RSSフィード

次に流行るお店

旬の素材を使った馴染みのある懐かしい味。昼はお弁当、夜は晩酌で。
「台所ごはん ばんざい 手豆や」
(東京・神田/おばんざい)

第283回 2009年9月8日

カウンターに並ぶお惣菜。
「台所ごはん ばんざい 手豆や」は、JR神田駅北口から徒歩7分、都営新宿線の小川町と丸の内線の淡路町駅双方から3分の外堀通り沿いに8月5日開店。女性2人のオーナーが初めてオープンした飲食店である。


外観


入口ショーケース。

 お店のオーナーは「昼おかみ」の小西真保さんと「夜おかみ」の伊豆原理恵さん。朝から昼食までを昼おかみが、17時からの晩酌タイムを夜おかみが切り盛りする。

 店は平日毎朝7時半に開く。「朝のおにぎりセット」250円は小おにぎり2個とおばんざいが少しつき、出社前のサラリーマンに人気だ。8時半にはほぼ毎日売切れてしまうという。お米は夜おかみのお父様が愛知県三好町の畑で育てたコシヒカリ、海苔は昼おかみの出身地三陸産のものを使用している。


朝のおにぎりセット 250円

 朝が終わると休む間もなく昼の準備に取り掛かる。昼はお弁当を日替わりで8〜9種類用意する。持ち帰りが中心だが2階の座り席でイートインも可。オープンから約一ヶ月、安定的に人気があるのは「自家製ハンバーグ弁当」「うま豚生姜焼弁当」「秘伝・大人の鶏唐弁当」の3種類。誰でもお弁当で食べたことのある人気の定番「おかず」がメインで、周りに数種類のおばんざいが彩りよく盛られる。価格は500円が中心で、他に380円から一番高い「大名幕の内弁当」でも700円という安さだ。安くてでも味がのっていて栄養価の高いおばんざい、毎日でも飽きずに食べたくなる日本のお弁当がここにある。

 おばんざいは、50g100円で単品ごとの購入も可。日ごとに5〜6種類あり、おにぎりを組み合わせて利用する人もいる。具だくさんの豚汁は100円プラスオンすることで付けられる。


よく売れる3種のお弁当

「手豆や」の「まめ」という言葉は「こまめに」「丁寧な」「地道な」「よく整理されて手入れがよい」等という意味をもつ。奇をてらわず、ほっとできる味と気軽に立ち寄れる空間を提供し続けていこうというオーナーの想いが店名に込められている。スタッフは全て女性、割烹着やエプロン姿で粛々と出汁から全て手作業で調理をひとつずつ施し、そしてマメにお客様に気を配って対応している。

 夜になると夜おかみの出番だ。17時のオープンに向け、地方から直送の魚介類なども準備される。夜の人気メニューは「三陸産イカ焼胆たれ添(580円)」「ゴーヤチャンプル(500円)」「丸ごとホタテステーキ(450円)」等。


丸ごとホタテステーキ 450円。


日替わり料理。

 1階は立ち飲みスペースで、鍋の湯気をながめながら気軽に気ままにお酒とつまみが楽しめる。ゆっくりくつろぎたい方は2階の座りスペース(全20席)へ。2階席は予約も受け付けている。


一階の奥のスタンディング席。

 階段をあがっていくと階段上に、ワンカップのディスプレイ。日本酒はワンカップのスタイルで300円からワンカップも含め約20種類そろえている。焼酎は420円から、芋、麦、米と全部で12種類ほど取り揃えている。又日本産のワインをボトル2200円から置いているのも特徴。ワインとおばんざいという組み合わせについて「浸透するのにまだもう少し時間が掛かるかもしれないが新しいスタイルのひとつとして楽しんでほしい」と夜おかみの伊豆原氏は言う。アルコール類に関して、より勉強を積んでお客様に喜ばれるラインナップや味わいの深さ、季節ごとの提案をしていきたいと前向きだ。


階段上のワンカップのディスプレイ。

 2階へあがると、まだ真新しい木の壁に、広々とボードが設置され、その日のオススメがお料理からお酒までイラストと共にかわいらしく書かれている。お店のデザインテーマは「渋かわいい」。かっこいいではなく可愛いいという、背伸びをせずに愛嬌よくというわけだ。


2階のメニューボード。

 夜メニューで、忘れてほしくないのは〆のおにぎりや麺類。つるっと食べれるシンプルな「すだちそうめん(380円)」や珍しいところで「赤い!辛い!盛岡冷麺(450円)」などちょっとしたアクセントがあり最後まで楽しめる。

 そもそも2人の女性オーナーは中村悌二氏がレストランビジネスデザイン学部長を務める「Schooling-Pad」で生徒として出会った。社会人としての経験も豊富な2人は、マーケティングやエリア分析、事業計画書の作成、メニュー開発や物件探しまで役割分担をしながら根気よく進めた。歩いた物件は週に10件以上、6〜7ヶ月間で合計240件位は歩いたという。サラリーマンのおじさんをメインターゲットとしつつも働く女性たちにも来てもらえる店づくりをめざした。その結果、最終的に残った候補のエリアは八丁堀と神田、四ツ谷三丁目など。神田は激戦区である西口を避け、最終この場所に決定した。この間企画書はエリアごとに10種以上は作成したという。

 物件と共に苦労したのは仕入れ業者の開拓である。伊豆原氏の出身地愛知から農作物を、小西氏の出身地東北から鮮魚類を生産者さんから直接仕入れられるよう、ほぼ飛び込みで一軒ずつあたった。何度も足を運んだ甲斐あって今では新鮮な素材が直接お店に届き、店内には「生産者の写真やコメント」も紹介されている。


店内の生産者の写真。

 丁寧でマメな心配りと、安心できるお店作りを変わらず心がけ街のお客様に愛される店であり続けてほしい。新しいスタートは今きられたばかりだ。


小西さん(左)、伊豆原さん(右)。


【台所ごはん ばんざい 手豆や】
住所 東京都千代田区神田司町2丁目4-2
電話番号 03-6206-9366
営業時間 弁当・惣菜 テイクアウト 7:30〜22:30
ランチの2階イートイン 11:30〜14:30
晩酌 17:00〜23:30(L.O.22:30)
定休日 日曜・祝日(弁当は土曜も休)
客席数
客単価
目標月商
開店日 2009年8月5日
経営母体 個人
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
国井 直子(くにい なおこ)   2009年8月26日取材

Page Top