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酒、食事、笑いを提供する若手芸人に会える店。
「ずるずる処 せじけん」
(東京・幡ヶ谷/居酒屋)

第335回 2010年9月28日

若手芸人が揃った「せじけん」スタッフ。中央が森脇店長。
「ずるずる処 せじけん」は7月20日、京王線幡ヶ谷駅北口至近の商店街にオープンした、ブレイク前の若手芸人たちが勤める居酒屋である。

 オーナーは人気漫才コンビ、千原兄弟のお兄さんの方、千原せいじさん。

「芸人というのは急に仕事が入ることも多いですし、アルバイトがなかなかできないんです。なのでシフトはドタキャンありになっています」と語るのは店長の森脇優雅さん。

 元は漫才コンビ、クルーズを組んでいたが今はピンの芸人として活動している。モーニング娘。初代リーダーの中澤裕子さんは親戚で、子供の頃はよく一緒に遊んでいたそうだ。中澤さんには芸能界に入る時、「芸能界の先輩としていろいろ教えてほしい」と相談されたという。森脇さんがいなければ、かの国民的アイドルグループとして一世を風靡したモーニング娘。もなかったかも知れない偉大な人物なのである。

 さて、この店の特徴であるシフトは、週ごとに組むがドタキャンありとなっている。その時は代わりを探すわけだ。一方で、シフトに入っていなくても電話一本で出勤が可能で、常時7〜8人が店に出ている。時給1000円の日払い制。

「芸人のためにつくった店ですから、せじけんの皆が売れるのが目標です。皆トークがうまいですから酒も食事も進みますよ」(森脇店長)。

「せじけん」ではブログやツイッターで日々情報を発信しており、近所の人ばかりでなく、お笑いファンの人が遠くからでも東京に用事で来たついでに立ち寄るケースも多い。女性一人で来る人もいて、カウンターに座って食事と会話を楽しんでいく。芸人たちとファンの交流の場であり、口コミで顧客が増えることで芸人たちの顔が売れることを目指している。顧客の年齢層は幅広く、男女比は半々だそうだ。

 物件は夫婦で30年間居酒屋を続けていたもので、引退を受けて引き継いだ。居抜きであるが、芸人たちの手作業で壁塗りなどの改装を施した。


入口。


カウンター席。


店内。

 居酒屋としてドリンクの提供も手抜きはなく、芸人たちはアサヒビールのドラフトマスターの講習を受け、認定書を持っている。

 ドリンクの値段は、生ビール中ジョッキ(450円)をはじめ手ごろな値段で、カクテル、焼酎、ハイボール、サワー、ソフトドリンクなどが揃っている。

 このほか、「ぼったくりメニュー」と称して、3万円の「ドン・ペリニョン」、「山崎 12年」、「佐藤 黒」など高価な良いお酒も扱っている。割り物に使う梅は紀州梅と、旨い物を出している。

 割烹で3年間勤めた経験のある調理担当の林田竜次さんは、ヒットマンという漫才コンビを組んでいる。林田さんたちがつくるメニューも、創意工夫が凝らされている。

 看板の「せじけん溶岩焼き」は富士山の溶岩プレートで鶏肉を焼くもので、遠赤外線効果もあり香ばしく焼き上がる。もも、せせり、野菜盛り(各450円)、ササミ、レバー、砂肝(各350円)となっている。


「せじけん溶岩焼き」。

 また、煮込み類は好評で早めに売り切れる日も多い。鶏肉の甘辛醤油味ごった煮の「せじけん煮」、味噌味の「せじけんもつ煮」、塩味と豆板醤などのピリ辛味の「せじけんしじ煮 白/赤」が各450円。ボリュームたっぷりの「せじけんサラダ」(580円)も人気だ。日替わりでメニューに掲載していない料理も5品ほど用意している。


「せじけんもつ煮」。


「せじけんサラダ」。

 テーブルにある調味料は、知る人ぞ知る「ヨシダソース」、「大名醤油」、「クレイジーソルト」。プロの料理人を唸らせる名品に意外な場所で遭遇する面白さがある。

 なお、店名の“ずるずる”とはべろべろに酔うという意味。“せじけん”はオーナーの千原せいじさんの名前と、大阪の通天閣にある幸運をもたらす神様ビリケンを合わせた造語だ。

 千原さんも本業の仕事がない時には「せじけん」に顔を出す。芸能界一人脈が広いと言われる千原さんの爆笑トークや、弟の千原ジュニアさんの話も直接聞けるぜいたくなお店。客単価も2500〜3000円と安い。

 この店で親しくなった芸人のライブに行く顧客も増えてきているという。イベントの告知にも使えるのが、芸人が働く飲食店のメリットである。

 食事、酒にお笑いまで付いた「せじけん」は、若手芸人に会いに行ける店として、居酒屋の新境地を開いたと言えるだろう。


ずるずる処 せじけん
住所 東京都渋谷区幡ヶ谷2-9-19 青木ビル2F
電話番号 03-6383-3205
営業時間 月〜金 17:00〜翌2:00 *土日祝〜24:00
定休日 なし(不定休)
客席数 70席
客単価 2500〜3000円
目標月商 非公開
開店日 2010年7月20日
経営母体 千原靖史
※取材当時の情報です。変更されている可能性がありますので訪問される場合は、店舗にご確認下さい。
長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年8月27日取材

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