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次に流行るお店

立ち食い寿司を併設した築地仲買直営の魚専門居酒屋
「魚真 乃木坂店」
(東京・乃木坂/魚居酒屋)

第165回 2007年2月10日

「のっけ寿司」(1500円)
 魚をメインとする居酒屋「魚真」を展開するシンの8店目の直営店。オープン日は2006年10月2日で、東京メトロの乃木坂駅からは徒歩2分ほどの至近距離にある。

 これまでの「魚真」各店との違いは、肉類のメニューは一切なく、魚介類と野菜・穀物のメニューだけで構成したはじめての店であるということ。それだけに魚真の強みである魚介類の味覚を、思う存分味わうことができる、集大成的な意味合いを持った店だと言えるだろう。

 また、立ち食い寿司のコーナーが設けてあるのが特徴で、近所に勤めるサラリーマンが会社帰りにちょっと立ち寄って、一杯飲みながら寿司を頬張る姿が見られる。乃木坂あたりにはこのような感覚の店がなかったので、これはヒットである。

 店内は立ち食い寿司のコーナーと、カウンターと、奥のテーブル席の3つに分かれ、魚介類は直営の為に築地の仲買「鈴兼」から直送されてくる。魚の目利きに外れはなく、鮮度と味に関しては信頼が置ける。21の定番メニューのほかに、その倍近くとなる40前後の日替わりメニューがあり、その日の仕入れの状況によって、刺身、煮魚、焼魚、寿司などの季節の旬な魚料理が楽しめる。


日替刺身の盛り合せ


カウンター

 たとえば、人気定番メニューの「のっけ寿司」(1500円)は、おしんこやかっぱの細巻の上に、カニ、イクラ、ウニ、マグロのタタキをたっぷり、てんこ盛りに乗せた、ボリューム感のあるメニューで、食の細い人なら、これだけでもおなかが一杯になるほどだ。

 なお、立ち食い寿司のコーナーだけは、別メニューである。

 総じて割安感のある店だが、立ち食い寿司を気楽にさっとつまんで帰る、1人1000円程度の予算から、カニを豪華に食する1人1万円程度の予算まで、魚好きの人が懐具合と目的に応じて、オーダーできるようになっている。カウンターおよびテーブル席と、立ち食い寿司を日によって使い分ける人もいれば、まず立ち食い寿司で空腹をある程度満たしてから、奥でゆっくりお酒を飲む人もいる。コース料理や宴会プランは特に設けていないが、顧客にとって、自由度の高い店舗に仕上がっているのが、「魚真 乃木坂店」の魅力だろう。

 テーブル席は、元あったコカコーラのカフェの内装を、居抜きでほぼそのまま使っており、外国人の居住者、勤務者が多い乃木坂エリアだけに、席に座っていると、海外の魚市場の食堂で日本食を食べているような独特な感覚がある。オープンテラスもあり、気候に左右されないように雨避けや暖房も完備する工夫とアイディアが施されている。


内観


ファサード


立ち食い寿司のコーナー

 顧客層は30代〜50代の会社勤めの、2人〜4人という少人数のグループで来店する男女が中心で、男女比は6:4で男性のほうがやや多い。1日平均で130人ほどを集客しており、上々のスタートであろう。オープンから1カ月ほどは、飲食店、ビール会社など、業界関係者が連日押しかけて、満席になるような状況にあったが、現在は入れ替わるように、近隣のビジネスパーソンが集まるようになったという。

 休日の集客は現状、平日の半分程度であるが、口コミで徐々に顧客が広がっており、リーピーターもかなり目立つようになってきているそうだ。

 ところでこの物件は、居抜き店舗で格安で出店する飲食業者を支援する、上昇気流からの紹介によるもので、防衛庁跡に3月30日オープンする「東京ミッドタウン」など、六本木再開発による新顧客を増大を見込んだものではなかったそうだが、「東京ミッドタウン」から乃木坂駅までは歩いて6、7分の距離でしかない。

 特に狙ったわけではないにしても、乃木坂界隈の飲食店が活性化してくる、先陣を切った形になっており、エリア的にもさらに繁盛する要素が高いポテンシャルを持った店と言えよう。


店長


【魚真 乃木坂店】
住所 東京都港区赤坂9-6
電話番号 03-3405-0411
営業時間 17:00〜24:00(L.O.23:00)
定休日 無休(2月までは日曜日休み)
客席数 70席+立ち食い
客単価 3800円
経営母体 株式会社シン
長浜淳之介 2007年1月15日取材

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