名古屋味噌と唐辛子をベースにした甘辛い「赤から鍋」専門の店として、昨年4月24日に渋谷にオープンした「赤から鍋とセセリ焼き　赤から」は、渋谷に集まる若者を中心に人気の店である。

　明るい店内は、壁一面に鬼が「赤から鍋」を作って食べているユーモラスなイラストがあり、また昔ながらのブリキの看板には人気のメニューのイラストが描かれ、店内各所に置かれた赤唐辛子の束は、辛さを想像させるに十分である。

　同店は20代を中心に10代から30代が多く男女比率は4:6で若干女性が多い。毎週同じ曜日に必ず来店するお客様や、月に一度は必ず来店するお客様等、リピート客も多く、中でも来店客のクチコミ率は高い。76席ある店内に夜は毎晩40‾50組100人の来客があり、回転率は1.5回となっている。若者が多い渋谷を象徴するかのように、「ぐるなび」のクーポン券利用は1日約10組あり、そのうちのほとんどが携帯電話でのクーポン利用である。

　スタッフは、店長の高橋氏より、一人一人が個性を活かして接客し、自分自身の常連客を作れるよう教育をされており、渋谷の土地柄にあう明るく元気でフレンドリーな接客が、リピート客獲得に功をなしているようだ。

　「赤から鍋」は1人前950円で名古屋名物赤味噌と、赤唐辛子をブレンドしたスープに、8種類の減農薬野菜とホルモン・つくね・油あげが入った鍋で、辛さが10段階に分かれている。通常は「赤3番」が標準と考えられており、激辛の「赤10番」を完食出来ると、店内に写真を飾られる。
　 このようなサービスも人気の一つである。辛いといっても、ただ単に辛いのではなく、甘辛い味はリピート客を掴んで放さない絶妙な味である。

　もうひとつ忘れてはならないの人気メニューが、「セセリ焼き」である。同店は鍋が前面には出ているが、居酒屋のように焼き物や、サラダを食べ、最後に鍋を食べて頂くというスタイルをとる。
「鶏セセリ」（390円）は、「赤から鍋」に続く人気メニューで、甘辛いもみダレがからんだ鶏セセリは、ジューシーで香りも高く食欲をそそる。テーブルにある「黒こしょう」をかけるとますますピリッとした味が引き立つ。また今の季節はあわせて「赤きゅう」（180円）、「白きゅう」（240円）が人気である。
　 「赤きゅう」はきゅうりスティックに、「赤1番」の味噌をつけて食べる。「白きゅう」はきゅうりスライスをゴマ油と塩ダレで混ぜており、さっぱりと食べられる。

　株式会社甲羅（愛知県）が経営母体である同店は、2003年8月に名古屋市に第1号店を開業して以来、愛知県を中心に全国展開を始め、現在東京都下には渋谷店の他、六本木店と西麻布店がある。
　 東京都内の3店はすべて直営店。直営ではあるが、仕入れやサイドメニューに関しては、店舗独自のカラーを出すことが許されており、名古屋の本部からの仕入れでは、運賃が高くつくため、各店で仕入れることになったと、店長の高橋氏は語る。
　 また店のブランドである「赤から鍋」や「鶏セセリ」等はもちろん本部の指示に従うが、その他のメニューに関して店舗に管理が任されているのは、やりがいにもつながると続ける。
　 渋谷店では、お客様から問い合わせがあったドリンクはスタッフ全員で意見を出しあい、メニューに取り込むようにしている。例えばチューハイは、六本木店と比べ1.5倍は取り揃えおり、お客様のニーズを逃さないようにしている。
　 また名古屋名物の「手羽先の唐揚げ」（5本　380円）や「一口味噌カツ」（4個　420円）も、名古屋では当たり前すぎて売れないメニューであるが、渋谷店においては、名古屋名物をうたっている店だけあって、人気がある一品だ。

　「赤から」は甲羅が、グループ内の株式会社グッドブレーンに委託して、加盟店開発を行っており、今後ますますの全国展開が期待される。
　スタッフを昼夜延べ13人も要する渋谷店は、各スタッフの個性あるサービスでリピート客を掴み、2年目の夏に挑む。

昔ながらのブリキの看板に描かれた絵は、
ノスタルジックな雰囲気を演出する。

店内奥に配置された鏡が、店内を広く感じさせる。

「赤から鍋」（1人前950円）
写真は「赤3番」で標準の辛さ。
唐辛子の赤さが食欲を誘う。