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次に流行るお店

「サービスの神様」新川義弘氏、初のプロデュース店
「カフェ・リゴレット」(東京・吉祥寺/スパニッシュイタリアン)

第136回 2006年5月12日

エントランス
「サービスの神様」と異名を取る、グローバルダイニングのナンバー2であった新川義弘氏は、昨年8月にリンク・ワン常務に転じたが、翌9月にはリンク・ワン系列でレストラン運営会社ヒュージを立ち上げ、ヒュージの社長にもなっている。

 そのヒュージによる初の新川氏プロデュースの直営店が、スパニッシュイタリアンの店、「カフェ・リゴレット」である。オープンは、去る4月1日。
 立地はJRと京王井の頭線の吉祥寺駅から、徒歩7分ほどかかるが、“東急裏”と呼ばれるダイニングのメッカの北端のほうにある、路面店だ。150席弱ある大箱で、1階と2階の2層になっている。ちなみに1階は元は「チャールストン・カフェ」というかなり知られた店だった。2階は元はバーだったそうだが、たまたま同時期に空いていたので、ヒュージの求めていた条件に合致したという。


スペインバール風カウンター

吉祥寺は若者向けの調査などで、「住んでみたい街1位」にしばしばランクされる人気の街であるが、同社としては吉祥寺に、特にこだわったのではないのだそうだ。「カフェ・リゴレット」の構造は複雑であり、まず1階のエントランス・ゾーンには、立ち呑みのスペインバール風バーコーナーとテラス席がある。一見それだけの狭い店に見えるが、中央の小さな観音開きの半扉を潜ると、奥は2層吹き抜けのダイニングになっている。

半扉を抜けて、真正面に視界へと入ってくるのは、オープンキッチンだ。キッチンを囲んでカウンターがあり、コックたちが調理をしている光景を、間近に見ながら食事が楽しめる。これだけコックたちとの距離が近いレストランも珍しく、サプライズである。
 オープンキッチンの手前には、ゆったりとシガーが吸えるラウンジとなっている。これは、食事を終えた顧客が席を移動して、さらにお酒を飲みながらゆっくりしてもらうスペースだという。入場者から見てラウンジの右手には、柱を兼ねた2本のワインセラーがそびえている。

オープンキッチンとカウンター席

薪釜

さらに奥は、職人が1つずつていねいにはめ込んだタイルの模様が印象的な、広いダイニング・ゾーンがある。
 また、階段を上がった2階にはカウンターと、階段脇に設置された洋書のグルメ本の書棚や、吹き抜けの天井に飾られたシャンデリアが楽しめるモダンなダイニングがあり、奥にもパーティースペースにもなる広いダイニングがつくられている。そして、2つのダイニングをつなぐ狭い回廊に、主にカップル需要を考えた半個室があるといった具合だ。
 内装を手掛けたのは、元グローバルダイニング企画部員で「レガート」などで実績を積んできたデザイナー、佐野岳氏だ。


1Fダイニング席


ラウンジ席


椅子、テーブルは新川氏がこだわった特注物で、椅子は座り心地、テーブルは手づくりの感覚を重視。居心地のよさが、追求されている。
 料理は、バーコーナーとテラス席では、オール500円で十数種のタパスと多彩なドリンクが提供される。スタンディングで2、3品のタパスを頼み、お酒を1杯軽く引っかけていくといった使い方も歓迎だ。コーヒーも、光サイフォンとイタリア製のエスプレッソマシンでいれており、本格的である。



ゴルゴンゾーラの蜂蜜添え(1400円)


タパス各種(500円)


豚ソーセージとちりめんキャベツ(950円)


ダイニングでは、店内のパスタマシンで手づくりする、リングイネとパッパルデンネという2種類のパスタがメイン。市販の麺だが、スパゲッティーニもメニューにはある。
 また、ピザも店内の釜で薪を使って焼いており、ウリになっている。
 ワインは、1本2,500円でさまざまな種類をそろえており、タパスやパスタ、ピザとともに味わってもらう趣向となっている。


ランチは、パスタ7種、ピザ2種、サラダがそれぞれメインとなるセットがあって、1,000円前後と、内装の豪華さに比べれば安い。夜も4,000円もあれば、満足できる価格帯であり、全般的にリーズナブルな設定の店である。
 パスタの粉では、イタリアから輸入したデュアル・セモリナ粉を使うなど、素材にこだわり、装飾過多にならずシンプルに素材の良さを生かした調理法を貫いている。

顧客は、昼は30歳前後の近隣の女性が多く、夜は男性のほうがやや多く、年齢層は幅広くて、1人で来る人から団体まで、さまざまなパターンがあるという。
 目標は月商1,500万円であるが、ほぼクリアーできそうなペースで、順調にスタートしているそうだ。
「20代後半から40代のレストランでの遊び方を知っている人が、デイリーに使っていただける店にしていきたい」と語る藤田悟店長は、以前に「権八」お台場店の店長を務めていた。      
 想定されるさまざまなシーンに対して、臨機応変に対応できる、フレンドリーなサービスを目指すそうで、この複雑な空間を店員たちがどう切り盛りしていくのか。新川流接客のカジュアル版の展開が楽しみな店である。
【カフェ・リゴレット】
住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-14-25 吉祥寺第二マーブルビル1・2F
電話番号 0422-28-7676
営業時間 ランチ11:30〜15:00
ディナー11:30〜28:00
定休日 年中無休
客席数 約150席
客単価 3500〜3800円
目標月商 1500万円
経営母体 株式会社ヒュージ
Web Site http://www.huge.co.jp/rigoletto
長浜淳之介 2006年4月18日取材

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