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次に流行るお店

「人」という付加価値を提供する、新世代の郊外型レストラン
「ステーキハンバーグ&窯焼ピッツア ますもと 春日部店」
(埼玉・春日部市/レストラン)

第197回 2007年11月28日

サーロインステーキ(200g・2,000円〜)

 都心から電車を乗り継いでおよそ1時間。ベッドタウンとして知られる埼玉県春日部市に「ステーキハンバーグ&窯焼ピッツア ますもと 春日部店」がオープンした。「ますもと」は株式会社サンクスプラスが手がけるチェーン。春日部店は町田店に続く2店舗目になる。

 株式会社サンクスプラスは、グローバルダイニング出身の桝本幸典氏、「ステーキ&ハンバーグ いわたき」「ステーキ・ハンバーグ&サラダバー けん」を運営する株式会社エムグランドフードサービス代表取締役の井戸実氏、三軒茶屋「炭火串焼 凸でこ」「VOCO 凹」や「Pizza-Country」を展開する株式会社TOP VLAZZ代表取締役の附田国造氏が共同で立ち上げた新会社。桝本氏が社長を勤め、井戸氏、附田氏が取締役として脇を固める。

 それぞれが持つ飲食店経営、サービス提供のノウハウを融合、あるいは補完しあう形で、次世代の郊外型チェーンスタイルを模索する。


「ますもと」外看板


「ますもと」入口

「ますもと」はいわゆる郊外型のロードサイド店だが、その出店コンセプトは桝本社長のこだわりと思い入れがベースになっている。

「居抜き物件を調達できるネットワークを持っているというのが大きいですね。この春日部店もそう。内装済みの物件でしたから、初期投資コストを低く抑えることができました。それと、私の心情として『目的店』を手がけていきたいという思いがありまして、それが郊外型のスタイルをチョイスした大きな理由でもあるんです」

 目的店でありたいということは、通りすがりの人々に「ついでに」立ち寄ってもらうのではなく、明確に「あの店に行きたい」という意思を持った顧客層に訪れてもらうことを念頭に置くということ。桝本社長は、常に「選ばれる店」であることを最大の目標にしている。

「郊外店、特に町田や春日部などのエリアの店舗は、家族連れやカップルのお客様に、車を使ってお越しいただくことがほとんどです。他店さんとの差別化は必須ですね。料理の味や価格、メニューの豊富さをニーズに合わせるのは当たり前のこと。それ以上の付加価値をどのように確立するかがカギになります」


「ますもと」店内


「ますもと」店内

 桝本社長が重視する付加価値とは、「人」。「ますもと」では、店長以下、社員スタッフからアルバイトスタッフまでの人員同士がオープンなコミュニケーションをとり、接客マニュアルを偏重しない環境を貫く。

「スタッフの個性を尊重し、一生懸命サービスができる環境を提供したい。一生懸命さは必ずお客様に伝わると思います」

 回転率よりリピート率を重視する「ますもと」では、ファミリー客を想定し、レイアウトを固定しないテーブル席を用意するなど、居心地の良い空間作りを心がけている。ゆったりと使えるテーブル席は、子どもからお年寄りまで、思い思いのスタイルに対応できる。広い窓からの採光は抜群で、店内は常に明るく開放的だ。

 メニューは豊富で、多彩なサイドメニューはお得感満載の構成。さらにリーズナブルな価格設定が嬉しい。特に大人数の家族連れにはたまらない魅力となるだろう。

 トップサーロインステーキ160gは、サラダ、スープ、ライス、フルーツの食べ放題がついて1050円。11インチ、7種類用意されたピザにもサラダバー、スープ、デザートがつく。本格窯焼きピザの中でも人気なのはマルゲリータ(1150円)。国産牛肉100%ハンバーグ(1,500円)をはじめとした、肉汁たっぷりでジューシーなハンバーグは、店のスタッフが「ほかではなかなか見られない」と太鼓判を押す逸品だ。デミグラス、オニオンなど5種類のソースからチョイスできる上に、各種トッピングも用意。すべての組み合わせを試したくなる。


マルゲリータ(1,150円)


国産牛100%ハンバーグ(1,500円〜)


サラダバー

また、新鮮な野菜がふんだんに並ぶ、食べ放題のサラダバーは、オープン時から好評を博している。今後はピザのデリバリーもスタートさせるなど、あらゆるニーズに対する準備は怠りない。

「リーズナブルと言っても、薄利多売だけは絶対にするつもりはありません。設定した価格の中で最上級の料理をご提供していく所存です。まもなくピザのデリバリーもはじめますが、近隣に窯焼きピザの競合店があります。一筋縄ではいかないと思いますが、ご支持を得られるように努力を続けていくつもりです」

 飲食業界に新しい風を吹かせつつある桝本社長だが、実はゼネコン企業の出身。飲食の道に進むことを決意した経緯は「お客様にじかに触れ合いたかった。そして、お客様の笑顔を見たかった」から。願いがかなった現在の心境は「飲食業は天職だと思います」。

 桝本社長の思いに賛同し、現在の立場に最高のやりがいを感じていると語る石黒初典・春日部店店長は、「常に『愛』を持ってお客様に接していきたいと思います。細やかな気遣いの大切さを、今以上にスタッフに伝えることが自分の重要な仕事です」と意欲を見せる。

 08年には「ますもと」3号店を埼玉・大宮にオープンする。その後は2期終了時点で6店舗出店を目標とし、FC展開も念頭に置く。

 郊外型、ロードサイド型の飲食店が苦戦を強いられ、方向性の転換を迫られる昨今。「地元に根ざし、人と人とのつながりを重視する」という、飲食の原点に立ち返ろうとする「ますもと」のスタイルは注目に値する。

「そのエリアに『なければ困る店』になりたい。できうる限り長くそこにあり、地域の文化の一部になりたい。それが現在のビジョンです。子どものころ家族で訪れた店は記憶に残るもの。ご両親に連れられてお越しいただいた小さなお客様が、いずれこの店でアルバイトをすることになったり、自分の子どもを連れてまた訪れてくださることもあるかもしれない。そうなったら嬉しいですね。地域の人の記憶に残る店に成長して、歴史を重ねていきたいですね」

 桝本社長のビジョンは、現実のものとなるか。挑戦はまだ始まったばかりだ。


桝本幸典社長中央 石黒初典店長右端とスタッフ


【ステーキハンバーグ&窯焼ピッツア ますもと 春日部店】
住所 埼玉県春日部市大沼1-2
電話番号 048-736-8929
営業時間 11:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日 無休
客席数 60席
客単価 1100円〜
経営母体 株式会社サンクスプラス
溝口 敏正(みずぐち としまさ)  2007年11月13日取材

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