株式会社アクシス・ゼロの運営する「寄道庭園」は、30代‾40代のお洒落な空間や飲食店に慣れ親しんだビジネスマン達に、ほっと一息出来る空間の提供というコンセプトで、2005年5月6日赤坂にオープン。同社は空間や庭を活かした「CUBE　HAKONIWA」（赤坂）や「CUBE ’旅籠’ HATAGO」（六本木）の企画、プロデュースを手がけている株式会社キューブのグループ会社であり、特にFC展開を視野に入れた飲食店の運営部門を担う。

　「寄道庭園」は110坪の敷地に7店それぞれ業態の違う店舗が集まっているピットインダイニング（個店複合商業施設）である。店舗入り口右手にある「スペインバル　ビエンベニード」を除く6店舗は、すべて入り口で渡される番号札で会計まで管理される仕組みとなっている。
　路地裏をイメージした店内では、入り口から通路を通って中に足を進めなければ、全景は見渡せないデザインで期待感をあおる。入店してすぐ右手の「串カウンター　葉富葉富」はオーソドックスな食材を1本120円〜というリーズナブルな値段で提供する串揚げ店。

　その左手には「立ち呑み　辛口堂」。
　 約30種類の全国各地の日本酒を揃える日本酒専門店である。日本酒は郷土料理と嗜むとより一層美味しく頂けるという趣旨のもと、地方から食材の「お取り寄せ」を行っており、カウンター上のケースに盛られた食材を酒肴として楽しむことも出来る。こちらの客層は年配のビジネスマンが中心ではあるが、時折若い女性が軽く一杯飲む姿も見られる。

　すぐ左奥には、新鮮なネタを一貫50円から提供している「鮨山王」。同社は他に和食をはじめとした様々な飲食店を運営しており、それらの店と共同に仕入れを行うため、良い品質の物を安価に提供でき、「立ち食い寿司」感覚で軽くつまんで利用するお客様が多い。　

　入り口からこれら3店舗を通過した時点で、6店舗の共同スペースが現れ、木々に囲まれる広い空間に、ほっと一息がつける。ここでようやくすべての店舗が見渡せる。「寄道庭園」においては、どの店の料理をどの店で食べても良いのだが、この共同スペースは6店舗のちょうど中心に位置し、様々な料理を少しずつ頂くには利用しやすい。
　共同スペースを越え右手には「大衆鉄板　狸」。自慢の「たぬき焼」（400円）は、粒の大きさと味の異なる揚げ玉を敷いた上で、お好み焼きを焼くスタイルをとっており、揚げ玉のサクサク感と、お好み焼きのふわふわ感が同時に味わえるオリジナルメニューである。　

　その左にあるのが「皮焼　酉き」。
　 ここでは限定20食の「とりかわ」（150円）が人気。通常皮焼はぶつぶつと小さく切ったものを串に刺しているものが多いが、こちらの皮焼は、鶏の皮をくるくると巻いて串に刺しており、新たな食感が楽しめる。小さく切られた皮焼では、味わいが物足りなく残念に感じられた点から開発されたメニューで人気がある。

　 そして最も奥にはテーブル席も用意する「味噌ホルモン専門店　だるま」がある。煮込みホルモンの味付けには「赤だるま」というコチュジャンベースの赤味噌と「白だるま」という白味噌で甘めの味付けのものを用意し、ホルモンはすべて直送の十勝牛を使用しており、BSE問題などで肉の安全性が問われる昨今において、安心出来る食材で提供している。
　それぞれ7店はこの「寄道庭園」の為に、初めて企画された業態であり、今後ここから個店として出店し、FC展開を進めて行く計画になっている。

　来店客は、30代を中心に年齢層は幅広く、デザイナーズレストランなどでスタイリッシュな空間に慣れているお客様でも満足出来るような、店舗デザインであり、癒しの空間として、昼夜問わず近隣のビジネスマンに人気となっている。

　 ランチは「1コインランチ　500円」から800円までの価格帯で、各店舗が2品ずつ用意しているのも人気の秘密であろう。
　また「寄道庭園」には入り口右手に独立した店舗として「スペインバル　ビエンベニード」がある。スペインバルは現在恵比寿や銀座にも出店が相次ぎ、現在注目される業態の一つである。ここでは3種類のシェリー酒を揃えており、人気がある。また店内奥にはプロジェクターを配し、ワールドカップ等のスポーツイベントなどに対応している。

　異なる業態の店舗が集合しているにも関わらず、お客様が多様な選択が出来るよう、デザインは統一させている。そして、緑を配することで、癒しも感じられる空間に仕上がっており、新しいタイプのフードコートとして今後注目したい施設展開である。

個性ある7店舗の料理は、
リーズナブルな価格で少量ずつ楽しめる。

「味噌ホルモン専門店　だるま」は
ソファー席も用意しており、
グループでゆっくりくつろげる。

スペインを思わせる明るい店舗では、
タパスやシェリー酒を楽しむことが出来る。