーん、今週はホルモン系はもういいかな〜!って思いますが皆様はいかがでしょうか?

肉と言いますのは美味しいけどしつこい。肉に入ってる油はうま味も出しますが、同時に血管の中の血をドロドロにするので人間は無意識に回避してるんですね。血糖が低い時には甘い物を食べたくなり、ビタミンが不足している時にはお野菜や果物が食べたくなる。人間だけでなく生き物は一般に不足している物質を欲し、身体に十分足りている物質を避ける本能を持っています。血の中にたっぷりと脂肪分が取り込まれた後はしばらくは油っこい物を見ても食欲がなくなる仕組みになってるんですね。

ところが、「さんだ」ではご主人の石井正敏氏(写真)が長時間に及ぶ手間隙をかけて、うま味を際立たせる技と余計な油を抜き取る様々な仕事がメニューにしこまれております。ですから翌日の胃腸の軽いこと軽いこと〜!今晩も続けて行こうかな〜って気にさせます。って事は食べた翌日でも油分がジャブジャブと血中にない証拠だと考えられます。

ご主人の石井正敏氏

肉のある部位は焼き、ある所は煮て、その他、生ありシャブシャブあり野菜と混ぜたり・・部位別に一番美味いと思われる調理方法が取られ、さっぱりとした味付け(しつこいと色々全部食べられないので)になっています。

前回の「龍吟」さんも同様の工夫をされてましたね。ラボはこの2店に共通する翌日でもお肉を食べたくなるヘルシーな技術を『アブラトール・リトリーバー』と名づけました・・意味は「油回収犬」とでも申しましょうか(笑)

「健康×美食メニュー」にするには食材と調理方法のバランスが大事です。今後メディカルレストランに登場される様々のお店ではこの『アブラトール・リトリーバー』と言う技法が手を変え品を変え度々登場するはず。期待したいと思います。

ごらんの様に「さんだ」には和牛料理以外のお料理はデザートしかありません(ミノのアイスを開発中とかしないとか、爆)延々と肉料理が続きます。しかし、このお店の客層の医師の占める割合(エンゲル係数ならぬイシャゲル係数、爆)が高く、医師が皆口を揃えて「これだけ食べて翌日の胃腸が軽いんだよねぇ」と評判も上々。

論より証拠とはこの事ではないでしょうか!医師がわが身を実験台にして体感する「医学的に身体に良い和牛料理」。「さんだ」さんに限らず、巷の料理屋さんでもイシャゲル係数の高いお店は要チェックだと思いますよ〜♪


所長のコメント:
「さんだ」さんの『アブラトール・リトリーバー』がいくら素晴らしいとは言え、人間は雑食性の生き物ですから牛肉だけを食してて健康に良いわけはありません。

お肉やお野菜や果物をどのぐらいの比率で摂取したら良いか。。それに関して面白い仮説があります。

その仮説とは「歯を見ることでその動物が本来食べるべき食物がわかる」です。

肉食獣のライオンやオオカミなどは犬歯が大きく、門歯(前歯)は小さく、臼歯は無く変わりに鋭い頬歯というのがはえております。つまり獲物を捕らえ肉を切り裂き、肉だけ食べる様に歯の構成になっております。

草食動物はどうでしょう。基本は立派な臼歯を持ち消化の悪い植物をすり潰す作業が主となります。そして馬牛などの様に門歯は草などを引きちぎるのに発達している物もあります(象の長い牙は実は前歯なんです。考えてみれば肉食ではないので長い犬歯があるわけないですよね、笑)

雑食の動物は、門歯(前歯)、犬歯、臼歯、がちゃんとあり、色々な物を摂食すべく歯が構成されております。そして人間を見ますと成人では、門歯:犬歯:臼歯の比率は2:1:5になっています。犬歯の比率1に対して、草を噛み切りすり潰す臼歯と果物を齧ったりする門歯の比率を合わせますとなんと7になります。なんと1:7です。この説が証明された訳ではありませんが、もしも正しければよっぽど頑張って野菜や果物を摂食しないといけませんね〜泣。

第一回と二回のメディカルレストランで、1回の食事に関しては食材、調理方法の2本の柱が大事な事は申し上げました。

1日3食のレベルで食事を考えますと、ヘビーな夕食や自分の望まない会食に備えて朝食や昼食の献立を組み立てていく・・「食事を出す側だけにまかせないで食事を受ける側の技」も必要だと思われます。

付録:
以前、BSE問題で軒並み業者から取引先が離れていく中でも、石井正敏氏は信頼一本で肉を買い続けたそうです。お店は毎日ガラガラ。買った肉をほとんど捨てる毎日が続いたそうです。店がつぶれるのが早いかお客さんが戻ってくるのが早いか・・最後まで戦い続け、やっとお客さんも戻ってきた頃、業者の人は黙って彼に驚くほど最高の品を毎回廻してくれる様になったとか。。黙って買い、黙って渡す・・日本人じゃなきゃできない美学と美談があっての今回のメニューでした。

執筆 『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫 2006年3月23日

『健康×美食ラボ』所長
医学博士 岡野喜久夫

岡野内科診療所院長
東京都港区新橋1-18-14 三洋堂本館ビル8F
03-3502-8060

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