次に流行るお店
女性をターゲットにした韓国家庭料理レストラン
「CHEFA」(東京・有楽町/韓国料理)
豪華コース(3000円)
コンセプトは女性をターゲットにした韓国美食で、韓国のヘルシーな家庭料理のレストランである。
日本人が考える韓国料理は、牛肉の焼肉とキムチ、ビビンパといったところであるが、韓国でよく食されている肉は、牛肉よりむしろ、豚肉である。魚も煮魚などにして、よく食卓に上っている。また、ビビンパも日本で提供されるものは、具材がせいぜい5〜6種類にとどまるが、韓国では10種類以上入るのが当たり前だ。
キムチはともかく、日本人の考える韓国料理は、どちらかと言えば、スタミナは付くが、高カロリーで素材も限られている印象がある。
しかし、実際の韓国料理は医食同源の考え方が浸透しており、国民一人あたりの野菜の消費量が、世界一多いのだという。最近の韓国には“ウェルビーイング”というロハスに似た概念があり、「CHEFA」ではそれを取り入れている。
月川晋秀店長
「トラジには在日や韓国出身のスタッフが多く、本当の韓国料理の味を知っています。店づくりのために、実際に韓国へ行ってレストランを食べ歩き、ウェルビーイングに基づいたメニューを考えました。本来の韓国の食文化を日本に伝えられたら、うれしいです」と語る、トラジ経営企画室広報の大滝徹也氏の言葉からも、コンセプトを丹念に練り上げた、なかなかの労作の店であることがうかがえる。企画の概要が決まって実際に出店するまでに、半年の準備期間を掛けている。
女性をターゲットとしたのは、トラジの各店が、焼肉屋としては女性の来客が多く、美容と健康の観点から、もっと野菜を取りたいと願っている女性も多いとの感触を得ていたからでもある。
実際、「CHEFA」の女性の比率は8割と多く、2割の男性客もほとんどがカップル
としての来店だという。年齢層も20代から30代のOLが中心と若い。狙い通りのターゲットの集客に成功しているのは、カフェダイニング風のおしゃれな内装の良さもある。
外観
内観
個室
デザインは、スワンズアイディーの小山トシオ氏が担当した。内装はダイニング、カウンター、個室に分けられ、用途によって使い分けられる。
サンパブ(豚肉セット2〜3人前3000円)
メニューでメインとなるのは、「サムパブ(包飯)」(2〜3人前、3000円)だ。
これは高麗の時代からある宮廷料理を受け継ぐ食べ方で、サンチュなどの葉野菜に、ご飯と、豚肉または煮魚を一緒に巻いて食べる。その時に、サムジャンと呼ばれる、コチジャンをベースにした辛い味噌を薬味にすると、とてもおいしい。豚肉は炭板で焼いており、遠赤外線効果で風味豊かに焼き上がる。しかも炭板に傾斜がついているので、余計な脂肪分が落ちていく効果もある。野菜は約20種類からお好みのものをチョイスできる。韓国で普及している「サムパブ」をきちんと紹介するのが、同店の目的の1つである。
ご飯もの、スープ、麺類にも、それぞれ特徴のあるメニューがそろっている。
全州ビビンパ(1400円)
ご飯ものでは、牛テールのスープで煮込んだご飯の上に、最低12種類以上の具材が乗った「全州ビビンパ」(1400円)は、本場・全州の味を再現し、かつての宮廷料理で韓国3大料理の1つでもあるビビンパを、真鍮の器で提供する華のある逸品である。
スープものでは韓国3大健康スープの1つである、「どじょう汁」(1200円)を提供する。ちなみに3大健康スープのあとの2つは、ユッケジャンとサムゲタンで、こちらは日本でもおなじみの料理だ。韓国では一般的な「どじょう汁」を、日本ではなかなか食べる機会はないが、臭みを除去し、骨も砕いて、日本人が食べやすいようにアレンジしている。「どじょう汁」はタンパク質、ビタミン、カルシウムなどが豊富で、冷え性などに効果がある健康食である。
ジョン(300円〜) 串焼き(500円〜)
ユチョンくず冷麺(1200円)
めん類では、滋養に富み漢方の処方にもある、くずのでんぷんを練り込んだ「くず冷麺」(1200円)が楽しめる。
サムパブを中心に前菜、サラダ、デザートなどがセットになった、3000円のお得なコースもある。コースでは、ご飯もの、スープ、麺類の推奨メニューより1品を選べる。
ドリンクは、14種類をそろえたマッコリがメイン。マッコリは米を原料に乳酸菌で発行させたお酒で、アルコール度数は6〜8度と低めだ。ヘルシーで気軽なお酒である。
マッコリ各種(480円〜)
高麗時代からの製法を守り、加熱殺菌をせず、一切添加物も使わない「トラジオリジナルマッコリ」(700円)のほか、「黒豆マッコリ」、「あわがらマッコリ」、「おこげマッコリ」(いずれも480円)といった特徴あるものにも人気が出ている。
アルコールの苦手な人には、「生姜茶」、「柚子茶」、「カリン茶」、「ミスカル茶」
(いずれも600円)といった韓国のお茶が楽しめる。「ミスカル茶」は牛乳ときな粉でつくった韓国ではよく飲まれているお茶だ。
派手な宣伝はしていないが、女性誌に取り上げられるなどで、集客は順調であり、リピーターが多い。特に金曜は予約で埋まっている状況だという。一方で、3時間から3時間半と長く居すわるグループが多く、回転率はいいとは言えないが、トラジとしては顧客に長く愛される店を目指していく方針。
韓国料理のイメージを一新し、韓国文化の奥深さの一端に触れる、一見の価値がある店だと言えよう。ちなみに店名の韓国語“CHEFA”は、漢字で“菜花”と書く。
住所 | 東京都千代田区有楽町2−3−2 新白石ビル4F |
電話番号 | 03−3569−6000 |
営業時間 | 17:00〜24:00(L.O.23:10) |
定休日 | 年中無休 |
客席数 | 36席 |
客単価 | 3500円〜4000円 |
目標月商 | 1000万円 |
経営母体 | 400万円 |
Web Site | http://www.ebisu-toraji.com/ |