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次に流行るお店

究極のレストランを目指す、新川義弘氏渾身のプロデュース店
「DAZZLE(ダズル)」(東京・銀座/コンテンポラリー・キュイジーヌ)

第143回 2006年7月14日

左が日本最大級のワインセラー
グローバルダイニングのナンバー2だった新川義弘氏が独立後、2店目のプロデュース店である。オープンは今年4月29日。

 経営は新川氏が社長を務めるヒュージ。

 新築された真珠・宝石のミキモトが建てた「ミキモト ギンザ2」のビルの8、9階が「DAZZLE」となっているわけだが、この店に入るにはエレベーターに乗らなければならない。8階に着いてドアが開いた瞬間、そこはオープンキッチン。シェフをはじめキッチンのスタッフが忙しく働く光景が目に入る。


オープンキッチン

 そして、顧客はどんな料理が提供されるのか、胸を高鳴らせつつ、9階にあるダイニングに通される。8階から9階に上がるには、専用のエレベータを使う。

 9階は打って変わって、ホテルのレストランのような広々とした空間が広がる。天井は8メートルと高く、しかも大成建設が技術の粋を結集したという、大型の商業ビルとしては初の柱が中に1本もない工法でつくられているので、解放感がある。

 白い椅子に、濃いめの赤のテーブルクロスを合わせたインテリアの色調も、ファインダイニングの趣がある。照明はシャンデリアを吊らず、天井からスワロフスキーのクリスタルを使った照明を、160本吊り下げている。夜もふけてくると、幻想的な雰囲気が醸し出される。


ダイニング

「ワインタワー」と呼ばれる、天井まで達する日本最大級のワインセラーは、船の舳先のような形で、ダイニングにせり出しており、迫力がある。2000本以上のワインを収納しているが、その最上部には、1本100万円を超える、超高級「ロマネコンティ」もある。ソムリエやワインの知識を持ったマネージャークラスのスタッフも常駐しており、ワインで遊ぶ店でもある。味、好み、シチュエーションで、ワインを選んでくれる。

 ワイン1本の提供価格は、銀座界隈の高級店に比べれば2割ほど安く、リーズナブルには設定されている。

 料理はフレンチ、イタリアンをベースに、和やアジアの要素なども取り入れたコンテンポンラリー・キュイジーヌを提案している。

 たとえば、パスタは3種類、肉料理は5種類、魚料理は4種類提供されるが、これらは1皿1300円〜5600円の間で、思ったほどには高くない。

 パスタなら「函館産毛蟹の冷製フェディリーニ オーストラリア産カラスミとフェンネルの香り」(2200円)、イベリコ豚ほほ肉“アマトリチアーナ” ペコリーノロマーナと味わい深いトマト・ソースと共に」(1350円)、「小田原産桜エビ 大アサリつぶ貝の“ペスカトーレ・ビアンコ” 香ばしいたっぷりの桜エビと大アサリつぶした緑トマトの白ワイン・ソース」(1700円)といったメニューが提供されるが、素材を選んで、冷製フェディリーニ、アマトリチアーナ、ペスカトーレ・ビアンコといった伝統ある料理を、この店流に、現代的にアレンジしていることが伝わってくる。

 コンテンポンラリー・キュイジーヌについては、新川氏とシェフで、ニューヨークの店を食べ歩くなどしてイメージを固めたもので、「DAZZLE」でなければ味わえないような価値観を提供しようという、意気込みが伝わってくる。東京で手に入るさまざまな食材の良さを生かして、シンプルで大胆、現代的な感性のタッチで、毎日食べても飽きないような料理を目標としている。

 8階には食前、食後に使ってもらうのが目的のバー、ラウンジがある。バーは立ち飲み感覚の高いテーブルと、脚の高い位置にソファーがあるようなシートが設置されている。

 カウンターの中のバーテンダーの背後、ちょうど頭の位置あたりに冷凍庫が置かれ、カクテルでよく使うウォッカをはじめ、各種ホワイトリカーが冷やされている。冷凍庫は足もとに置かれることが多いが、あえて冷凍庫を見せることで、ウォッカ・バーのような趣向になっている。

「今までの銀座のレストランは、独特の雰囲気があって日本在住の外国人が、あまり来なかったのです。われわれは、西麻布や六本木、青山のレストランのように、外国人がいらっしゃるような店にしたいんです。1日平均3、4組には来ていただいていますし、少しずつ知られてきたのかなあと感じています」と、ヒュージ取締役企画開発マネージャーの神山満氏は手応えを語る。

 顧客の入りも「オープンした当時は余裕がありましたが、5月25日頃から、早い時間か、遅い時間を除いては予約をしないと入れない状況です」(神山氏)とのことだから、上々のスタートのようだ。

“サービスの神様”の異名を持つ新川氏のこと、従業員教育にはぬかりがないだろうが、新人も多く、これからのレベルアップが楽しみだ。究極の目標は「洞察力を磨いて、お客さんの懐に入り込むサービス」(神山氏)であり、その具現化する場所が「DAZZLE」なのである。

 銀座、ひいては日本の飲食シーンを変えることができるか。その進化、熟成を見守りたい店である。 
【DAZZLE(ダズル)】
住所 東京都中央区銀座2−4−12MIKIMOTO Ginza2 8・9F
電話番号 03−5159−0991
営業時間 17:00〜25:00(22:30L.O)
定休日 年中無休
客席数 110席
客単価 約1万2000円
目標月商 2500万円
経営母体 株式会社ヒュージ
長浜淳之介 2006年5月26日取材

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