次に流行るお店
和田アキ子さんと飲食ベンチャーがコラボ。創作豚しゃぶをメインに据えた居酒屋新業態
「お菜屋 わだ家」
(東京・西麻布/和食居酒屋)
第176回 2007年5月18日
和田アキ子ドアノブ
「お菜屋 わだ家」は、4月11日、「六本木ヒルズ」と西麻布交差点の中間地点の六本木通り沿いにオープンした、今年がデビュー40周年にあたる、人気歌手・和田アキ子さんの個人プロダクション、エー・アンド・ケイが経営する和食居酒屋である。
大物タレントが出店した店という話題性もあって、オープン以来予約が殺到しており、1カ月先まで夜10時までは満席という状況。日曜・祝日にいたっては、閉店の12時まで予約でびっしり、スケジュールが埋まっているほどの好調なスタートだ。
ファサードにある和田アキ子の足型
プロデューサーは大阪の未知インターナショナル社長である水本弥知秀氏で、店の運営は未知インターナショナルが行っている。
顧客層は、平日はOL、サラリーマン、芸能・マスコミ関係の業界人が多く、日曜・祝日はファミリー層が中心、土曜日はそれらが混在しているような状態で、全員が和田アキ子さんの店だと知って来店している。
1997年に大阪ミナミのアメリカン村で創業して以来、大阪を基盤に16店を運営する未知インターナショナルであるが、東京はこの店が初進出となる。水本社長が昨年1月にエー・アンド・ケイが制作する、関西ローカルのサンテレビのベンチャー番組「菅生新のサクセスファイター」に出演したのを機に、エー・アンド・ケイの飯塚浩司社長と知己を得たのが、企画の発端という。飯塚氏より、和田さんが飲食店を出店したい意向があることを水本氏は伝え聞き、両社で協議を重ねてオープンにこぎつけた。
料理自慢でしばしば料理の腕前をテレビ番組でも披露する和田さんの希望は、「我が家にお客さんを招待したような、気軽で暖かい、アットホームな店にしたい」とのこと。そのコンセプトと想いを、水本氏がプロデューサーとして形にした。料理はおふくろの味がイメージされており、店の全メニューを和田さんが試食して、和田さんが納得したメニューのみを提供している。
席数は34席で、顧客単価は約8000円となっている。
メインとなる料理は、「浪速流 豚のしゃぶしゃぶ」(2400円)で、三重県の「松阪豚」をはじめ、岩手県の「白金豚」、長野県の「雪豚」といったブランド豚を使用。お好みで、七味、黒胡椒、柚子胡椒、薬念醤(ヤンニョンジャンと読む、韓国味噌)、山椒と5種類の薬味で食する。
大阪では人気のある「かすうどん」がベースになった新作のしゃぶしゃぶで、牛のホルモンを細かく切って油で揚げた「油かす」が、関西風のダシ汁が入った鍋に浮いている。そして、締めにはうどんの玉を入れて、具材の豚肉や野菜の味がたっぷり染み込んだ汁で、「かすうどん」を楽しんでもらおうという趣向だ。
浪花流 豚のしゃぶしゃぶ
冷アッコ
新潟佐渡産越光
そのほか、全国から厳選して取り寄せた10種類の一夜干し、契約農家で生産した米をブレンドした銀シャリ、大阪・黒門市場の老舗「いせや」から取り寄せた漬物など、素材を重視した、シンプルな料理のラインナップとなっている。冷奴をもじった「こだわり冷アコ」、和田さんの手のひらのサイズでつくった「ご存知!わらじコロッケ」といった、芸能人の店らしいメニューも中にはある。
「浪花流 豚のしゃぶしゃぶ」をフィーチャーしたコースは5200円、7200円、8200円と3種類が用意されている。
ドリンクも、オーストラリアでつくっているオリジナルの赤ワイン、オリジナルの芋と麦の焼酎など、ユニークで産地を選んだ品ぞろえ。なお、オリジナルの赤ワインから、ワイン塩もつくっており、薬味として出される。
和田アキ子人形とオリジナルのワイン及び焼酎
地下のワインセラー
デザイナーは道下浩樹氏で、なんといっても扉の和田さんの手形から模造した実物大の手のノブや、エントランスのライトアップされた和田さんの実物大の足跡が印象的。店内は和のテイストの落ち着いた空間で、カウンター、ダイニング、個室とシーンがそろっている。
5月26日には、2号店として大阪キタのお初天神の近くに、大阪店もオープン。こちらは70席で客単価は約5000円と、西麻布の1号店の倍の広さで、値段はよりリーズナブルな店である。この大阪店をモデル店にして、全国展開を視野に入れている。2010年までに10店が当面の目標だ。
また、会社としては現状年間10店ほどを手がけているプロデュース事業を強化していく方針。水元氏によれば、2010年までの3年間で事業部確立を目指し、多彩な業態開発に対応でき、かつ業態開発した店に食材を的確に供給できる体制を整備していくという。
カウンター
個室
エントランス
【お菜屋 わだ家】
住所 | 東京都港区西麻布3-12-20 Dear西麻布B1F |
電話番号 | 03-5785-0410 |
営業時間 | 18:00〜翌5:00 日・祝 17:00〜24:00 |
定休日 | なし |
客席数 | 34席 |
目標月商 | 2000万円 |
客単価 | 8000円 |
経営母体 | 株式会社エー・アンド・ケイ |
長浜淳之介 2007年5月12日取材