「お客様から『こうゆうお店が欲しかった！』と言っていただいています。」と笑顔で語るのは、飯田橋のフランス料理店「Meli-Melo」（以下、メリメロ）のオーナーシェフ宗像氏。
目白通りから一本路地を入った場所にある同店は、2003年11月にオープン。宗像氏は、フランスでの5年間の修行の後に帰国、青山の名店「ビストロ ダルブル」で8年勤め上げ、料理長を経験した。「ダルブル」では、有名な「野菜だけのコース」メニューを開発し、大ヒットを飛ばしている。そして、満を持しての独立開業となった。

　飯田橋にはまったく土地勘がなかったが、紹介された現物件の周囲を歩いてみると、昼間は人が多くランチ需要も充分と判断、また、夜は居酒屋ばかりが目立ち、フランス料理の店、特にワインを飲める店がないことも出店を後押ししたと話す。
　認知されるまでには時間を要したが、料理ばかりではなく今ではワインとチーズを気軽に楽しむお客様や、二次会の場としてゆっくりとワインを飲むお客様などが増えてきている。ビジネスマンを中心に20代後半から40代までがヴォリュームゾーン、ランチでは9:1で女性が圧倒的に多いが、夜にはグループ客が中心になり5:5へと変化、さらに週末にはカップルが多いなど、さまざまな来店動機に対応するお店であることが同店魅力の1つだ。
　まさに、飯田橋という場所に必要とされていたお店だったということであろう。

　同店の特長となっているのが、野菜の美味しさだ。5年のフランス滞在を経て、感じたことは、「料理は素材です」と氏は話す。
「日本に戻ってきて痛感したのですが、特に野菜の品質がフランスは非常に良かったということです。日本では、同様の質を求めた場合、新しくルートを開拓することろから始めなければなりませんでした」。独自のルートを構築したが、それで安心はせずに今でも年に1回は仕入先の農家に行き、商品と生産者をその目で確認することを怠らない。
　「突然、『こういうものを作ったんだけど』と、新しい野菜を見せられて驚かせれますよ」と、氏は笑うが、近年の有機野菜のブームなどにより、手を広げようとして逆に質が低下してしまう農家があるそうだ。そのために、直接生産者とコミュニケーションをとり、どのような考え方で生産に望んでいるかを確かめなければならない。

　ワインにも同じ思いを持っている。1万本のワインを所有するというフランス人シェフに師事した宗像氏は、よくセラー巡りのお供をした。その中で、氏が美味しいと思うワインの出所を辿って、出会ったのがビオワインだったと言う。
　現在同店には、500〜600本のワインを所蔵するがその多くはビオワイン。最近では雑誌でも多く取り上げられるようになったビオワインは、同店でも人気があると話す。価格帯は、5000円以下とリーズナブルな品揃えで「お客様の負担にならない」ように、ソムリエと共に気を配っている。
　ランチは1000円から、ディナーは2900円からコースを用意している。前述のように有機野菜をふんだんに使用した温野菜（950円）を中心に、天然魚、オーガニックミートを使った料理も人気だ。アラカルトも840円からなど、ワインと共に楽しんでもリーズナブルな価格で提供する。
客単価は5000円、月商は250万で推移している。売上も前年対比でアップしており、順調に認知されてきていると言って良いようだ。

　「料理の味を一番に大切にしたいので、2号店のようなものは考えていません。しかし、フランスではお菓子も作っていましたので、将来的にはお菓子の店も出したいと思っています。」と宗像氏は語ってくれた。美味しい料理と美味しいワインで地元に愛される店作り、そんな信念が言葉の端々に感じることができる宗像氏と「メリメロ」の活躍に期待したい。