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編集部の気になる商品とお店

第66回 2005年01月29日

一度行けば忘れられない店長の笑顔とカレーの味
「わすれな草」
わすれな草

ほのかなカレーの香りが漂う小さな立ち飲み屋の前は満席で入れそうにない。
声をかけるとお客様同士で席を詰めてくれたらしく、やっと中へ入ることができた。

「いらっしゃい。何にしましょうか」と笑顔で声をかけてくれたのがこのお店のオーナー、中西 亮太氏である。
21歳の時から、お店をオープンすることを目標に昼間はサラリーマン、夜は神戸のレストランで働きながらお金を貯め、この物件を見つけたのが26歳の時だったという。

「最初はキッチンバーのようなものを考えていたのですがこの物件を見て、駅からも近くだし、入り口は3箇所もある。
これなら立ち飲みがいいかな、と思いました。
立ち飲みなら詰めれば20席くらいはとれますからね」

発砲スチロールの中から活きた車海老を取り出して頭を折り、丁寧に筋を外す。氷の上に乗せ、日本酒をさっとかけてものが目の前に現れた。
海老の尾の黄色と青の冴えた色合いがピクピクと動き、ねっとりと甘い味わいが口の中に広がっていく。
わすれな草の看板メニュー、車海老の踊りは 180円という安さだ。
海老味噌が詰まった頭は、カリッと塩焼きにしてくれるのでこれでついもう1杯とお酒がすすんでしまう。

「看板メニューは、目にインパクトのあるものでないとダメ。車海老に関しては、儲けは度外視です。」と中西氏。

20〜50代のサラリーマン主体の店では、わかりやすくシンプルでおいしいメニューを出す。
今のスタイルに落ち着くまでは紆余曲折もあったようだ。

「洋食出身だったので、最初はこそばゆいものも出していました。例えば鴨をレモンバターソースで出していたのですが、これが全く人気がない。そこでオーブンで焼いた鴨を、黒胡椒と醤油をかけたものに変更したら急に出るようになりました」

ここへ来たら絶対に食べなくては帰れないものがもうひとつ、チキンカレーリゾット480円である。
ランチでは、通常のカレーライスを出しているそうだが夜は、ご飯と一緒に混ぜてリゾット状に仕上げてある。
他のお店で飲んだ後、ラーメンかこちらか迷う人もいるそうで食べやすく、一皿ペロリといけてしまうおいしさ。

こちらのメニューは"乗せたもの"バージョンも大人気。
"乗せたもの"とは 出し巻きオムレツ 280円で、味は出しを入れた出し巻き玉子だが形状はオムレツというもの。出し巻き玉子よりも早く提供できるのもその理由だという。
そのままでもおいしいが、カレーとトロリと溶け出すオムレツを崩しながら食べるのもまた格別である。

「このあたりに多いサラリーマンをターゲットにしているので、例えばドリンクは全て380円に設定しています。
 もちろん原価はバラバラですが、上司と一緒に来た部下が本当は違うものを飲みたくても、上司より高いドリンクを頼みにくいなんていうことがないようにこの価格を設定したんです」と中西氏。

 わすれな草2000年11月にオープン。当初はお客様が全く入らない日もあったということだが、口コミでお客様が増えていき客単価2000円以上と、大阪の立ち飲みにして高い金額設定だというが95%のお客様が週に1〜2度訪れるというリピーターだという。
中西氏は、こちらで修行したスタッフを独立させ、2003年6月には明石焼きと蛸のおどりが名物の「げんてん」。
2004年11月には、どじょうの蒲焼を看板メニューにした大衆酒場「ひらやま」もオープンさせた。

「立ち飲みでは、店主がそのお店の顔でしょう。1店舗1店長主義。どれも小さなお店ですが、勝算があるかどうかスタッフと話し合ってオープンさせました。
最初の1年間は給料制ですが、その後は完全売り上げ制。
アルバイトのスタッフの時給から、お店の休日までその人に任せています。1年間で黒字にならなかったらクビなのでみんな必死です」

わすれな草とひらやまは、安かろう、悪かろうの立ち飲みのイメージを払拭し、メニューは上限を¥480に押さえ、原価率平均40%と非常に高い数字の中で最高のもの出す工夫をしているという。

「とにかくお客様に喜んでもらいたい」と語る中西氏。
車海老のおいしさと、チキンカレーリゾットの味が忘れられず、また訪れたいと思いながら、お店を後にした。

わすれな草
忘れられない味
チキンカレーリゾット (480円)

わすれな草
ドリンクは全て380円均一

わすれな草
和牛ユッケ(480円)

わすれな草
ぴくぴくと活きの良いまま
皿に乗せられて提供

わすれな草
店内はサラリーマンで毎日賑わう

わすれな草
「げんてん」名物の明石焼き

わすれな草
どじょうの蒲焼が看板メニュー
三号店の「ひらやま」

取材・執筆 本誌編集部 石田千代 2005年01月29日

「わすれな草」 本格カレー&一品料理
住所 大阪府大阪市西区江戸堀1丁目14-1 平和相互肥後橋ビル102
電話 06-6445-7557
営業時間 月〜金 11:00〜14:30 ランチ
17:00〜00:00 ディナー
土曜日 11:00〜14:00 ランチ
16:00〜22:00 ディナー
定休日 日祝日
予算 ランチ 500円〜、 ディナー 約2000円

「げんてん」 明石焼・一品料理
住所 大阪府大阪市西区江戸堀1丁目13-1 1F
電話 06-6447-7899
営業時間 11:00〜16:00 ランチ
17:00〜00:00 ディナー
定休日 日祝日
予算 ランチ 680円〜、 ディナー 約2500円
席数 12席・5坪

「大衆酒場 ひらやま」 どじょうの蒲焼・一品料理
住所 大阪府大阪市中央区伏見町2-3-4 伏見町ホンダビル1F
電話 06-6232-0070
営業時間 11:00〜15:00 ランチ
17:00〜00:00 ディナー
定休日 日祝日
予算 ランチ 680円〜、 ディナー 約2500円
席数 20席・9坪

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