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本格的な手作り餃子とチャイナドレスの接客で癒す店
「一口餃子 クーニャン」(東京・新橋/餃子専門店)

第148回 2006年8月25日

クーニャンシスターズ
「一口餃子 クーニャン」は、2004年にオープンした、かわいいチャイナドレスを着たウェイトレスが接客する、餃子専門店。おいしい餃子とかわいらしい女の子で、仕事で疲れたサラリーマンを癒すことをコンセプトとしている。ちなみに“クーニャン”とは、中国語で“娘さん”を意味する。


外観

 餃子は、焼き餃子5種類、水餃子3種類、揚げ餃子6種類と、合わせて14種類ものバリエーションがあり、小ぶりのサイズなので、ビール片手に何皿でもいけるような感がある。焼き餃子は皮がパリッとしていて中の具はジューシー、水餃子は小籠包のようなもちもちの皮とあふれる肉汁が食欲をそそり、揚げ餃子はカリっとした食感が心地よい。値段も1皿、330円〜480円と手頃だ。


名物ショーロン水餃子(450円)


定番焼き餃子(330円)としそ餃子(370円)

 実際、幾つかの種類の餃子を、何枚か注文する顧客が多い。

 薬味には、醤油、酢、ラー油のほか、柚子胡椒、黒酢、レモン汁が用意してあり、お好みの味を楽しめる。

 女性の餃子職人が店内で、一個一個手作りしているが、餃子職人は中国東北部の吉林省をルーツとする中国系の3世で、家庭で守ってきた本場の餃子の味を、店で提供している。素材は、具には厳選した国産豚肉と、朝一番に築地に届く新鮮な野菜を使用。皮は厳選した小麦粉のみを使用して作っている。

 また、四川風坦々麺(750円)は、餃子と並ぶ人気メニューで、締めに注文する人が多い。夏場の季節メニューとして、冷し坦々麺(880円)もよく出ている。餃子のメニューの1つに、坦々麺のスープを使った、特製坦々スープ餃子(480円)もあり、同店ならではの味である。


四川風坦々麺(750円)

 ドリンクは、ビール、酎ハイ、中国酒、紹興酒、地焼酎、梅酒、ワイン、各種ソフトドリンクをそろえている。
 内装は、“レトロ上海”をイメージし、モダンかつ懐かしい感じでまとめている。

 接客には、家に帰ってきたような、アットホームな雰囲気作りを心掛けており、2人〜5人の少人数のグループでの来店が多いが、1人で来た顧客に対しても、フレンドリーに声を掛けて、決して飽きさせない。顧客は、近隣の新橋、汐留、虎ノ門、浜松町、田町あたりに勤める、25歳から40代半ばくらいまでのサラリーマンを中心に集客する。


カウンター席


テーブル席

 2時間の時間制となっており、店内でチャイナドレスのウェイトレスを撮影することは禁止している。

 平均すれば1日につき40人ほどが来店するが、金曜日は100人を超える盛況だという。また、土曜は普段は背広を着ている常連が、ラフな格好で来たりする。会社が休みの日にも、立ち寄りたくなるほど、愛されているということなのだろう。

 販売促進にはインターネットを活用し、会員制のコミュニティサービスサイト、「ミクシィ」でコミュニティを形成。現在約450人のメンバーがいるが、今も増え続けている。サイト上で、スタッフのシフト、花見・屋形船・オフ会などのイベント告知、お勧めメニュー紹介などを行っているだけでなく、スタッフと顧客、あるいは顧客同士の活発な双方向のコミュニケーションが行われている。

 女性の顧客で、チャイナドレスが着たいという人には、無料で着用できるサービスもある。ロング、ヒザ丈、ミニ、ノースリーブとさまざまな種類がそろっているので、それを楽しみに来店するOLもいるそうだ。

 オーナーの浦田ミカさんは、美大を卒業した後、バックパッカーを経て、ツアーコンダクター、デザイン会社勤務、派遣OLと仕事を点々としていたが、31歳となった2002年の春に一念発起。3年後の飲食店経営で独立を目標に、調理師学校に入学し、翌年外食企業に転職。朝8時から終電前まで懸命に働いたことが認められて、わずか1カ月足らずで、西麻布のダイニングバーの店長に抜擢された。

 その店で過去最高の売り上げを記録した後、銀座の餃子屋の店長に異動。それまでにない、カジュアルな接客スタイルが好評で、現在の「クーニャン」の土台となる店であった。しかし、入社1年となった頃、寝食も忘れるほど無我夢中で働いたにもかかわらず、会社の方針で業態変更となり、スタッフの大半も解雇されるという中で、ピンチはチャンスなのだと思い直し、当初の計画どおり、主要なスタッフとともに起業した。起業時のメンバーが女性ばかりであったことから、チャイナ服や癒しのコンセプトを思い付いた。

 8月には、店の女性スタッフ6人で「クーニャン シスターズ」という歌のユニットを結成し、DVD「イッツ・ア・ビューティフルデイ」を発売する。店の常連に音楽関係者がいたことから実現した企画だが、このような飲食店店員をアイドル化したものに、秋葉原を中心にブレイクしているメイド喫茶もある。

 飲食とエンタテインメントを融合させる、新しい流れの飲食の一角を担っていく店だと言えるだろう。
【一口餃子 クーニャン】
住所 東京都港区新橋2−15−3 三沢ビル1階
電話番号 03−3597−1192
営業時間 月曜〜金曜 18:00〜24:00(L.O./23:00)
土曜      17:00〜23:00(L.O./22:00)
定休日 日曜・祝日
客席数 37席(カウンター13席、テーブル24席
客単価 3000円
Web Site http://www.kunyan.com/
長浜淳之介 2006年7月25日取材

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