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次に流行るお店

食材と調理にこだわった、てっぺんからの独立第1号店
「なかめのてっぺん」
(東京・中目黒/炉端焼き)

第164回 2007年2月2日

「なかめのてっぺん」看板
 東急東横線と東京メトロ日比谷線の中目黒駅にほど近いビルの1階にある「なかめのてっぺん」は、「居酒屋甲子園」を主催するNPO法人居酒屋甲子園理事長でもある大嶋啓介氏率いる、てっぺんからの独立第1号店となる炉端焼き居酒屋。開店は昨年の9月9日。

 オーナーである内山正宏代表は、独立前は“独立道場”をうたう、てっぺんの副社長を務め、2004年1月に開店した自由が丘のてっぺん1号店を成功に導き、現在4店を展開する同社の基礎を築いた人物。飲食店で独立開業する者を輩出するという、大嶋社長の理念を実現するために、まずは副社長の内山氏が独立した。

 内山氏と大嶋氏の出会いは、2001年にさかのぼる。当時、大嶋氏はかぶらやグループの東京進出1号店「飯場 銀座店」の店長として、今のてっぺんにつながるモチベーションを上げる朝礼と徹底したサービスで、注目を集めていた。一方の内山氏はすぐ近くのダイニングバーで料理長として働いており、お互いに店をよく行き来するようになって、いつしか意気投合し、一緒に飲みに行く仲になった。

 ちょうど、大嶋氏の専門がホールを中心としているのに対して、内山氏は料理が専門と、得意分野も異なっており、大嶋氏が独立する際に、パートナーとして立ち上げに参加したとのことだ。


内山氏の自己啓発の師匠、さいとうひとりさんの言葉

 内山氏は独立に際して、「なかめのてっぺん」では、てっぺんの基本である3つの朝礼、すなわち営業終了時に1日を振り返ってディスカッションを行う終礼、翌日昼過ぎの出勤時に前日の反省と伝達事項を伝える朝礼、営業開始前の夕刻にモチベーションを上げる朝礼を踏襲しつつ、料理の面に力を入れて、“料理にこだわったてっぺん”を目指した。

「てっぺん」では営業開始前の朝礼を一般公開するために、1時間繰り上げた午後4時からの時間帯にそれを行っているが、「なかめのてっぺん」では朝礼は非公開にして、その1時間を料理の仕込みに使っている。

「出来合いのものを使わず、しっかりダシを取って、料理をつくっています。味噌は金沢の加賀味噌、醤油は生梅を漬け込んだ生梅醤油といったように、厳選して出しています」(内山氏)というように、味の探求に関してはなかなか本格派だ。

 内山氏は今年33歳になるが、若者向けの居酒屋の油っこいものは飽きてきた、かといって7000円、8000円を払って飲むほどの余裕もない自らの生活感を鑑みて、4000円程度で満足してもらえる、肩肘張らない等身大のグルメを目指したという。


炉端焼き各種


下仁田ねぎ


肉厚の自家製ベーコン


パティシエが作るプリンとケーキ

 炉端焼きだけに食材の良さが命だが、魚の干物は北海道と金沢が中心。ホタテは築地ルートで生でも食せる新鮮なものを調達。ベーコンは自家製でつくるとのこと。

 野菜は季節によってさまざまな産地をものを仕入れるが、冬場なら、群馬県の下仁田ネギ、石川県の五郎島金時芋、福島県のどんこ椎茸などを、その食材に合った調理法で提供してくれる。

 ごはん物では、かっぱ巻きの上にタラバガニ、イクラ、ウニ、トロを豪快に乗せた「のっけ寿司」(1350円)があるほか、締めに最適な「山岡風夜食うどん」(530円)はお茶漬け感覚でサラッと食べられる細麺のうどんで、特徴のあるアイデアメニューである。

 また、ドリンクでは、日本酒で通の間で評価が高い、福井県若狭地方の銘酒「早瀬浦」を出すなど、お酒も各種、銘柄を選んで料理に合うものを置いているので、信頼できる。

 店舗デザインはスタジオムーンの金子誉樹氏によるもので、ビルの奥まったところにある小さなくぐり戸を開けると、正面に炉端のカウンターが開ける、印象的な演出である。席数はカウンターとテーブルで45席。椅子はお酒のケースに座布団を縛ったものを使用している。内装費は700万円に絞ったそうで、経費節減もかねて編み出された発想だ。


炉端のカウンター

 現在の売り上げは日商で20万円が平均で、顧客層は30代後半をコアに、男性6割、女性4割といったところ。口コミで徐々にリピーターが増えている。順調な滑り出しと言って良いだろう。

 ところで、内山氏は昨年より、京都市内に2店のプロデュース店「むげん」を持っており、東京と京都を往復する多忙な生活を送っている。先に8月にオープンした烏丸店は、鉄板焼居酒屋、11月にリニューアルオープンした寺町店はバラエティーに富んだ総合居酒屋である。

 さらに、今年5月には渋谷の桜丘町に新店をオープンする予定だ。

 その際には、個人経営から会社にして、組織も整える計画だそうで、さらなる活躍が期待される。

「なかめのてっぺん」は、料理、接客ともに安定感があり、流行に左右されるタイプの店ではない。仕入れルートを確立し、絶え間ない料理の追求を行っていけば、地域に長く愛される店になっていくだろう。


中央が内山氏


【なかめのてっぺん】
住所 東京都目黒区上目黒3-9-5 プラージュメグロ1F
電話番号 03-5724-4439
営業時間 18:00〜翌03:00(L.O.02:00)
定休日 無休
客席数 45席
客単価 4000円
経営母体 内山正宏
長浜淳之介 2007年1月23日取材

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